やけに倍音成分が多い声帯を持つと評判の(V)・∀・(V)です、こんぱんわ。
いきなり倍音の余談から入りましたが、これは声帯結節が出来る直前に録った音声
つまり「歌収録としては結節前最後」になった音源のボーカルアカペラデータを
カンナミさんがDAWに突っ込んで波形で見たときに送られてきたスクショです。
曰く
「2.8〜5kHzの倍音成分が1番下にある400Hzあたりの主音と同じかそれより大きい(色で見るとより明るい)くらいある
あと倍音の数もすごい
別の人の大体同じくらいの音では10kHz以降とかはもう見えないんだけど、かにぱんさんのはくっきりしている」
↓比較用 他の人の同じくらいの声域の音声波形
私の声って、全音域が常に鳴ってて、意図せずホーミーみたいになってんのかな、
画像で見るとすごくギラギラ眩しいw と思ったのでした。
声帯結節の切除手術をすると、声がどんなふうにどのくらい変わるんだろう?
倍音成分減るのかな? 倍音成分がとても多いのが私の声の特性のひとつだとするならば
手術でそれが減ってしまうのは残念だね!
まぁ今はまだわかりませんが、手術は終わったのでイベントレポします!!(イベント?
いきなり倍音の余談から入りましたが、これは声帯結節が出来る直前に録った音声
つまり「歌収録としては結節前最後」になった音源のボーカルアカペラデータを
カンナミさんがDAWに突っ込んで波形で見たときに送られてきたスクショです。
曰く
「2.8〜5kHzの倍音成分が1番下にある400Hzあたりの主音と同じかそれより大きい(色で見るとより明るい)くらいある
あと倍音の数もすごい
別の人の大体同じくらいの音では10kHz以降とかはもう見えないんだけど、かにぱんさんのはくっきりしている」
↓比較用 他の人の同じくらいの声域の音声波形
私の声って、全音域が常に鳴ってて、意図せずホーミーみたいになってんのかな、
画像で見るとすごくギラギラ眩しいw と思ったのでした。
声帯結節の切除手術をすると、声がどんなふうにどのくらい変わるんだろう?
倍音成分減るのかな? 倍音成分がとても多いのが私の声の特性のひとつだとするならば
手術でそれが減ってしまうのは残念だね!
まぁ今はまだわかりませんが、手術は終わったのでイベントレポします!!(イベント?
(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)
※日記だから、「その日私の身にあったこと」をたくさん書いています。
手術以外の余談もいっぱいだよ。
■声帯結節の検査や手術について
2024/1/5の記事【日記】 結局、声帯結節あった話 【多分要手術】で書いたように
一般耳鼻咽喉科で見つからなかった結節が、声の専門クリニックに行ったら「あるよ、手術で取ろう」
ということになったので、そのあと月1ペースで声専門クリニックに通って、仕事の量や内容を調整しつつ
手術の日取りを決め、ついに先日手術を受けてきた!
一番最初に「なんかおかしいな」となったのが昨年9月のスタジオ案件のときで
「ティ」を発音するときに、声がちゃんと張れていなくて、鼻から息が漏れているという指摘が入り
自分でもその自覚がある上、鼻から抜けるのを「意識で」どうにかするのに限界があるように感じた。
でも、それまでそんなことはなかったから、それが一番最初の異変だった。
そのあとは、徐々に症状が発現する音域や「文字」の種類が拡大していって、
何を歌っても喋っても裏返ったり、声がちゃんと出ないという状態になった。
しかし、日によってコンディションには非常に大きなムラがあり、比較的調子が良いという日もあった。
特に顕著且つ問題だったのは「息の続かなさ」。
ウェブで「声帯結節 セルフチェック」などの検索をすると
息をめいっぱい吸って楽な高さ・楽な発声で「あーーー」とロングトーンを出し続けて
20秒保たないようなら、声帯に結節やポリープなど
なんらかの隆起病変、異常があると推測される……という話が出てくる。
私は実際15秒くらいしか保たないことに気付いて声の病院に駆け込んだという経緯がある。
合唱団時代には、30秒くらい声を出しっぱなしにするトレーニングなどもあったから
「15秒は確かに短いな」
と思った。
結節やポリープがあると、発声時に余分に息が漏れてしまうので、息が続かなくなる。
実際私も、「声が出ない」というよりも、「ちゃんと声を出そうとすると、息がもたない」という症状が強く感じられて
業務にも支障をきたしている部分だった。
声を裏返らずに出せたとしても、次のブレスをすべき句読点までを読み切れるだけの息が続かない
という感じ。
だから私が手術に期待したことは、この「息の続かなさ」問題の解決が一番。
手術によって、多少声色が変性してしまうとしても、息が続くようになってくれるなら
あとの事はトレーニングでなんとかするから! っていう感じw
というわけで、月1ペースで通う中で、何度も高精細スコープを口から入れて、
えずくのを我慢しながら声帯の動きを録画撮影して、結節の有無や場所を繰り返し確認してきた。
鼻から入れる経鼻内視鏡でも声帯を観察することはできるが、口から入れる棒状のスコープの方が
解像度が高いらしく、より正確に観察できるようだった。
どうしてもえずいて無理、という場合の次善策が経鼻内視鏡。
鼻から入れてもカメラの先が一定の箇所まで降りていくとえずくことがあるのに、
口から入れるのはもっと吐きそうになることがあるw
でも、何度か検査でカメラを入れられてわかったことは、声帯撮影のスコープが口の中に入って
「えーー」
と発声・録画を始めたら、とにかくどんなに唾が出ても飲み込もうとしないのが良い。
飲み込もうとすると、喉の奥の方とカメラが直接触れてしまってえずく!
唾が出ても飲むことは考えずに、撮影が終わるまで、指示の通りに「えーーー」と言い続けていれば
えずくことはかなり避けられる、というのがわかったw
(その代わり、唾液量が多い人だと、口からだらだら唾を垂らすことになるかもw)
えずくというのは、体の反射的・生理的な反応であるから、気をつければ反応しないようにできるというものでもない。
だからこそ、何度か通う間、
「カメラ入れるの嫌だなー今日もゲェってなるのかなー
えずかないコツとかねえのかな!」
などと思っていたが、私のこれまでの経験で発見したえずきにくいコツは
・唾を飲もうとしない
・地声より裏声の方がえずきにくい
という2点だw
声帯の検査でえづきやすい人、「唾を飲み込もうとしない」というのがひとつのコツだと思うので
今度試してみて欲しいw
えずくことそれ自体は反射的に起こるから止められないけど、「唾を飲まない」というのは意識したら出来る!w
声帯結節は、多くの場合左右の同じような場所に同じようなサイズのものができて、
それがぶつかり合う「(ペンダコとかの)タコ」のようだ。
しかし、私の場合は、なんとアシンメトリーだった!!!
比較的大きな結節になっている体の左側のものはほぼ毎回の撮影で存在を確認できるのに
それとはサイズと高さが異なる右側の結節の方は、映像で見えたり見えなかったりした。
これはこれで、ちょっと特殊な事例らしい……。
手術前日の術前外来のときに、最後の確認ということでスコープを入れて、しっかり連続撮影したところ
左右の結節が声帯の振動に合わせて毎回ぶつかり合う形ではなく、
凹と凸のようにずれて互い違いに露出してくるようだった。
「なんかこういうギアあるよな」と思ったw
日やタイミングによってコンディションに大きなブレがあるのも、これが原因だったのかもしれない。
左の結節がぐいっとこちらに向いているときは右は引っ込んでいて、
逆に次の振動で左の結節が奥に引っ込むときに右が見えてきて……という感じの挙動になっているせいで
両方が同時に見やすく頭を出してくることがない。
静止画で見るたびに、どちらかがあったりなかったりするのはこのせいみたいだった。
普通は対称だから、同時に出てきて「左右のこことここに見えますね」ってなるんだろうなw
声帯手術に関するパンフレットにある図を参考に。
「上」はつまり口の方で、「下」は胃の方だ。
上からカメラを入れるので、「地声の不調」のように比較的奥にあるような結節は、
死角になってただでさえ見にくいわけだ。
声を出す時は、この薄いピンク色の「厚み0.3mm」の部分が振動しながらくっついたり離れたりする。
結節があると、滑らかな伸び縮みだとかふるえが阻害されるというのが症状の原因だろうと思う。
で、なぜか私の場合は左右の結節のサイズも位置も微妙に違ったし、左右交互に頭を出してくるので
「通常なら、右側にも同じようなものがありそうなものなのに見えるような見えないような、
あるようなないような感じ」
という状態だったのが、前日の録画でようやくその実態を掴めたという流れだった。
手術は、「全身麻酔」で日帰り。
全体の工程は2時間半くらいで終わる。
その日だけは、普段通っている声のクリニックではなくて、日帰り手術専門の病院へ行って
主治医の先生もそこへやってきて先生が執刀する形。
医療の進歩を感じる。
全身麻酔での外科手術は初めて受けたが、その日のうちに帰れるものなんだなぁと思った。
そりゃ、どこに何の施術をするのかにもよるだろうけど、声帯だから特に負荷が軽いのかもしれない。
でも私が行った日帰り手術クリニックでは、主に眼科の手術を多くこなしてそうだった。
手術を受けた子どもたちからの
「先生、目をなおしてくれてありがとう」
という手紙が沢山掲示してあった。
声帯の手術に関しては、先生と患者で日帰り手術クリニックの場所を借りるような形だけれど
日帰り手術クリニックには眼科の先生が元々いらっしゃるのだろうか。
と思って改めてサイトを見たら、診療内容のトップが眼科だったので、やはりそうかもしれない。
目もピンポイントなので短時間に少量の麻酔をかけてサッと終わらせるということかも。
私は眼科に入院したことがあるけれど、結局外科手術は不要になって退院してきたから
本当に外科手術というと、これまでに「親知らずの抜歯」しかしたことがなかったw
主治医の先生は、
「親知らずの抜歯よりも、声帯結節の全身麻酔手術の方が体への負担が軽いくらいだよw」
と仰っていたw
うーん、左下の親知らずを抜いた後は一週間ドライソケットで苦しんだから
あれは確かに負担が大きかったように思うw
(多分縫合されていたらもう少しマシだったんだろうけど)
手術が終わった後は、3〜5日間くらいの「完全沈黙療法」を経て、ハミング発声、日常会話を条件付きで解禁、
最終的には歌唱や業務への復帰へと時間をかけてリハビリしていくことになる。
これで概要は書けたので、以下は日記的に各日程の細かいことを記しておく。
■手術前
日程について。
手術は、第1・3土曜日にだけ行われていて、花粉のアレルギー症状が重ならない時期(GW明け以降)を希望して
結果、6/1になった。
「GWが明けた第3土曜」という意味では5/18にも予約可能だったのだけど、仮予約を入れた直後に
SHINDEHAIの来日予定(5/14〜21東京滞在)の連絡があったので、手術の方を後にずらした。
手術前1週間は喉を酷使しないようにというお触れがあったので、SHINDEHAIに会って気ままに話そうと思うと
このスケジュールでは無理があると思った。
知り合って11年、初めてこちらの国に来てくれるという友人とは、ぜひとも会ってゆっくり話したいではないか。
尚、「GW明け」というのは、ヒノキ花粉がそろそろ飛散終了する時期なので、アレルギーのことを考えると
最短でそこということになる。結節が確定したのが1月だったが手術を5月以降にしたのは
術後の大事な回復期間にあたる3ヶ月に花粉の時期をぶつけたくなかったからだ。
そして、実際の5/18は少しヒノキ花粉による咳喘息が出ていたので、そういう意味でも完全に結果オーライだった。
ずらして正解でしかない!
5/13の診察の時に、エナジアを出してもらったのもあって、そこから10日もすると喘息の発作も収まった。
エナジアは本当にすごい。
発作が出る前は、レルベアを予防用吸入しているけれど、それでもヒノキがピークになると
どうしても軽い発作が出てしまいがち。
発作が出た後はレルベアやメプチンを吸っても症状が軽快していかないが、
そこでエナジアに切り替えると約10日で収まる。
(逆にエナジアが効かなかったら、もうステロイドを「飲む」しかなく、
それはできるだけ避けたいと主治医は話していた)
ちなみに、私の喘息は、「ヒノキ花粉の時期だけ軽い咳喘息が出る」というものなので
あまり問題はなかったけど、気管支喘息を持っている場合は声帯手術にリスクが伴うらしい。
喘鳴が出るほどの発作持ちだと同じ方法での手術が出来ないとか。
なので事前のチェックリストには、「喘息はありません」という項目が一番上にあったりした。
前日の診察、最寄り駅に1時間半近く早く着いてしまった……。暇だ。
病院に着くと、診察より先にまず録音をすることになった。
術前録音。手術前の状態を記録する。
そして、手術の後も、1週間、1ヶ月、3ヶ月、半年みたいに間を空けながら、同じ文面や条件で録音をして
経過を見るのに使うっぽい。
はじめは、名前と日付を言って、そのあとナレーション原稿のようなものを読んだ。
読み方に特に指示はなかった。
自分があとで比較したい声色などがあればそれを使うとか、ともかく読み手の判断で良いらしい。
文面は、色々な母音と子音が組み合わさるように書かれていた。
そして早口言葉のように難解ではなかったので、ぱっと見て読んでも噛むような箇所はなかった。
また、声の中の雑音を見るために、あいうえおの5母音それぞれを2秒以上伸ばして出すというのをやった。
普段話すような楽な音階。それから低い声。最後が裏声。それぞれで5母音を2秒ずつ。
次に、声域のチェックをするため、通常の会話で使っている音程を特定したあと、
そこから半音ずつ下げていくテストをした。
私はどうやら通常「レ」くらいの音で話しているらしいw
キーボードで看護師さんがガイド用に音を出してくれるので、それに沿って半音ずつ下げていく。
ちょうど1オクターブ下のレあたりで限界だった。
結節がなくて、寝起きだったらもう少し下がれたと思う。
今度は逆に、ベースとなったレの音から半音ずつ上げていって上の音域を確認した。
こちらは、上のミ・ファのところでファルセットがうまく出なくなった。
最近、ちょっと歌を口ずさんでいても、雑音が混ざりやすいのがまさにここという感じ。
音程としてそこまで高くはないんだけど、地声で出そうとすると力がいる……が、
ファルセットならまだまだ上に行けるというのがこの「ミ・ファ」あたりの音域なんだけど、
ここが結節でブルブルという雑音になって出にくい。
ちょっと出し方を変えたら出始めたので、そこからまた半音ずつ上がっていって、上はラまでとした。
上のシ♭からは本当に高いから、コンディションが良い時や、
ちゃんとウォーミングアップした後じゃないと元々きついところだねw
最近、結節によって不便に感じていたことに、息の続かなさと合わせて「声の出が遅い」というのがある。
「アタック強く発せられない」とも言える。
これも、結節が声帯の素早い伸縮を阻害しているから、脳からの発声の信号に対して
実際の音の出が遅れるのかなと思う。
このラグが自分としては実に気持ち悪くて、秒にしたら1秒にも満たない世界の話ではあるんだけど
自分が音を出したつもりのタイミングで思った音が発せられないために
読んだり、喋ったりの中で、文字に対してつっかかりを感じる(いわゆる噛む)ことが多くなった。
音を出す→出したはずの音がその瞬間に出ていないなという自覚→混乱→出し直そうとする
みたいな感じ。結果、吃りとなる感じ。
特にカ・タ・ラ行のように舌を使って出す子音のときに遅れを強く感じる。
母音では単語の頭が「エ」だとアタックを強くしにくい。
本来よりも、母音の役割を果たすべき音が遅れて出てくる、または音になりきれていない
という状態になるので、自分の声がふわふわとして掴みにくい。
もっと出だしから輪郭のくっきりした声が出せたはずなんだけどなあ、という感覚。
脳からの信号に対して、今まではラグなんか感じずに声を出していたんだ、と初めて気がついた。
声帯ってそれをなんとなく自動でやっているのだからすげえ。意味わからん。
そんなわけで、文章の読み上げではやはりこの「出の遅さ、弱さ」などを感じたし
裏声がビリビリなるのも、ギターの弦で言えば、弦が震えているところにそっと何かを触れさせて
弦の自然な振動を妨げているような状態だろう。
次に「声の持続力」を測るため、無理のない高さと声量で
「あーーー」
のロングトーンをし、その秒数をストップウォッチで測った。
事前にセルフチェックでもやったことだが、15秒だった。
その後、歯と歯の間から弱く息を漏らして「スーー」と鳴らした場合の持続力も測った。
こっちは単純に肺活量測定に近いな。
それだと33秒いけた。
更に、持続力検査に近いことで、「発声時に声帯から吐き出されている息の量を計測する特殊な機械」を用いて
楽な発声、弱い発声、強い発声それぞれで、息がどのくらい出ているかを調べた。
これは、専門的な機器だからこういう病院にしかないと思う。
椅子に座って少しだけ前に乗り出す体勢になりながら、直径2〜3cmくらいの太さの円筒を口に咥える。
この円筒は紙コップ様の素材で出来ているような感触だった。
その円筒パーツは、空気の圧を測る機械のようなものに地面と平行になる形で取り付けられている。
鼻栓をし、口と円筒パーツの周囲から息が漏れないように指で口角のあたりを軽く押さえる。
これで口から出る息は全部、咥えている白い円筒パーツの中に吐き出されるし、
鼻の穴や他の隙間から空気が漏れない状態になった。密封……!
その状態で楽な発声で「うーーー」と言う。
途中看護師さんが機械に指示を送ると、円筒の接続されている機器の中で何かが一瞬スコンと閉じ
口から息が出ているのにその空気が逃げ場を失う状態になって耳に軽い圧がかかる。
硬いゴム風船を膨らまし始めたときみたいな感じだ。
一瞬後にすぐまたスコンと言って、機器の中で何かが開いて、吐いている息がスムーズに通り始める。
これを、楽な発声、小さい声、大きな声などそれぞれで行った。
結果がこのようなグラフになって出力された。
多分グラフが急激に下がっているところが「スコン」と機器の中で蓋が閉じた瞬間だろう。
楽な発声1、2、大きな発声、小さな発声、高い発声、低い発声という6種類あるが
今回チェックしたかったのは、各グラフの3段目にある「呼気流率」というやつで、
楽な発声のときでも呼気流率が200未満というのが一応正常の範囲らしい。
私は楽な発声1でその値が234.7、楽な発声2で243.5だから、やはり少々異常があるということになる。
まぁ自覚症状があるので、それが数字で正確に捉えられたと言ったところだな。
この数字が大きければ大きいほど、結節やポリープの影響で、発声時に無駄な空気が漏れていることになり
それが「息の続かなさ」という自覚症状になって顕れるわけだ。
小さな発声、低い発声では200未満だから、そういう発声ならそれ以外と比較して少し息が続きやすいということにもなる。
ただ、仕事や歌では、ある程度の高さとある程度の強さを求められるから、
手術によって、そこの呼気流率が下がるのが理想だなと思う。
そうなれば、楽な発声も自ずと低下するだろう。
この録音と息のチェックが終わった後は、少し待合室で待機。
そのあと診察室に呼ばれて、上の紙を渡されたというわけ。
前日の診察では前述の通り、今まで見えたり見えなかったりした右側の結節が、
どうして見えたり見えなかったりするのかという謎が解明されるに至り、先生も
「ようやく実態が掴めたね、よかった!」
と仰っていた。
あるならあるで一回の手術で取ってしまった方が良いわけで、これを見過ごしてしまうと
のちのち再手術が必要になってしまうということもあるだろうから、ちゃんと特定できてよかった。
もう前日ともなると、私自身、不安よりも楽しみな気持ちの方が勝ってきた。
もはや、声帯の手術に伴って声がどうなるかとかよりも、
「手術に際して、起こり得る合併症など」のところに列挙されている
・歯牙欠損(前歯が欠けたり、歯がぐらついたりすることがある)
・軟口蓋出血
・舌の痺れや味覚の消失
みたいな項目の方が不安だったw
この図のような形で手術は行われる。
仰向けの状態。麻酔で意識をなくす。
気道挿管し、喉頭鏡というものを入れて声帯を顕微鏡で見られるようにする。
専用の刃物で、患部をうすーく切り取る。
このとき、仰向けなので舌が垂れてきてしまわないよう、上面に向かって押さえつける力がかかる。
これによって術後舌の痺れや、一時的な味覚の減衰があるらしい。
正座で脚が痺れるようなものなので、血が通うようになるとすぐに治るとか。
また、口を大きく開けっ放しにするために、マウスピースを嵌めて挿管するが、このときに上の前歯にも圧がかかるらしい。
それによって歯が欠けたり、折れたりというリスクがあるそうな。
元々の歯並びとか生えている角度、ぐらつきなどによってもリスクの度合いが変わる。
いずれにせよ、歯に何か起こってしまった場合は、歯科医の方に行くしかないので
できれば何もないと良いと思ったw
同じように、挿管の影響で軟口蓋に軽度の傷がついて出血するというようなこともなくはないらしい。
200人に1人くらいの割合で、喉頭展開というのができなくて、喉頭鏡を入れて施術するのが難しいケースもあるらしいから
そういうケースに当てはまらないと良いなと思った。
なぜなら、このケースに当てはまってしまった場合は、麻酔をかけて施術開始した後に発覚する上、
日を改めて術式を変更する必要が出てしまうからだ。
延期は嫌だー。
でもこれらは、私が気をつけて避けられることではないので
「先生方、どうかうまいことやってください、お願いします」
と祈るしか無い!w
それから、全身麻酔の薬には大豆成分が含まれているそうで、大豆アレルギーがないか確認された。
幸い私は食べ物のアレルギーは今のところ持っていないので、大豆が使われていても大丈夫だし
「大豆の成分が麻酔になるんだ!?」
という驚きもあった。
すごいね、大豆。すごいね、科学。
いや、勿論大豆だけで生成されている薬剤ということではないだろうけども!
また、左右共に、柔らかい+小さい結節だから、必要最低限の切除で済むため、
声質の変性はほとんど起こらないと思っても良いんじゃないかとのことだった。
ほぼ100%!
もちろん、経過観察中に出された薬を用量を守って飲んだり、やってはいけないことをやらないようにしたりと
慎重に回復させていくのが前提になるけど。でないと再発もありうる病気だからね。
ともかく手術で削る量としてはかなり少ないみたいだった。
なんかこう、ケミカルピーリングでお肌の薄皮を一枚だけ剥いで、たまご肌になるみたいなイメージだ……。
例えば水ぶくれが出来た時に、中の水を排出すると薄皮が一枚浮き上がる。
特に、私の結節は右側がそんな感じで、「一度炎症して腫れたところの膨らんだ名残が薄皮一枚残っている」みたいなものらしく
それを本当に一枚ぺろんと剥がすだけみたいだから、声帯全体に対しての影響は極小と言えるだろう。
術後は、削って生傷が露出した状態になるので、それがまたタコにならないように
ゆっくり再生を見守っていくというのが、3ヶ月くらいの経過観察に当たる。
これは、新しいからこういう形態なのかと尋ねてみたんだけど、新しいというより
どこかのタイミングで一度だけ、ちょっと強めに声帯が傷ついてしまって
その浮腫が残っているのではないか、もしくはかなり長い時間をかけて少しずつ蓄積されたか……
という推測が立つみたいだった。
ここ1年くらいで急激に活動ペースを上げ下げしていないつもりなので、
「あー、あの頃はそれまでと比べて過酷だったから喉に負担かかったなあ」
と思うようなタイミングがない……。
それに、最後に歌を録ったのが10月だけどそのときは「息の続かなさ」はそこまで感じなかった。
まぁ強いて言えば7月くらいに、仕事でちょっと頑張って録ったのがあって
それは高かったり強かったりする発声を連日行ったから、そういうのは蓄積してるのかなあ。
ある程度までは、「力でゴリ押す」ことがなまじっか可能な病気であるせいで、症状が隠れてしまって、
「なんだ気のせいだったのかな」
と思って普通に生活してしまったのが7〜9月かな?
で、最後に歌を録ったのが10月頭。
その後は、一時的に声帯周りの筋肉の衰えを疑ってトレーニングしてたけど、
11月〜12月は「ロングトーンが20秒続かないから声帯か呼吸器官の異常かもしれぬ」と思い始めた。
少しずつ「声出にくいな」「息が続かないな」となって、明確に自覚症状を認識できるようになったので、
1月に声のクリニックへ……という流れだったからなぁ。
まぁ20年声で活動しているのだから、20年かけてゆっくりダメージが蓄積されて
少しの傷なら自然治癒していたんだけど、ここ数ヶ月で自然治癒のスピードを悪化が上回ったと考えるのが妥当かもしれない。
それに、私が思うのは、喋ったり、歌ったり、読み上げたりということもしょっちゅうするが、
私の喉に最大のダメージを与えているのは、やはりヒノキ花粉の季節に起こる咳喘息だということだ。
その期間は、息苦しいし、よく咳き込むし、その上で仕事もするから約1ヶ月ほど、
治癒速度をダメージ蓄積が上回るのは確実なのだ。
この手術のリハビリが終わった後(半年後くらい)は、とあるボイトレ教室に行ってみて、
喉への負担が少ない発声や歌唱法、またダメージ回復の秘訣なんかを相談しようと思っているけどね。
というわけで、術前外来では手術に伴うリスクと手順などの説明を受けて、麻酔科の先生への手紙と
誓約書を受け取って帰った。
麻酔科の先生への手紙と誓約書は、当日手術クリニックの方へ提出するもの。
先生「では明日、有楽町で会いましょう」
『有楽町で逢いましょう』……ってフランク永井じゃん!!
手術クリニックが有楽町にある限り、術前外来の際に「有楽町で逢いましょう」という鉄板ギャグ(?)が永遠に使えるってわけかい!?
(全患者に通じるかどうかはともかくとして)
診察後、すぐにつくばへ戻って駅で晩ごはんを食べてから帰った。時間が時間すぎて大層混んでた。
完全にピーク時。
そして帰宅後、風呂に入って少しすると、実家で飯入って風呂食った弟が到着した。
私は、手術前日の縛りとして「固形物を口に入れて良いのは24時まで」というのがあったので
20時くらいまでに駅で晩ごはんを食べ終えてからは、固形物は何も入れないようにした。
ちなみに、すごくサイゼの口だったので、サイゼでディアボラ風ハンバーグとライス、小エビのサラダをたいらげた。
ドリンクバーをつけても1200円。安い。安すぎる。
たまにサイゼで、「私が入店したときにはすでに何かを食べ始めていたのに、追加注文を繰り返して
私が退店する時もまだ食べている人」を見る。
安いので、結構量を食べるタイプの人は、追加注文を繰り返して沢山食べるようだな。
食べる→追加注文しながら皿を下げてもらう→食べる……というのを繰り返すようだ。すごい。
手術後、運動も制限がかかるから、ベースブレッドとサラダチキンを中心にした
低糖質、低脂質食で脂肪を蓄えないようにしたいと計画しており、すでにその購入も済んでおり
サイゼでハンバーグを食べるのなんか、次いつになるかわからないぜ。
弟は、到着するなり
「実は3月中に会う機会がなかったから渡せなかった誕生日プレゼントがある」
と言って、荷物をゴソゴソし始めた。
弟も私も3月生まれで、今年私は弟に宛ててSteam経由で『デイヴ・ザ・ダイバー』を送りつけたw
弟は、昨年に続き、遊戯王のグッズやカードデッキを揃えてきてくれた!
「去年のデッキと今年のデッキを戦わせると“独り闘いの儀”ができるよw」
とのことだった。
昨年は、マハードのプレイマットももらったんだけど、今年も遊戯と海馬のプレイマットがあった。
それに、なんと遊戯王の劇伴名曲を2枚に収めた、25周年記念新「SOUND DUEL」のCDもだ。
おぉ、なんということだ。2023年11月にこんなものが出ていたとは。
実は私は、KCコーポレーションストアが2023年4月に行った
「どんな商品が販売されてほしいですかアンケート」で、遊戯王DMのサントラ『SOUND DUEL』シリーズのうち
『クリティウスの牙』が収録されている『SOUND DUEL3』などの中古価格が10万円ほどまで高騰している件を挙げ
データ販売でも盤面でもいいから、正規に新品として遊戯王の劇伴サントラがちゃんと買えるようにしてほしい
という要望を出していたのだ。
だというのに、この25周年記念のCDが発売されたことを知らなかったー!!
(弟は予約して買ったらしいw)
KCコーポレーションのメルマガも届いているのに……多分読んでなかった回にお知らせがあったんだろうなw
というわけで、
「欲しかったものがいつの間にか発売されており、知らぬ間に弟がそれを手に入れてプレゼントしてくれた」
形になったw
王様、カッコイイ……。
そのあと、弟にちょっとIdleOnのミニゲーム(私が難しいと感じている)を遊んでもらった。
しかし、弟がこのタイミングでうちに来たのは、手術の付き添いのためであるから
少し遊んだ後はすぐに寝る体勢に入った。
手術は、一番早い回が8:30、一番遅い回で11:00現地必着。
「片道2時間は見ないといけないので、一番早い回だと始発に近い時間に出る必要があるため
なるべく遅めの方を希望します」
と連絡してあって、11:00集合の回になっていた。
それでも8時半過ぎには家を出るスケジュールだ。
手術には、最低でも帰り道の付き添い、可能であれば翌朝まで付き添いがあって欲しいとのことだったので
弟には前日夜に来てもらって、当日朝一緒に病院へ行き、一緒に帰ってきて翌朝まで付き添う2泊3日プランとした。
私は、なぜか鼻が詰まって寝付きが悪かった。
眠気はしっかりあったのだが、ウトウトしてくると鼻呼吸の息苦しさから口呼吸に切り替わって「ハッ」と目が覚めてしまう
というのを何度か繰り返して辛かった。
翌日手術なので、下手に睡眠導入剤を飲んだりするわけにもいかないし、長座でストレッチしたり、
首の後ろの付け根辺りのツボを指圧したりしてなんとか寝付いた。
■手術当日
起床、準備して、弟の車で駅まで行きTXで有楽町へ向かった。
当日は集合時間の2時間前までしか水分を口に入れてはいけないという縛りがあったので
8:20くらいにペットボトルのミネラルウォーターを飲んで寝ている間の乾きを多少潤してからは
固形物も水もアウトの時間が始まった。
東京に着いてしまえば、電車なんか2分に1本くらい来るけど、TXは20〜30分に1本のペースだから、
ここは乗りはぐれたくない。1本逃して20〜30分のロスはでかい。
ということで、早め早めの行動を取った結果、10:30には到着する格好となったが、早い分には何も問題ない。
たまに1時間以上早く着くこともある。術前外来のときみたいに。
田舎から東京に行くと細かい時間調節が難しいのはこういうことだ。
県外脱出用の交通機関の1本1本の間隔が広いから、遅刻だけは絶対避けたい! とすると
結果的に5分前到着が難しく、30分前到着、1時間前到着みたいになってしまう。
書類を渡したり、問診票を書いたりした。
そして、カーテンで仕切られたベッドが並んでいるところへ行き、持っていった「前が開くパジャマ」に着替えた。
それからカーテンで囲まれたベッドに横になるように指示され、心電図を取り、血圧も測った。
そのあとは一旦診察室へ移動となった。
カーテンで仕切られたベッドのある部屋から、看護師さんについて診察室の方へ行くとき、
今まさに声帯結節の手術が終わったであろう、麻酔で意識を失っている患者さんが
ベッドで運ばれていくのとすれ違った。
多分前日に、術前外来で同じクリニックに来ていたっぽい方だろうと思った。
こうして、実際に手術を受けた人を目の前にすると、さすがにちょっと緊張してきた。
ただ、私はあまり緊張をしない部類ではあるかもしれない。
とはいえ、こういう「何か、自分に順番が回ってくるのを待つ時間」というのは、
手持ち無沙汰だし、なんかお腹がもじょもじょしてくるよね。
トイレに行きたいような、行ってもなんも出ないような感覚w
診察室へ入って、看護師さんが点滴を入れる処置をしてくれた。
左腕に刺したのだけど、針そのものが全然痛くなかったから、「え、刺した? 今? ホントに?」という感じだった。
しかも、数枚のテープで針を刺したあたりをベタベタと固定しながら、看護師さんが
「もう針自体は抜いてあって、チューブが血管に通っている状態なので、針が血管を貫通して
点滴が漏れるということはないです」
と説明してくれた。
点滴針を抜くタイプの点滴なのか。
中学生の頃に風邪をこじらせて肺炎になって、かかりつけの病院に行ったら右手の甲に点滴を刺されたことがあるけど
そのときは確か針入れっぱなしだったなあ。
最近の点滴は、針は抜いてしまうのが主流なのかな。
それとも、ある程度太い血管に刺すタイプだからこうなったのか?
なんか手の甲で点滴したときに比べると、点滴の薬液の滴る速度も早いし。ぼたぼたぼたって感じ。
この速度で麻酔液も体内に入ってくるんだな。
手術後の注意事項が裏表2面にプリントされたA4用紙を渡されて、しばらく読んでいると
主治医の先生が来た。
「最後に何か訊いておきたいことはありますか」
と言われて、麻酔の副作用について訊いてみたけど、このあと麻酔科の先生とも話すから
そこで詳しく訊いてみたほうがいいよw と言われた。なら確かにその通りだ。
麻酔から覚めた後に1時間ほど安静にして、そのまま帰路につくことになっているから、
そのときにどういうことが起こりうるのかなぁと疑問だった。
入院を前提にした手術で使われる麻酔は強かったり量が多かったりするけど、
それと比べるとここで使われる量は必要最低限なので、どんな人でも1時間後には
シャキーン! と帰っていかれます。帰れなかった人は見たことないよw と仰るので
それはすごい、大豆(?)すごいと思った。
それ以外には、今になって訊いておきたいようなことは特になかった。
「先生はなんで、声専門のお医者さんになろうと思ったんですか?」
みたいな、先生個人に対する素朴な疑問とかならあるけどw
それだとインタビューになってしまう。
次に麻酔科の先生が来て、点滴で麻酔を注入すること、注入から20秒程度で意識がなくなることなどを説明された。
ちなみに副作用としては、いわゆるアレルギー反応のように、皮膚に発疹が表れるとか
酷い場合は呼吸困難に陥るというケースがあるが、麻酔を実際に使ってみないと
こういう反応の有無はわからないということだった。それもそうだ。
まぁでも自分は今までに薬に対するアレルギーを起こしたことがないし、
親族でもそういう話を聞いたことがないので、おそらく大丈夫な確率が高いだろうと思った。
大豆も平気だし。
あと麻酔からの覚醒後に多少ふらふらとはすると思うけど、寝て起きてだるい
という感覚に近そうな話だった。
そのあと診察室で弟と共に待機すること10分。
もうすぐ正午だなぁと思っていると、手術室の方へ移動しますよーと誘導の看護師さんが来た。
点滴の薬液バッグが垂れているタイヤ付きのアレをカラカラやって手術室へ入ると
横幅のあまり広くないベッドがあり、
「ここに腰掛けて、靴を脱いでから、頭はこのドーナツ型の枕にはまるような形で寝転んで」
と指示された。
腕が落ちそうだなと思っていると、看護師さん二人が左右から血圧計や心電図計をテキパキ取り付けつつ
ベッドの縁を丸めて持ち上げるようにして腕が落ちないように固定する処理を進めていった。
たこ焼きが乗っている舟みたいな形にベッドが軽く湾曲した格好だ。
そして麻酔科の先生が酸素マスクを口の周りにあてがって
「ゆっくり深呼吸を続けていてください。
麻酔を注入し始めます。点滴の刺さっている部位が少し鈍く痛くなってきます」
と実況した。
私はそれを聞きながら深呼吸を繰り返しつつ、確かに左腕の点滴箇所がずーんという感じかもしれないと思った。
あと、目を開けていると天井とか蛍光灯がぐわんぐわんと目眩のように揺れ始めたので
薬が効いてきているから、抗ってもしょうがないし寝よう、と思って寝た。
次に、看護師さんの
「手術終わってますよー!」
の声で気がついた。
なんというか、その感覚自体は寝起きにかなり近いけど、最初に思ったのは
「喉、喉はどうなった? 喉は……すごく乾燥してヒリヒリしている感じだ」
ということ。
空気が乾燥して冷えている冬の夜に、大きないびきをかいて寝た後なのかなみたいな。
いびきをかかないのでわからないけど、乾燥している夜に口呼吸で寝たら多分こんなふうに喉がヒリヒリすると思う。
ヒリヒリしているんだけど、唾を飲もうとしたら今度は、気道の入口に痰がからんでいるというのがわかった。
飲み込みづらい。
でも、術後は咳・咳払い・くしゃみなどもご法度だと聞いていたから、ここで痰を吐き出すために
咳払いしてはいけないはずだと思って、なんとか飲み込めないか試みるが難しかった。
というのも、どうも鼻がめちゃくちゃ詰まっているようで、「飲み込む」という動作を阻害している。
それでもなんとか、ない唾を飲み込んでみると、喉の奥の方で何かがひっくり返るような感覚がした。
ずれていた関節をコキっと戻したような……。
次に、普通の寝起きと違ってとにかく目だ、目が開かない! と思った。
でも涙が流れ続けている感覚があり、開けようとするとしょぼしょぼと眩しくて、更に涙が出てくる。
もしかして麻酔がかかって施術を受けている間、私はずっと開眼していたのだろうか!?
そういう、長時間目を開け続けていたかのような、乾燥を眼球に感じた。
だからしょぼしょぼして、目を開けると涙が出てきて、その涙の影響で鼻が詰まって、
鼻が詰まっているから口呼吸をして喉がヒリヒリして……みたいなことが起きているのではないか
そういう感覚だった。
看護師さんが来て、どう? 寒い? というので、頷く。
めちゃくちゃ冷えるというほどではないが、末端が冷えている感じがする。
電気毛布が掛けられた。
「あと5分くらいでお水が飲めますから、飲んでみる?」
と言われて頷く。
まだ横になっていたが、看護師さんが、書いてすぐボタンで消せるメモボード、いわゆる「電子パッド」を持ってきた。
こういうやつ。
ていうか、ペンの形状とかついている箇所とかを見ると、これそのものな気がする……。
何が辛いか書いてみて、と言われたので、寝転がったまま重たい右腕をなんとか上げて
腹の上で電子パッドに「はなづまり」と書いた。
術前は普通に鼻が通っていて鼻呼吸出来ていたので、手術のために横になって頭が少し体より低くなる体勢で30分ほど過ごしたことにより
鼻が詰まったのかもしれない。
あと、処置による反射で涙が勝手に出てたのも相乗効果を生んだのかもw
そもそもどこも痛くはないので、なぜ涙が出ているのかについては完全にミステリーだw
そこで看護師さんが、ベッド側面のボタンを操作して、上半身を少し起こせる角度に変えてくれたので
ベッドが起き上がっていくのに合わせて、座椅子にゆるく腰掛けているような体勢になった。
鼻をかんだら鼻水が出せそうという感じではなく、とにかく詰まっている状態だった。
あとなんか涙がまだすごい。
看護師さんが紙コップに常温の水を入れてきてくれたので、ゆっくり、回数をかけて全部飲んだ。
少しその体勢でおちついてから、「一度、試験的にトイレに行ってほしい」ということだったので
看護師さんの誘導でトイレへ行った。
ちゃんと排泄がされるか確認する必要があるので、みたいなことを言ってた。
寝起きのような若干のふらつきというか、全身がだるくて力が入らない感じがあったが
転倒するほどではなかった。
そのあと、看護師さんがまたカーテンを閉じて、パジャマから普段着に着替えておくように指示された。
鼻が通ってきたので、意識もくっきりしてきたが、気道の入口に明らかに大量の痰があるのが気持ち悪かった。
だからそのあとで、主治医の先生と麻酔科の先生が最後の様子見に来て、
痛かったりおかしな感じがするところはあるかどうか尋ねられて、電子パッドに
「気道に痰が強くからんでいる感じ」
と伝えたが
「気道挿管による痰や違和感は数日残ると思いますが、咳払いなどをせずに耐えてください」
「とにかく我慢だ、全部我慢」
と二人がかりで言われたw
ならしょうがないなと思った。
怖いのは、呼吸に伴ってこの痰が気道の方に吸い込まれそうになった時、おそらくむせてしまうだろうということで
そうなったら咳払いをするよりも結果的に大ダメージになるだろうなと思ったので
呼吸そのものを慎重にするようにした。
風邪の治りかけのときなんかに、気道の入口付近で痰がゴトンゴトンと鳴る経験はないだろうか。
鼻なんかでも、鼻水がたくさん溜まっているときに、鼻をかむとゴトンと出てきたりする、あの感覚。
そのくらい気道の入口にもやもやを感じたが、意識が戻ってきたのでお会計を済ませて帰ることになった。
事前に市のインターネット申請窓口を使って、高額医療費補助制度の認定証を送ってもらっておいてよかった。
マイナンバーカードを保険証として提示する場合なら、ボタン操作の最後に「高額医療費制度を使いますか」の項目が出るので
そこで「使います」すればいいけど、初めて利用するクリニックだったために、紙の保険証の提示を求められた。
このケースに備えて、高額医療費認定証を郵送で取り寄せておいたのだ。
申請はインターネットで出来たから市役所に行く手間もなく、
早めに手続きしておいたから5月中に郵便で届いたし正解だった。
ただ、窓口で、最初に保険証の提示を求められた時に、
「あ、いつもマイナンバーカードでやってるけど、最初の利用だから紙の保険証なんだな」
とかなんとか考えている間に認定証のことを忘れてしまったので、会計時にそういえば…と出したら
「今度から、受付時に保険証とセットで出してください」
と言われた。申し訳ないことをした。
それで修正版の領収書をもらって、会計を済ませて帰路に着いた。
帰路に着いて、しばらくして異変を感じた。
といっても、気持ち悪いとかフラフラするとかではなく、「めちゃくちゃトイレがちけえ!」ということだ。
30分間隔でトイレ(小)に行きたくなる。
これは麻酔というよりも、その前から予め点滴されていた薬液の副作用なのだろうか。
朝から4時間くらい水分を補給していなかった後で、手術の終わった後に小さな紙コップで2杯分の水を飲んだ。
カバンに予めペットボトルの水も入れてきたが、それをがぶ飲みしたというわけでもない。
だから手術の後の水分補給量は別に多くもないし、全部ただの水!
が、手術後、家に着くまでの間に30分おきにトイレへ4度くらい行った。
これは予想していなかった。
もしかしたらお医者さんたちも予想していないことかもしれない?
麻酔から覚めた後に、看護師さんの
「退院前に一度はトイレに行ってもらって排泄に異常がないか確認したい」
という話で一度病院のトイレに行った。あれはフラグだったのか!?
それから退院するまでに1時間はかかっていないと思う。
有楽町から東京駅は1駅。つまり退院から数分後、東京駅の改札を出る前に、トイレに寄った。
更に、改札を出て30分後に高速バスに乗ったが、バスでもすぐにトイレに入った。
バスが走り出してからもまた走行中に一度トイレに入り、
弟に、スマホのメモに書いた筆談で「トイレの間隔が異様に短すぎる!」ということを伝えた。
そこで「点滴の効果なのかな?」という話になった。
お茶の利尿作用なんか目じゃないくらいトイレちけえ!! 何!? こわ! ここまでで一番のホラー!!
電車じゃなくてバスで帰ってよかった。バスなら車内にトイレあるからな。
食事に関する注意も色々とあり、まず術後最初の食事は15:30以降から可能とのことだった。
また、アイスのような冷たい物は反動で戻してしまうことがあるので、常温に近いものにしましょうとのことだった。
消化に良いもの、例えばうどんや、栄養の含まれるゼリー飲料などから再開、
大丈夫そうなら、あとは通常通りの食事でOK。
しかし、声帯のことを考えると、カフェインや刺激物は避けるに越したことはないとも書いてある。
じゃあしばらく、カフェイン入りの熱い紅茶は、家でも淹れない生活になるなぁ。
お茶を飲むなら麦茶や、ルイボスなどのノンカフェイン、ハーブティーの類になるかな。
うどんは、これを見越してストックしてあるから、今夜はサラダうどんだ! などと思いながら帰った。
15:30を過ぎた頃には、つくば駅へ着いていたので、Q'tで遅いお昼を食べることにした。
私は前日のサイゼから何も固形物を食べていないが、弟も途中コンビニで買ったパンを
食べたか食べてないか……知らないけど、とにかくちゃんとした食事は摂ってないはずだから
フードコートにでも寄ろうということになった。
私は一旦ウィダーを飲んでみて、特に気持ち悪くもないし、むしろ空腹を感じるし食欲もあるな
と思ったので、弟の食事が済んでから、代わりに注文をしてもらって海鮮丼を食べた。魚丼屋の。
魚丼屋の海鮮丼はお手頃で美味しいよ。
熱いもの、冷たすぎるものを避けると、ざるそばざるうどんだとか、海鮮丼だとかになるよね。
魚丼屋、あまり店舗数が多くないから、多くの都道府県でお店自体を見かけないと思うけど……。
メニュー表で、ひときわ異彩を放っているのが、「ねぎとろ丼1kg」だよ。
他のメニューは、普通に海鮮を色々な組み合わせや量で盛り合わせたものなのに、
ねぎとろ丼1kgだけ、「ここだけCoCo壱番屋」みたいな面してるし、見た目のインパクトもおかしい。
日本昔話に出てくる、丼の上に逆さまにした丼もう1個分のご飯が乗ったような盛り方のねぎとろ丼だ。
誰かが食べているのは見たことがない。
弟はねぎとろが大好きなので、案の定メニューのその部分に反応していた。
(でも弟はそのときは、魚丼屋ではなくて他のお店の麺類を食べたけど)
個人的には、魚丼屋のお茶漬けが気になる。
海鮮丼より熱いはずだから、次の機会には食べたい。
術後最低3日間は「完全沈黙療法」をとるので、会話も一切してはいけないし、咳やくしゃみも我慢しないといけない。
とはいえ、気道の入口の大きな痰が、帰り道の途中でゴフッと出てきたから
これは咳カウントに入るのだろうか……と思ったw
ゲホゲホ! というのではないんだけど、普通に呼吸してて息を吐いたときに
出てくる息に痰が押し出される形でゴトンと。
まぁ奥に吸い込むよりはいい。
そんなことが、その日のうちに3回くらいあった。
ゲホゲホではなく、まさにゴフッという感じw
何が困るかと言うと、このゴフッはいつ出るか予想がつかない。
なんせ、どこかしらの、痰が一定量以上溜まった段階で、普通に無意識にしている呼吸の「吐くタイミング」に合わせて
ほとんどランダムに前触れなく出る。
だから「あ、咳が出そう、我慢しなきゃ」などと思う隙は存在しない。
くしゃみのような前兆を一切感じさせない不意打ちだ。
もう気付いたときには出終わっていると言って良い。
できれば、咳をせずに、それでいて確実に痰は気道から出したい。
痰が出てきた後も、しばらく時間をかけてまた痰が溜まってゴフッとランダムに出てくるという感じだったので
私はその経験の中で、咳っぽい挙動を避けつつ吐き出す息の圧だけで痰を静かに食道の方へそれとなく押し出し
飲み込む術を会得した。
私はこれを
息の呼吸 痰の型 吐き
と名付けることにした。
元々喘息持ちの人間は、「無意識の呼吸を行えない、吸うのも吐くのも苦しい」または
「呼吸や会話がこみあげるような咳を催す(咳喘息)」という発作を経験し、その結果
全集中の呼吸 常中を身につけている気がしてきた……。
元々息にはうるさい。
だから、咳を伴わずに気道から痰を吐き出すなんていう奇術もすぐに身につけてしまったのかも。
というわけで、ご飯を食べたので弟の車で家に帰ってきた。
一息つくなり、アマプラで『RRR』を見始めた。
弟と見るので、一応日本語音声にした。
あとで、ジェニーは英語で喋っていてビームはテルグ語で喋っているから、言葉そのものは通じていない
ラーマは通訳が可能というような補足説明を入れた。
(それに、INTERRRVALのところでインド本国では15分程度の休憩があったのだが、
日本の劇場公開では休憩がなくてぶっ通しだったという話も)
これは日本語音声になってしまうと、二人が別々の言葉で喋っているシーンが全部日本語で聞こえてしまうので
却ってわかりにくくなってしまう部分だ。
なぜかこの日、『RRR』のレンタルが通常¥500のところ、¥100で見られたのでラッキーだった。
私は、弟と「コードギアス履修者が『RRR』を見たときにいだく感想」について話したかったので
一緒に見てもらいたかったのだ。(私自身は人生4回目の視聴だ)
これで弟もナートゥをご存知になったわけだな。
コードギアス履修済みなので私の言いたいことが伝わってよかった。
そのあと、カイジのアニメ第1シーズンを垂れ流しながら、私は2人分晩ごはんを用意した。
サラダうどん作って、弟のために買っておいたハッシュドポテトをこんがり焼いた。
弟は芋好きなので、ハッシュドポテトは好評だった。よかった。
朝早かったのもあって、順番に風呂食ったら良い感じに眠くなったので寝た。
翌朝、弟は実家へ帰っていった。
付き添い、本当に助かった……。
■手術翌日以降
翌日は日曜で、だらだらする日ということにした。
というのも、月曜はまた診察で東京へ行かなければいけないから……。
金・土・月と東京往復なので、日曜はだらだらすべきだと思った。
薬が4種出ていて、用量・用法が異なるものが混在しているので注意して飲む。
昼ごはんの後は眠くなったので、安静にしておくのにちょうどいいと思い、濡れマスクをして眠れるだけ寝た。
雷雨で瞬停があり、パソコンが落ちてしまったが起動しない方がよさそうだったので
そのまま雷のゴロゴロ言う中寝てた。
手術が終わってから24時間経過する中でわかってきたのは、
8〜10時間おきくらいの頻度(つまり1日に2〜3回ペース)で、突発的・発作的に喉の右側の声帯の近くなのか、気道の入口なのか
どちらとも明確には突き止められないが、とにかくそのへんで、針で数度チクチク刺すような感覚が発生する。
完全に「発作」というに相応しい。
これが起こると、咳でそのチクチクを誤魔化したい衝動に駆られるが、咳・くしゃみは一番してはいけないことなので
必死にそれを堪えて、飲み物を少量ずつ流し込むとか、ミントタブレットを舐めるとか、
噛むブレスケアで息をスースーさせるとか、マヌカハニーを舐めるとか、色々な対処法を試してみた。
水を飲むのは、チクチクを抑え込む力は少量。飲まないよりはマシ。
冷たい麦茶の方が水より少し効果的に感じた回もあった。
ミントタブレットは、チクチクが発生してから飲むと、違和感を強くする回があった。
発作が起こるのを未然に防ぐ効果はありそう。
程々に舐め続けておくといいかも? 人工甘味料でお腹が緩くなったりはあるかも。
ブレスケアも、うまくするとすぐにチクチクを弱めてくれる回があったが、ダメな回もあった。
マヌカハニーも、発作が起こるのを防ぐために定期的にちょびちょび舐めるのがいいのであって
チクチクが始まってから口に入れると、却って危険そうなときがあった。
この発作が起こると、呼吸も不安定になるので意図せず「スッ」と強めに息を吸い込んでしまうことがあり
蜂蜜混じりの唾が気管の方へ行ったらすごく咳き込んでしまうだろう。絶対に避けたい。
今のところ一番安全なのは、麦茶を落ち着いてゆっくり、少しずつ飲む、かなあ?
喉を乾燥させないように、常にちびちび水を飲み続けたり、飴やガムなんかを口に含んでおくのが良さそう。
幸い、今までのところ「寝ている時に突然発作が!」ということは起こっていない。
多分濡れマスクをしているのが効いているのだと思うから、起きているときもマスクをしておくと
喉の乾燥を防げて良さそうではある。
でも、そろそろ気温も湿度も上がってきているので、日中はマスクをして外出なんかすると
もう帰りには頭が痛くなってくる。
うまいこと、つけたり外したりで調整しないと……。
この発作が起きると、チクチク感が収まった後に、気道入口に明らかに大量の痰が溜まっているのがわかるので
その痰を慎重に「息の呼吸 痰の型」を使って吐き出す必要がある。
焦って出そうとするとむせるリスクがあるが、自然と出てくるのを待っていると、
結局「咳が出そうと思う間もなく出てくる咳」を伴うので難しいところだ。
一番は、この謎の発作的なチクチクが起こらないようにすることだと思う。
そこで、ヴェポラッブも活用することにした。
ヴェポラッブは、主にワセリンで出来ているのでかなり質感がベタベタするところが難点ではあるが、
喉元、胸元、背中の手が届くところに少量ずつ塗る。
あと、部屋にいるのであれば、アロマポットに水を入れて、ティースプーン1杯分のヴェポラッブを
アロマオイルとして焚くという使い方もある。
特に寝室でやると、寝るときに鼻が詰まりにくいから良い。
それから、お風呂ではクナイプ入浴剤のユーカリを使っている。
これもスースーする蒸気を吸えるので良い。
ちなみに、飲み薬4種以外に、朝・夕に1回ずつスチーム吸入器で吸入するステロイドの薬液も処方されているので
それを日に2度吸っているわけだが、これをやってもやはり8時間に1回くらい喉がチクッ! となる。
気道に切り傷でもあって、それが塞がったり開いたりしているんだろうか……。
今、一番の悩みはこのチクチク発作である。
これさえなければ、沈黙療法自体はコンプリートすることにそこまで困難を感じないのに。
月曜日、手術後最初の診察でいつものクリニックに行った。
実は、手術の日程が確定した段階でここらへんまでの先々の診察予約を入れてあったのだけど、
手術後には、翌日か翌々日に経過を見せてもらう必要がある、と言われていて
日・月どちらがいいですかと訊かれた。
金・土・日、3日連続東京はきついな、と思ってせめて月曜にしようと思ってここにした。
でも、考えてみると、第1・3土曜に手術を行っているから、そのうちの何人かの患者さんは
日曜(午前)に手術後外来に来ているのか。
それって、先生が大変だなぁと思った。
全然休めないじゃん。
定期休診日が水曜と日曜午後のみ。
土曜は、第1・3の午前は手術出張ってことだもんなぁ。ハードだなぁ。
それなのに、ひとりひとり全部丁寧に診察してくれてるので、頭が下がる思いだ。
この日は、朝の6時半に緊急地震速報で一度起きた。
スマホはブーブー言っているが、一向に揺れが来ないなと思って画面をよくよく読んでみると
「富山沖」の文字が見えたので、
「だとしたら仮に揺れたとしても、そこまでの大きさにはならないんじゃないかな」
と思って二度寝した。
まぁ元旦のは、それでも結構長く揺れたから、よほどすごい規模だったという話だけど。
今日もまた、1時間早く最寄り駅に着いてしまったので、ちょっとウロウロしてから行った。
まず最初に、手術の劇的ビフォーアフターのブロマイドを渡された!!!!!
劇的!!!!!
劇的に、地味!!!!!
上が術前で、下が術後。
記事の上の方に貼った断面図の「上」から見た映像だから、結節は死角気味になっていてわかりにくいと思う。
黄色い丸で「このへんにあったはず」という部分を囲って示しておいた。
左側は、術前の画像を見ると膨らみがわかる。
実際、手術時に、声を出していなくても膨らみが目で見て確認できたので、それをきれいに削ぎ落として真っ平らにしたとのこと。
一方右は、声を出しながらスコープで撮影するとたまに膨らんで見えるという状態だったので、
黙っている時はほぼぺたんこで、何も無いに等しい見え方。
しかし、そこに薄皮一枚分の、浮腫の名残があるのは確かなので、この手術で削れる中の
最低限の薄さを削ったみたいで、確かに上下を比較すると、術後ではうっすらと削られている。
それに、術後は声帯が充血しているのもわかる。
だから、手術後は、声帯炎の状態なのだそうだ。
しかし、痛覚がないために、声帯炎が起こっているからといって、それを自覚症状で察知することができない。
だからこそ、声帯結節のように、ダメージが蓄積して痛みなどは感じないまま発症・悪化してしまう病気が存在するのだとも言えるな……。
人生において、声帯をこのように間近でカメラ撮影してもらうことなんて普通はないし、
ましてやそれを手術の前後で比較できるようにブロマイドに出力して渡してもらえるなんてことも思っていなかったので
「なんと貴重な体験ができたことか」
と思ったw
もちろん、病気になんてならないことが第一ではあるがw
こんなことでもないと、なかなかこういうものを見る機会は得られないのも事実だね。
今回の場合は、沈黙療法中なのもあって、口からスコープを入れて「えーー」ではなく
経鼻内視鏡で、少し浅いところから遠目に声帯の腫れのみを確認した。
結節を削り取った後の部分が、大きく腫れているというようなことはなかったので、
ひとまずそれでOKみたい。
また、仮に腫れてくるとしたらむしろ月・火からだとのことで、薬が1種追加で処方された。
飲むステロイドだ……! 初めて飲む。
ステロイドは、吸入はよくするし、前に花粉症アレルギー用の注射もしたことがあるけど、
飲むのだけはなかった。
飲むステロイドは、吸入と比べるとやはり副作用が色々あるし、強いので
アレルギー科の先生も、「最後の手段だからなるべく取りたくない」と仰っていたしな。
まぁでも、少量を5日間のみなので、過度の心配は要らないと思う。
強いて言えば、「最低3日間の沈黙療法」が、「次の診察日(木曜)まで延長」ということになったので
まだ次の「ハミング発声療法」の段階には進んでいない。
とはいえ、沈黙療法も大体5日間までを目処に終わりにして、少しずつ声を出し始める方が
治りが良いと考えられているみたいで、おそらく木曜の診察で問題がなければ
ハミング療法が始まるのではないかと思う。
そして、これから引き続き生活の中で気をつけなければいけないのは、咳やくしゃみなど
瞬間的に声帯に強い負担がかかる動作をしないよう我慢すること。
また、私は全然関係ないけど、お酒を飲む人は3週間禁酒みたい。
食事は、刺激物を避ける。まぁ元々私は辛いものを率先して食べることはないが。
それと、カフェインは最低でも術後1週間くらいは避けるのが無難のようだ。
麦茶やルイボスを買っておこう。
それと、ちょっと盲点だったが運動にも制限があり、呼吸数や心拍数が上昇するような激しめの運動も2週間控える。
つまり、私はBeatSaberやジョギングをしばらくやらんほうが良いw
そして、息を止めて「フッ」と力を込めたり、息を止め続けたりするようなパワー系の筋トレも
3週間はストップらしい。
息を止めるという動作は、声帯を強く閉じる形になるから。
私はパワーリフティングとかはしないけど、腹筋ローラーなんかは伸びて戻すときに
息を殺しがちに思うからしばらく休みかな。
というわけで、ゆっくり時間をかけて1万歩歩くようなウォーキングをすることにする。
元々、手術前も週に3万歩くらい歩いていたので、術後3日を過ぎたらまた歩き出すことにした。
まぁ嫌でも週3万歩歩くけどね、週2で東京行くわけだし……。
あとは、屈伸やストレッチなど、呼吸の乱れないような動作で体をほぐしておこうと思う。
安静にとは言っても、1日中PCデスクの前で椅子に座っていると、脚もむくむし良くない。
発声の方は、沈黙療法の後にまずハミングなどのリハビリ発声が始まってそれを3日間くらいかな。
すると手術から数えて都合7〜10日くらい経過する計算になり、そこから日常会話を軽く再開。
もちろん喋りすぎてはだめ。
術後3週目に入ったら、日常会話を通常通り開始で、経過が良ければ歌を無理ない範囲で再開。
で、仕事は早ければ手術から1ヶ月半で再開。遅ければ3ヶ月後から。
声の調子自体は、長いと半年くらいの時間をかけてゆっくり安定していくみたいだから、
それまでの間は、まだ万全と感じられないかもしれないけど、そういうものだと思って焦らず様子見していく予定。
今この部分を書いているのが6/5の深夜だから手術から5日が経過しようというところだけど、
ここまでの期間に声を出した時間は、合計してジャスト1秒たりうるかどうか、というくらいには声を発していない。
声が出てしまったのは、ほとんどすべて咳! 声が出た、と言えるのかも微妙なラインだ。
まずそもそも会話は一切していない。
月曜の診察から帰ってきて、またサイゼに寄ったけど、そのときにジェスチャー・筆談・セルフレジですべて乗り切った。
(ちなみにそのときはピザと小エビのサラダを食べた)
コンビニで袋が欲しかったので、店員さんが
「袋要りますか?」
と尋ねてきた時に、目を見ながら口だけ
「おねがいします」
と動かして声は出さずに袋に詰めてもらうことに成功した。
念の為、スマホのメモ帳に
「袋お願いします」
と書いた状態で画面を止めておき、伝わらなかった時に見せる保険も用意しておいたが使わなかったw
寝るときは、スリープマイスターという睡眠管理アプリで、寝言を録音することができるが
これによるセルフ調査の結果、寝言やいびきは元々ほぼ皆無と言っていい人間であることが判明していて、
何回録音を聞いても、「寝返りを打つときの布団の衣擦れの音」しか収録されていない。
一晩に3回ほど。
月曜の朝なんかは、衣擦れが2回と、最後のひとつは緊急地震速報の「地震ですブイーブイーブイー」だったw
だから寝言の心配はほとんどない。
今までにスリープマイスターで寝言っぽいものが収録出来たときは、歌を歌っていたのが恐怖だけど。
「こいつ、寝ながら歌ってやがる……!」
ってなった。
私はよく夢の中、もしくは夢を見ていないときでも、睡眠中ずっと脳内で何かしら音楽が流れている。
夢の中の場合は、即興で脳が作り出したオリジナル曲が流れている場合すらあり、そこでしかも明晰夢に切り替わるので
「あ、これ夢だ! 夢の中で知らない曲を歌っている! つまりこれは私のオリジナル曲!
起きてDAWで打ち込むために、サビだけでもメロディーを覚えて起きなければ……ムムム」
と思っている。
多分そういう時は、それが鼻歌になって漏れている。
そして、目が覚めるとメロディーは忘れていて、「知らん曲の夢を見た、忘れた、悔しい」という思いだけが残るw
なんにせよ、寝言が気になる人は、寝言やいびきが気になる人用の就寝用のテープみたいなものがあって
それを口に貼って、口が開かないようにして寝るなんて対策もあるらしいよ。
私は、鼻が詰まっていなくて、マスクをしていれば完全に無の状態で眠れるみたいだからよかった。
子供の頃なんかは
「この子死んでるんじゃないか?」
と親が脈を取ったりしたと聞いたしな。
以上で、ひとまず手術後5日までの日記とする。
また、経過観察の中で色々あると思うので、それは別の記事にまとめてリンクする予定。
果たして、私が『Supernova』を録音できるのはいつになるのか!!
(『Supernova』は、声帯結節になっていなかったら去年秋頃に収録したかった曲)
続く
続き
声帯結節手術後の経過メモ(術後2週間まで)
※日記だから、「その日私の身にあったこと」をたくさん書いています。
手術以外の余談もいっぱいだよ。
■声帯結節の検査や手術について
2024/1/5の記事【日記】 結局、声帯結節あった話 【多分要手術】で書いたように
一般耳鼻咽喉科で見つからなかった結節が、声の専門クリニックに行ったら「あるよ、手術で取ろう」
ということになったので、そのあと月1ペースで声専門クリニックに通って、仕事の量や内容を調整しつつ
手術の日取りを決め、ついに先日手術を受けてきた!
一番最初に「なんかおかしいな」となったのが昨年9月のスタジオ案件のときで
「ティ」を発音するときに、声がちゃんと張れていなくて、鼻から息が漏れているという指摘が入り
自分でもその自覚がある上、鼻から抜けるのを「意識で」どうにかするのに限界があるように感じた。
でも、それまでそんなことはなかったから、それが一番最初の異変だった。
そのあとは、徐々に症状が発現する音域や「文字」の種類が拡大していって、
何を歌っても喋っても裏返ったり、声がちゃんと出ないという状態になった。
しかし、日によってコンディションには非常に大きなムラがあり、比較的調子が良いという日もあった。
特に顕著且つ問題だったのは「息の続かなさ」。
ウェブで「声帯結節 セルフチェック」などの検索をすると
息をめいっぱい吸って楽な高さ・楽な発声で「あーーー」とロングトーンを出し続けて
20秒保たないようなら、声帯に結節やポリープなど
なんらかの隆起病変、異常があると推測される……という話が出てくる。
私は実際15秒くらいしか保たないことに気付いて声の病院に駆け込んだという経緯がある。
合唱団時代には、30秒くらい声を出しっぱなしにするトレーニングなどもあったから
「15秒は確かに短いな」
と思った。
結節やポリープがあると、発声時に余分に息が漏れてしまうので、息が続かなくなる。
実際私も、「声が出ない」というよりも、「ちゃんと声を出そうとすると、息がもたない」という症状が強く感じられて
業務にも支障をきたしている部分だった。
声を裏返らずに出せたとしても、次のブレスをすべき句読点までを読み切れるだけの息が続かない
という感じ。
だから私が手術に期待したことは、この「息の続かなさ」問題の解決が一番。
手術によって、多少声色が変性してしまうとしても、息が続くようになってくれるなら
あとの事はトレーニングでなんとかするから! っていう感じw
というわけで、月1ペースで通う中で、何度も高精細スコープを口から入れて、
えずくのを我慢しながら声帯の動きを録画撮影して、結節の有無や場所を繰り返し確認してきた。
鼻から入れる経鼻内視鏡でも声帯を観察することはできるが、口から入れる棒状のスコープの方が
解像度が高いらしく、より正確に観察できるようだった。
どうしてもえずいて無理、という場合の次善策が経鼻内視鏡。
鼻から入れてもカメラの先が一定の箇所まで降りていくとえずくことがあるのに、
口から入れるのはもっと吐きそうになることがあるw
でも、何度か検査でカメラを入れられてわかったことは、声帯撮影のスコープが口の中に入って
「えーー」
と発声・録画を始めたら、とにかくどんなに唾が出ても飲み込もうとしないのが良い。
飲み込もうとすると、喉の奥の方とカメラが直接触れてしまってえずく!
唾が出ても飲むことは考えずに、撮影が終わるまで、指示の通りに「えーーー」と言い続けていれば
えずくことはかなり避けられる、というのがわかったw
(その代わり、唾液量が多い人だと、口からだらだら唾を垂らすことになるかもw)
えずくというのは、体の反射的・生理的な反応であるから、気をつければ反応しないようにできるというものでもない。
だからこそ、何度か通う間、
「カメラ入れるの嫌だなー今日もゲェってなるのかなー
えずかないコツとかねえのかな!」
などと思っていたが、私のこれまでの経験で発見したえずきにくいコツは
・唾を飲もうとしない
・地声より裏声の方がえずきにくい
という2点だw
声帯の検査でえづきやすい人、「唾を飲み込もうとしない」というのがひとつのコツだと思うので
今度試してみて欲しいw
えずくことそれ自体は反射的に起こるから止められないけど、「唾を飲まない」というのは意識したら出来る!w
声帯結節は、多くの場合左右の同じような場所に同じようなサイズのものができて、
それがぶつかり合う「(ペンダコとかの)タコ」のようだ。
しかし、私の場合は、なんとアシンメトリーだった!!!
比較的大きな結節になっている体の左側のものはほぼ毎回の撮影で存在を確認できるのに
それとはサイズと高さが異なる右側の結節の方は、映像で見えたり見えなかったりした。
これはこれで、ちょっと特殊な事例らしい……。
手術前日の術前外来のときに、最後の確認ということでスコープを入れて、しっかり連続撮影したところ
左右の結節が声帯の振動に合わせて毎回ぶつかり合う形ではなく、
凹と凸のようにずれて互い違いに露出してくるようだった。
「なんかこういうギアあるよな」と思ったw
日やタイミングによってコンディションに大きなブレがあるのも、これが原因だったのかもしれない。
左の結節がぐいっとこちらに向いているときは右は引っ込んでいて、
逆に次の振動で左の結節が奥に引っ込むときに右が見えてきて……という感じの挙動になっているせいで
両方が同時に見やすく頭を出してくることがない。
静止画で見るたびに、どちらかがあったりなかったりするのはこのせいみたいだった。
普通は対称だから、同時に出てきて「左右のこことここに見えますね」ってなるんだろうなw
声帯手術に関するパンフレットにある図を参考に。
「上」はつまり口の方で、「下」は胃の方だ。
上からカメラを入れるので、「地声の不調」のように比較的奥にあるような結節は、
死角になってただでさえ見にくいわけだ。
声を出す時は、この薄いピンク色の「厚み0.3mm」の部分が振動しながらくっついたり離れたりする。
結節があると、滑らかな伸び縮みだとかふるえが阻害されるというのが症状の原因だろうと思う。
で、なぜか私の場合は左右の結節のサイズも位置も微妙に違ったし、左右交互に頭を出してくるので
「通常なら、右側にも同じようなものがありそうなものなのに見えるような見えないような、
あるようなないような感じ」
という状態だったのが、前日の録画でようやくその実態を掴めたという流れだった。
手術は、「全身麻酔」で日帰り。
全体の工程は2時間半くらいで終わる。
その日だけは、普段通っている声のクリニックではなくて、日帰り手術専門の病院へ行って
主治医の先生もそこへやってきて先生が執刀する形。
医療の進歩を感じる。
全身麻酔での外科手術は初めて受けたが、その日のうちに帰れるものなんだなぁと思った。
そりゃ、どこに何の施術をするのかにもよるだろうけど、声帯だから特に負荷が軽いのかもしれない。
でも私が行った日帰り手術クリニックでは、主に眼科の手術を多くこなしてそうだった。
手術を受けた子どもたちからの
「先生、目をなおしてくれてありがとう」
という手紙が沢山掲示してあった。
声帯の手術に関しては、先生と患者で日帰り手術クリニックの場所を借りるような形だけれど
日帰り手術クリニックには眼科の先生が元々いらっしゃるのだろうか。
と思って改めてサイトを見たら、診療内容のトップが眼科だったので、やはりそうかもしれない。
目もピンポイントなので短時間に少量の麻酔をかけてサッと終わらせるということかも。
私は眼科に入院したことがあるけれど、結局外科手術は不要になって退院してきたから
本当に外科手術というと、これまでに「親知らずの抜歯」しかしたことがなかったw
主治医の先生は、
「親知らずの抜歯よりも、声帯結節の全身麻酔手術の方が体への負担が軽いくらいだよw」
と仰っていたw
うーん、左下の親知らずを抜いた後は一週間ドライソケットで苦しんだから
あれは確かに負担が大きかったように思うw
(多分縫合されていたらもう少しマシだったんだろうけど)
手術が終わった後は、3〜5日間くらいの「完全沈黙療法」を経て、ハミング発声、日常会話を条件付きで解禁、
最終的には歌唱や業務への復帰へと時間をかけてリハビリしていくことになる。
これで概要は書けたので、以下は日記的に各日程の細かいことを記しておく。
■手術前
日程について。
手術は、第1・3土曜日にだけ行われていて、花粉のアレルギー症状が重ならない時期(GW明け以降)を希望して
結果、6/1になった。
「GWが明けた第3土曜」という意味では5/18にも予約可能だったのだけど、仮予約を入れた直後に
SHINDEHAIの来日予定(5/14〜21東京滞在)の連絡があったので、手術の方を後にずらした。
手術前1週間は喉を酷使しないようにというお触れがあったので、SHINDEHAIに会って気ままに話そうと思うと
このスケジュールでは無理があると思った。
知り合って11年、初めてこちらの国に来てくれるという友人とは、ぜひとも会ってゆっくり話したいではないか。
尚、「GW明け」というのは、ヒノキ花粉がそろそろ飛散終了する時期なので、アレルギーのことを考えると
最短でそこということになる。結節が確定したのが1月だったが手術を5月以降にしたのは
術後の大事な回復期間にあたる3ヶ月に花粉の時期をぶつけたくなかったからだ。
そして、実際の5/18は少しヒノキ花粉による咳喘息が出ていたので、そういう意味でも完全に結果オーライだった。
ずらして正解でしかない!
5/13の診察の時に、エナジアを出してもらったのもあって、そこから10日もすると喘息の発作も収まった。
エナジアは本当にすごい。
発作が出る前は、レルベアを予防用吸入しているけれど、それでもヒノキがピークになると
どうしても軽い発作が出てしまいがち。
発作が出た後はレルベアやメプチンを吸っても症状が軽快していかないが、
そこでエナジアに切り替えると約10日で収まる。
(逆にエナジアが効かなかったら、もうステロイドを「飲む」しかなく、
それはできるだけ避けたいと主治医は話していた)
ちなみに、私の喘息は、「ヒノキ花粉の時期だけ軽い咳喘息が出る」というものなので
あまり問題はなかったけど、気管支喘息を持っている場合は声帯手術にリスクが伴うらしい。
喘鳴が出るほどの発作持ちだと同じ方法での手術が出来ないとか。
なので事前のチェックリストには、「喘息はありません」という項目が一番上にあったりした。
前日の診察、最寄り駅に1時間半近く早く着いてしまった……。暇だ。
ラテアートとかカプチーノみたいな色の鳩
— (V)・∀・(V)かにぱん。🦀🍞@つくば (@kanipan666) June 3, 2024
可愛い pic.twitter.com/XcpBRWacex
病院に着くと、診察より先にまず録音をすることになった。
術前録音。手術前の状態を記録する。
そして、手術の後も、1週間、1ヶ月、3ヶ月、半年みたいに間を空けながら、同じ文面や条件で録音をして
経過を見るのに使うっぽい。
はじめは、名前と日付を言って、そのあとナレーション原稿のようなものを読んだ。
読み方に特に指示はなかった。
自分があとで比較したい声色などがあればそれを使うとか、ともかく読み手の判断で良いらしい。
文面は、色々な母音と子音が組み合わさるように書かれていた。
そして早口言葉のように難解ではなかったので、ぱっと見て読んでも噛むような箇所はなかった。
また、声の中の雑音を見るために、あいうえおの5母音それぞれを2秒以上伸ばして出すというのをやった。
普段話すような楽な音階。それから低い声。最後が裏声。それぞれで5母音を2秒ずつ。
次に、声域のチェックをするため、通常の会話で使っている音程を特定したあと、
そこから半音ずつ下げていくテストをした。
私はどうやら通常「レ」くらいの音で話しているらしいw
キーボードで看護師さんがガイド用に音を出してくれるので、それに沿って半音ずつ下げていく。
ちょうど1オクターブ下のレあたりで限界だった。
結節がなくて、寝起きだったらもう少し下がれたと思う。
今度は逆に、ベースとなったレの音から半音ずつ上げていって上の音域を確認した。
こちらは、上のミ・ファのところでファルセットがうまく出なくなった。
最近、ちょっと歌を口ずさんでいても、雑音が混ざりやすいのがまさにここという感じ。
音程としてそこまで高くはないんだけど、地声で出そうとすると力がいる……が、
ファルセットならまだまだ上に行けるというのがこの「ミ・ファ」あたりの音域なんだけど、
ここが結節でブルブルという雑音になって出にくい。
ちょっと出し方を変えたら出始めたので、そこからまた半音ずつ上がっていって、上はラまでとした。
上のシ♭からは本当に高いから、コンディションが良い時や、
ちゃんとウォーミングアップした後じゃないと元々きついところだねw
最近、結節によって不便に感じていたことに、息の続かなさと合わせて「声の出が遅い」というのがある。
「アタック強く発せられない」とも言える。
これも、結節が声帯の素早い伸縮を阻害しているから、脳からの発声の信号に対して
実際の音の出が遅れるのかなと思う。
このラグが自分としては実に気持ち悪くて、秒にしたら1秒にも満たない世界の話ではあるんだけど
自分が音を出したつもりのタイミングで思った音が発せられないために
読んだり、喋ったりの中で、文字に対してつっかかりを感じる(いわゆる噛む)ことが多くなった。
音を出す→出したはずの音がその瞬間に出ていないなという自覚→混乱→出し直そうとする
みたいな感じ。結果、吃りとなる感じ。
特にカ・タ・ラ行のように舌を使って出す子音のときに遅れを強く感じる。
母音では単語の頭が「エ」だとアタックを強くしにくい。
本来よりも、母音の役割を果たすべき音が遅れて出てくる、または音になりきれていない
という状態になるので、自分の声がふわふわとして掴みにくい。
もっと出だしから輪郭のくっきりした声が出せたはずなんだけどなあ、という感覚。
脳からの信号に対して、今まではラグなんか感じずに声を出していたんだ、と初めて気がついた。
声帯ってそれをなんとなく自動でやっているのだからすげえ。意味わからん。
そんなわけで、文章の読み上げではやはりこの「出の遅さ、弱さ」などを感じたし
裏声がビリビリなるのも、ギターの弦で言えば、弦が震えているところにそっと何かを触れさせて
弦の自然な振動を妨げているような状態だろう。
次に「声の持続力」を測るため、無理のない高さと声量で
「あーーー」
のロングトーンをし、その秒数をストップウォッチで測った。
事前にセルフチェックでもやったことだが、15秒だった。
その後、歯と歯の間から弱く息を漏らして「スーー」と鳴らした場合の持続力も測った。
こっちは単純に肺活量測定に近いな。
それだと33秒いけた。
更に、持続力検査に近いことで、「発声時に声帯から吐き出されている息の量を計測する特殊な機械」を用いて
楽な発声、弱い発声、強い発声それぞれで、息がどのくらい出ているかを調べた。
これは、専門的な機器だからこういう病院にしかないと思う。
椅子に座って少しだけ前に乗り出す体勢になりながら、直径2〜3cmくらいの太さの円筒を口に咥える。
この円筒は紙コップ様の素材で出来ているような感触だった。
その円筒パーツは、空気の圧を測る機械のようなものに地面と平行になる形で取り付けられている。
鼻栓をし、口と円筒パーツの周囲から息が漏れないように指で口角のあたりを軽く押さえる。
これで口から出る息は全部、咥えている白い円筒パーツの中に吐き出されるし、
鼻の穴や他の隙間から空気が漏れない状態になった。密封……!
その状態で楽な発声で「うーーー」と言う。
途中看護師さんが機械に指示を送ると、円筒の接続されている機器の中で何かが一瞬スコンと閉じ
口から息が出ているのにその空気が逃げ場を失う状態になって耳に軽い圧がかかる。
硬いゴム風船を膨らまし始めたときみたいな感じだ。
一瞬後にすぐまたスコンと言って、機器の中で何かが開いて、吐いている息がスムーズに通り始める。
これを、楽な発声、小さい声、大きな声などそれぞれで行った。
結果がこのようなグラフになって出力された。
多分グラフが急激に下がっているところが「スコン」と機器の中で蓋が閉じた瞬間だろう。
楽な発声1、2、大きな発声、小さな発声、高い発声、低い発声という6種類あるが
今回チェックしたかったのは、各グラフの3段目にある「呼気流率」というやつで、
楽な発声のときでも呼気流率が200未満というのが一応正常の範囲らしい。
私は楽な発声1でその値が234.7、楽な発声2で243.5だから、やはり少々異常があるということになる。
まぁ自覚症状があるので、それが数字で正確に捉えられたと言ったところだな。
この数字が大きければ大きいほど、結節やポリープの影響で、発声時に無駄な空気が漏れていることになり
それが「息の続かなさ」という自覚症状になって顕れるわけだ。
小さな発声、低い発声では200未満だから、そういう発声ならそれ以外と比較して少し息が続きやすいということにもなる。
ただ、仕事や歌では、ある程度の高さとある程度の強さを求められるから、
手術によって、そこの呼気流率が下がるのが理想だなと思う。
そうなれば、楽な発声も自ずと低下するだろう。
この録音と息のチェックが終わった後は、少し待合室で待機。
そのあと診察室に呼ばれて、上の紙を渡されたというわけ。
前日の診察では前述の通り、今まで見えたり見えなかったりした右側の結節が、
どうして見えたり見えなかったりするのかという謎が解明されるに至り、先生も
「ようやく実態が掴めたね、よかった!」
と仰っていた。
あるならあるで一回の手術で取ってしまった方が良いわけで、これを見過ごしてしまうと
のちのち再手術が必要になってしまうということもあるだろうから、ちゃんと特定できてよかった。
もう前日ともなると、私自身、不安よりも楽しみな気持ちの方が勝ってきた。
もはや、声帯の手術に伴って声がどうなるかとかよりも、
「手術に際して、起こり得る合併症など」のところに列挙されている
・歯牙欠損(前歯が欠けたり、歯がぐらついたりすることがある)
・軟口蓋出血
・舌の痺れや味覚の消失
みたいな項目の方が不安だったw
この図のような形で手術は行われる。
仰向けの状態。麻酔で意識をなくす。
気道挿管し、喉頭鏡というものを入れて声帯を顕微鏡で見られるようにする。
専用の刃物で、患部をうすーく切り取る。
このとき、仰向けなので舌が垂れてきてしまわないよう、上面に向かって押さえつける力がかかる。
これによって術後舌の痺れや、一時的な味覚の減衰があるらしい。
正座で脚が痺れるようなものなので、血が通うようになるとすぐに治るとか。
また、口を大きく開けっ放しにするために、マウスピースを嵌めて挿管するが、このときに上の前歯にも圧がかかるらしい。
それによって歯が欠けたり、折れたりというリスクがあるそうな。
元々の歯並びとか生えている角度、ぐらつきなどによってもリスクの度合いが変わる。
いずれにせよ、歯に何か起こってしまった場合は、歯科医の方に行くしかないので
できれば何もないと良いと思ったw
同じように、挿管の影響で軟口蓋に軽度の傷がついて出血するというようなこともなくはないらしい。
200人に1人くらいの割合で、喉頭展開というのができなくて、喉頭鏡を入れて施術するのが難しいケースもあるらしいから
そういうケースに当てはまらないと良いなと思った。
なぜなら、このケースに当てはまってしまった場合は、麻酔をかけて施術開始した後に発覚する上、
日を改めて術式を変更する必要が出てしまうからだ。
延期は嫌だー。
でもこれらは、私が気をつけて避けられることではないので
「先生方、どうかうまいことやってください、お願いします」
と祈るしか無い!w
それから、全身麻酔の薬には大豆成分が含まれているそうで、大豆アレルギーがないか確認された。
幸い私は食べ物のアレルギーは今のところ持っていないので、大豆が使われていても大丈夫だし
「大豆の成分が麻酔になるんだ!?」
という驚きもあった。
すごいね、大豆。すごいね、科学。
いや、勿論大豆だけで生成されている薬剤ということではないだろうけども!
また、左右共に、柔らかい+小さい結節だから、必要最低限の切除で済むため、
声質の変性はほとんど起こらないと思っても良いんじゃないかとのことだった。
ほぼ100%!
もちろん、経過観察中に出された薬を用量を守って飲んだり、やってはいけないことをやらないようにしたりと
慎重に回復させていくのが前提になるけど。でないと再発もありうる病気だからね。
ともかく手術で削る量としてはかなり少ないみたいだった。
なんかこう、ケミカルピーリングでお肌の薄皮を一枚だけ剥いで、たまご肌になるみたいなイメージだ……。
例えば水ぶくれが出来た時に、中の水を排出すると薄皮が一枚浮き上がる。
特に、私の結節は右側がそんな感じで、「一度炎症して腫れたところの膨らんだ名残が薄皮一枚残っている」みたいなものらしく
それを本当に一枚ぺろんと剥がすだけみたいだから、声帯全体に対しての影響は極小と言えるだろう。
術後は、削って生傷が露出した状態になるので、それがまたタコにならないように
ゆっくり再生を見守っていくというのが、3ヶ月くらいの経過観察に当たる。
これは、新しいからこういう形態なのかと尋ねてみたんだけど、新しいというより
どこかのタイミングで一度だけ、ちょっと強めに声帯が傷ついてしまって
その浮腫が残っているのではないか、もしくはかなり長い時間をかけて少しずつ蓄積されたか……
という推測が立つみたいだった。
ここ1年くらいで急激に活動ペースを上げ下げしていないつもりなので、
「あー、あの頃はそれまでと比べて過酷だったから喉に負担かかったなあ」
と思うようなタイミングがない……。
それに、最後に歌を録ったのが10月だけどそのときは「息の続かなさ」はそこまで感じなかった。
まぁ強いて言えば7月くらいに、仕事でちょっと頑張って録ったのがあって
それは高かったり強かったりする発声を連日行ったから、そういうのは蓄積してるのかなあ。
ある程度までは、「力でゴリ押す」ことがなまじっか可能な病気であるせいで、症状が隠れてしまって、
「なんだ気のせいだったのかな」
と思って普通に生活してしまったのが7〜9月かな?
で、最後に歌を録ったのが10月頭。
その後は、一時的に声帯周りの筋肉の衰えを疑ってトレーニングしてたけど、
11月〜12月は「ロングトーンが20秒続かないから声帯か呼吸器官の異常かもしれぬ」と思い始めた。
少しずつ「声出にくいな」「息が続かないな」となって、明確に自覚症状を認識できるようになったので、
1月に声のクリニックへ……という流れだったからなぁ。
まぁ20年声で活動しているのだから、20年かけてゆっくりダメージが蓄積されて
少しの傷なら自然治癒していたんだけど、ここ数ヶ月で自然治癒のスピードを悪化が上回ったと考えるのが妥当かもしれない。
それに、私が思うのは、喋ったり、歌ったり、読み上げたりということもしょっちゅうするが、
私の喉に最大のダメージを与えているのは、やはりヒノキ花粉の季節に起こる咳喘息だということだ。
その期間は、息苦しいし、よく咳き込むし、その上で仕事もするから約1ヶ月ほど、
治癒速度をダメージ蓄積が上回るのは確実なのだ。
この手術のリハビリが終わった後(半年後くらい)は、とあるボイトレ教室に行ってみて、
喉への負担が少ない発声や歌唱法、またダメージ回復の秘訣なんかを相談しようと思っているけどね。
というわけで、術前外来では手術に伴うリスクと手順などの説明を受けて、麻酔科の先生への手紙と
誓約書を受け取って帰った。
麻酔科の先生への手紙と誓約書は、当日手術クリニックの方へ提出するもの。
先生「では明日、有楽町で会いましょう」
『有楽町で逢いましょう』……ってフランク永井じゃん!!
手術クリニックが有楽町にある限り、術前外来の際に「有楽町で逢いましょう」という鉄板ギャグ(?)が永遠に使えるってわけかい!?
(全患者に通じるかどうかはともかくとして)
診察後、すぐにつくばへ戻って駅で晩ごはんを食べてから帰った。時間が時間すぎて大層混んでた。
完全にピーク時。
そして帰宅後、風呂に入って少しすると、実家で飯入って風呂食った弟が到着した。
私は、手術前日の縛りとして「固形物を口に入れて良いのは24時まで」というのがあったので
20時くらいまでに駅で晩ごはんを食べ終えてからは、固形物は何も入れないようにした。
ちなみに、すごくサイゼの口だったので、サイゼでディアボラ風ハンバーグとライス、小エビのサラダをたいらげた。
ドリンクバーをつけても1200円。安い。安すぎる。
たまにサイゼで、「私が入店したときにはすでに何かを食べ始めていたのに、追加注文を繰り返して
私が退店する時もまだ食べている人」を見る。
安いので、結構量を食べるタイプの人は、追加注文を繰り返して沢山食べるようだな。
食べる→追加注文しながら皿を下げてもらう→食べる……というのを繰り返すようだ。すごい。
手術後、運動も制限がかかるから、ベースブレッドとサラダチキンを中心にした
低糖質、低脂質食で脂肪を蓄えないようにしたいと計画しており、すでにその購入も済んでおり
サイゼでハンバーグを食べるのなんか、次いつになるかわからないぜ。
弟は、到着するなり
「実は3月中に会う機会がなかったから渡せなかった誕生日プレゼントがある」
と言って、荷物をゴソゴソし始めた。
弟も私も3月生まれで、今年私は弟に宛ててSteam経由で『デイヴ・ザ・ダイバー』を送りつけたw
弟は、昨年に続き、遊戯王のグッズやカードデッキを揃えてきてくれた!
「去年のデッキと今年のデッキを戦わせると“独り闘いの儀”ができるよw」
とのことだった。
昨年は、マハードのプレイマットももらったんだけど、今年も遊戯と海馬のプレイマットがあった。
それに、なんと遊戯王の劇伴名曲を2枚に収めた、25周年記念新「SOUND DUEL」のCDもだ。
おぉ、なんということだ。2023年11月にこんなものが出ていたとは。
実は私は、KCコーポレーションストアが2023年4月に行った
「どんな商品が販売されてほしいですかアンケート」で、遊戯王DMのサントラ『SOUND DUEL』シリーズのうち
『クリティウスの牙』が収録されている『SOUND DUEL3』などの中古価格が10万円ほどまで高騰している件を挙げ
データ販売でも盤面でもいいから、正規に新品として遊戯王の劇伴サントラがちゃんと買えるようにしてほしい
という要望を出していたのだ。
だというのに、この25周年記念のCDが発売されたことを知らなかったー!!
(弟は予約して買ったらしいw)
KCコーポレーションのメルマガも届いているのに……多分読んでなかった回にお知らせがあったんだろうなw
というわけで、
「欲しかったものがいつの間にか発売されており、知らぬ間に弟がそれを手に入れてプレゼントしてくれた」
形になったw
王様、カッコイイ……。
そのあと、弟にちょっとIdleOnのミニゲーム(私が難しいと感じている)を遊んでもらった。
しかし、弟がこのタイミングでうちに来たのは、手術の付き添いのためであるから
少し遊んだ後はすぐに寝る体勢に入った。
手術は、一番早い回が8:30、一番遅い回で11:00現地必着。
「片道2時間は見ないといけないので、一番早い回だと始発に近い時間に出る必要があるため
なるべく遅めの方を希望します」
と連絡してあって、11:00集合の回になっていた。
それでも8時半過ぎには家を出るスケジュールだ。
手術には、最低でも帰り道の付き添い、可能であれば翌朝まで付き添いがあって欲しいとのことだったので
弟には前日夜に来てもらって、当日朝一緒に病院へ行き、一緒に帰ってきて翌朝まで付き添う2泊3日プランとした。
私は、なぜか鼻が詰まって寝付きが悪かった。
眠気はしっかりあったのだが、ウトウトしてくると鼻呼吸の息苦しさから口呼吸に切り替わって「ハッ」と目が覚めてしまう
というのを何度か繰り返して辛かった。
翌日手術なので、下手に睡眠導入剤を飲んだりするわけにもいかないし、長座でストレッチしたり、
首の後ろの付け根辺りのツボを指圧したりしてなんとか寝付いた。
■手術当日
起床、準備して、弟の車で駅まで行きTXで有楽町へ向かった。
当日は集合時間の2時間前までしか水分を口に入れてはいけないという縛りがあったので
8:20くらいにペットボトルのミネラルウォーターを飲んで寝ている間の乾きを多少潤してからは
固形物も水もアウトの時間が始まった。
東京に着いてしまえば、電車なんか2分に1本くらい来るけど、TXは20〜30分に1本のペースだから、
ここは乗りはぐれたくない。1本逃して20〜30分のロスはでかい。
ということで、早め早めの行動を取った結果、10:30には到着する格好となったが、早い分には何も問題ない。
たまに1時間以上早く着くこともある。術前外来のときみたいに。
田舎から東京に行くと細かい時間調節が難しいのはこういうことだ。
県外脱出用の交通機関の1本1本の間隔が広いから、遅刻だけは絶対避けたい! とすると
結果的に5分前到着が難しく、30分前到着、1時間前到着みたいになってしまう。
書類を渡したり、問診票を書いたりした。
そして、カーテンで仕切られたベッドが並んでいるところへ行き、持っていった「前が開くパジャマ」に着替えた。
それからカーテンで囲まれたベッドに横になるように指示され、心電図を取り、血圧も測った。
そのあとは一旦診察室へ移動となった。
カーテンで仕切られたベッドのある部屋から、看護師さんについて診察室の方へ行くとき、
今まさに声帯結節の手術が終わったであろう、麻酔で意識を失っている患者さんが
ベッドで運ばれていくのとすれ違った。
多分前日に、術前外来で同じクリニックに来ていたっぽい方だろうと思った。
こうして、実際に手術を受けた人を目の前にすると、さすがにちょっと緊張してきた。
ただ、私はあまり緊張をしない部類ではあるかもしれない。
とはいえ、こういう「何か、自分に順番が回ってくるのを待つ時間」というのは、
手持ち無沙汰だし、なんかお腹がもじょもじょしてくるよね。
トイレに行きたいような、行ってもなんも出ないような感覚w
診察室へ入って、看護師さんが点滴を入れる処置をしてくれた。
左腕に刺したのだけど、針そのものが全然痛くなかったから、「え、刺した? 今? ホントに?」という感じだった。
しかも、数枚のテープで針を刺したあたりをベタベタと固定しながら、看護師さんが
「もう針自体は抜いてあって、チューブが血管に通っている状態なので、針が血管を貫通して
点滴が漏れるということはないです」
と説明してくれた。
点滴針を抜くタイプの点滴なのか。
中学生の頃に風邪をこじらせて肺炎になって、かかりつけの病院に行ったら右手の甲に点滴を刺されたことがあるけど
そのときは確か針入れっぱなしだったなあ。
最近の点滴は、針は抜いてしまうのが主流なのかな。
それとも、ある程度太い血管に刺すタイプだからこうなったのか?
なんか手の甲で点滴したときに比べると、点滴の薬液の滴る速度も早いし。ぼたぼたぼたって感じ。
この速度で麻酔液も体内に入ってくるんだな。
手術後の注意事項が裏表2面にプリントされたA4用紙を渡されて、しばらく読んでいると
主治医の先生が来た。
「最後に何か訊いておきたいことはありますか」
と言われて、麻酔の副作用について訊いてみたけど、このあと麻酔科の先生とも話すから
そこで詳しく訊いてみたほうがいいよw と言われた。なら確かにその通りだ。
麻酔から覚めた後に1時間ほど安静にして、そのまま帰路につくことになっているから、
そのときにどういうことが起こりうるのかなぁと疑問だった。
入院を前提にした手術で使われる麻酔は強かったり量が多かったりするけど、
それと比べるとここで使われる量は必要最低限なので、どんな人でも1時間後には
シャキーン! と帰っていかれます。帰れなかった人は見たことないよw と仰るので
それはすごい、大豆(?)すごいと思った。
それ以外には、今になって訊いておきたいようなことは特になかった。
「先生はなんで、声専門のお医者さんになろうと思ったんですか?」
みたいな、先生個人に対する素朴な疑問とかならあるけどw
それだとインタビューになってしまう。
次に麻酔科の先生が来て、点滴で麻酔を注入すること、注入から20秒程度で意識がなくなることなどを説明された。
ちなみに副作用としては、いわゆるアレルギー反応のように、皮膚に発疹が表れるとか
酷い場合は呼吸困難に陥るというケースがあるが、麻酔を実際に使ってみないと
こういう反応の有無はわからないということだった。それもそうだ。
まぁでも自分は今までに薬に対するアレルギーを起こしたことがないし、
親族でもそういう話を聞いたことがないので、おそらく大丈夫な確率が高いだろうと思った。
大豆も平気だし。
あと麻酔からの覚醒後に多少ふらふらとはすると思うけど、寝て起きてだるい
という感覚に近そうな話だった。
そのあと診察室で弟と共に待機すること10分。
もうすぐ正午だなぁと思っていると、手術室の方へ移動しますよーと誘導の看護師さんが来た。
点滴の薬液バッグが垂れているタイヤ付きのアレをカラカラやって手術室へ入ると
横幅のあまり広くないベッドがあり、
「ここに腰掛けて、靴を脱いでから、頭はこのドーナツ型の枕にはまるような形で寝転んで」
と指示された。
腕が落ちそうだなと思っていると、看護師さん二人が左右から血圧計や心電図計をテキパキ取り付けつつ
ベッドの縁を丸めて持ち上げるようにして腕が落ちないように固定する処理を進めていった。
たこ焼きが乗っている舟みたいな形にベッドが軽く湾曲した格好だ。
そして麻酔科の先生が酸素マスクを口の周りにあてがって
「ゆっくり深呼吸を続けていてください。
麻酔を注入し始めます。点滴の刺さっている部位が少し鈍く痛くなってきます」
と実況した。
私はそれを聞きながら深呼吸を繰り返しつつ、確かに左腕の点滴箇所がずーんという感じかもしれないと思った。
あと、目を開けていると天井とか蛍光灯がぐわんぐわんと目眩のように揺れ始めたので
薬が効いてきているから、抗ってもしょうがないし寝よう、と思って寝た。
次に、看護師さんの
「手術終わってますよー!」
の声で気がついた。
なんというか、その感覚自体は寝起きにかなり近いけど、最初に思ったのは
「喉、喉はどうなった? 喉は……すごく乾燥してヒリヒリしている感じだ」
ということ。
空気が乾燥して冷えている冬の夜に、大きないびきをかいて寝た後なのかなみたいな。
いびきをかかないのでわからないけど、乾燥している夜に口呼吸で寝たら多分こんなふうに喉がヒリヒリすると思う。
ヒリヒリしているんだけど、唾を飲もうとしたら今度は、気道の入口に痰がからんでいるというのがわかった。
飲み込みづらい。
でも、術後は咳・咳払い・くしゃみなどもご法度だと聞いていたから、ここで痰を吐き出すために
咳払いしてはいけないはずだと思って、なんとか飲み込めないか試みるが難しかった。
というのも、どうも鼻がめちゃくちゃ詰まっているようで、「飲み込む」という動作を阻害している。
それでもなんとか、ない唾を飲み込んでみると、喉の奥の方で何かがひっくり返るような感覚がした。
ずれていた関節をコキっと戻したような……。
次に、普通の寝起きと違ってとにかく目だ、目が開かない! と思った。
でも涙が流れ続けている感覚があり、開けようとするとしょぼしょぼと眩しくて、更に涙が出てくる。
もしかして麻酔がかかって施術を受けている間、私はずっと開眼していたのだろうか!?
そういう、長時間目を開け続けていたかのような、乾燥を眼球に感じた。
だからしょぼしょぼして、目を開けると涙が出てきて、その涙の影響で鼻が詰まって、
鼻が詰まっているから口呼吸をして喉がヒリヒリして……みたいなことが起きているのではないか
そういう感覚だった。
看護師さんが来て、どう? 寒い? というので、頷く。
めちゃくちゃ冷えるというほどではないが、末端が冷えている感じがする。
電気毛布が掛けられた。
「あと5分くらいでお水が飲めますから、飲んでみる?」
と言われて頷く。
まだ横になっていたが、看護師さんが、書いてすぐボタンで消せるメモボード、いわゆる「電子パッド」を持ってきた。
こういうやつ。
ていうか、ペンの形状とかついている箇所とかを見ると、これそのものな気がする……。
何が辛いか書いてみて、と言われたので、寝転がったまま重たい右腕をなんとか上げて
腹の上で電子パッドに「はなづまり」と書いた。
術前は普通に鼻が通っていて鼻呼吸出来ていたので、手術のために横になって頭が少し体より低くなる体勢で30分ほど過ごしたことにより
鼻が詰まったのかもしれない。
あと、処置による反射で涙が勝手に出てたのも相乗効果を生んだのかもw
そもそもどこも痛くはないので、なぜ涙が出ているのかについては完全にミステリーだw
そこで看護師さんが、ベッド側面のボタンを操作して、上半身を少し起こせる角度に変えてくれたので
ベッドが起き上がっていくのに合わせて、座椅子にゆるく腰掛けているような体勢になった。
鼻をかんだら鼻水が出せそうという感じではなく、とにかく詰まっている状態だった。
あとなんか涙がまだすごい。
看護師さんが紙コップに常温の水を入れてきてくれたので、ゆっくり、回数をかけて全部飲んだ。
少しその体勢でおちついてから、「一度、試験的にトイレに行ってほしい」ということだったので
看護師さんの誘導でトイレへ行った。
ちゃんと排泄がされるか確認する必要があるので、みたいなことを言ってた。
寝起きのような若干のふらつきというか、全身がだるくて力が入らない感じがあったが
転倒するほどではなかった。
そのあと、看護師さんがまたカーテンを閉じて、パジャマから普段着に着替えておくように指示された。
鼻が通ってきたので、意識もくっきりしてきたが、気道の入口に明らかに大量の痰があるのが気持ち悪かった。
だからそのあとで、主治医の先生と麻酔科の先生が最後の様子見に来て、
痛かったりおかしな感じがするところはあるかどうか尋ねられて、電子パッドに
「気道に痰が強くからんでいる感じ」
と伝えたが
「気道挿管による痰や違和感は数日残ると思いますが、咳払いなどをせずに耐えてください」
「とにかく我慢だ、全部我慢」
と二人がかりで言われたw
ならしょうがないなと思った。
怖いのは、呼吸に伴ってこの痰が気道の方に吸い込まれそうになった時、おそらくむせてしまうだろうということで
そうなったら咳払いをするよりも結果的に大ダメージになるだろうなと思ったので
呼吸そのものを慎重にするようにした。
風邪の治りかけのときなんかに、気道の入口付近で痰がゴトンゴトンと鳴る経験はないだろうか。
鼻なんかでも、鼻水がたくさん溜まっているときに、鼻をかむとゴトンと出てきたりする、あの感覚。
そのくらい気道の入口にもやもやを感じたが、意識が戻ってきたのでお会計を済ませて帰ることになった。
事前に市のインターネット申請窓口を使って、高額医療費補助制度の認定証を送ってもらっておいてよかった。
マイナンバーカードを保険証として提示する場合なら、ボタン操作の最後に「高額医療費制度を使いますか」の項目が出るので
そこで「使います」すればいいけど、初めて利用するクリニックだったために、紙の保険証の提示を求められた。
このケースに備えて、高額医療費認定証を郵送で取り寄せておいたのだ。
申請はインターネットで出来たから市役所に行く手間もなく、
早めに手続きしておいたから5月中に郵便で届いたし正解だった。
ただ、窓口で、最初に保険証の提示を求められた時に、
「あ、いつもマイナンバーカードでやってるけど、最初の利用だから紙の保険証なんだな」
とかなんとか考えている間に認定証のことを忘れてしまったので、会計時にそういえば…と出したら
「今度から、受付時に保険証とセットで出してください」
と言われた。申し訳ないことをした。
それで修正版の領収書をもらって、会計を済ませて帰路に着いた。
帰路に着いて、しばらくして異変を感じた。
といっても、気持ち悪いとかフラフラするとかではなく、「めちゃくちゃトイレがちけえ!」ということだ。
30分間隔でトイレ(小)に行きたくなる。
これは麻酔というよりも、その前から予め点滴されていた薬液の副作用なのだろうか。
朝から4時間くらい水分を補給していなかった後で、手術の終わった後に小さな紙コップで2杯分の水を飲んだ。
カバンに予めペットボトルの水も入れてきたが、それをがぶ飲みしたというわけでもない。
だから手術の後の水分補給量は別に多くもないし、全部ただの水!
が、手術後、家に着くまでの間に30分おきにトイレへ4度くらい行った。
これは予想していなかった。
もしかしたらお医者さんたちも予想していないことかもしれない?
麻酔から覚めた後に、看護師さんの
「退院前に一度はトイレに行ってもらって排泄に異常がないか確認したい」
という話で一度病院のトイレに行った。あれはフラグだったのか!?
それから退院するまでに1時間はかかっていないと思う。
有楽町から東京駅は1駅。つまり退院から数分後、東京駅の改札を出る前に、トイレに寄った。
更に、改札を出て30分後に高速バスに乗ったが、バスでもすぐにトイレに入った。
バスが走り出してからもまた走行中に一度トイレに入り、
弟に、スマホのメモに書いた筆談で「トイレの間隔が異様に短すぎる!」ということを伝えた。
そこで「点滴の効果なのかな?」という話になった。
お茶の利尿作用なんか目じゃないくらいトイレちけえ!! 何!? こわ! ここまでで一番のホラー!!
電車じゃなくてバスで帰ってよかった。バスなら車内にトイレあるからな。
食事に関する注意も色々とあり、まず術後最初の食事は15:30以降から可能とのことだった。
また、アイスのような冷たい物は反動で戻してしまうことがあるので、常温に近いものにしましょうとのことだった。
消化に良いもの、例えばうどんや、栄養の含まれるゼリー飲料などから再開、
大丈夫そうなら、あとは通常通りの食事でOK。
しかし、声帯のことを考えると、カフェインや刺激物は避けるに越したことはないとも書いてある。
じゃあしばらく、カフェイン入りの熱い紅茶は、家でも淹れない生活になるなぁ。
お茶を飲むなら麦茶や、ルイボスなどのノンカフェイン、ハーブティーの類になるかな。
うどんは、これを見越してストックしてあるから、今夜はサラダうどんだ! などと思いながら帰った。
15:30を過ぎた頃には、つくば駅へ着いていたので、Q'tで遅いお昼を食べることにした。
私は前日のサイゼから何も固形物を食べていないが、弟も途中コンビニで買ったパンを
食べたか食べてないか……知らないけど、とにかくちゃんとした食事は摂ってないはずだから
フードコートにでも寄ろうということになった。
私は一旦ウィダーを飲んでみて、特に気持ち悪くもないし、むしろ空腹を感じるし食欲もあるな
と思ったので、弟の食事が済んでから、代わりに注文をしてもらって海鮮丼を食べた。魚丼屋の。
魚丼屋の海鮮丼はお手頃で美味しいよ。
熱いもの、冷たすぎるものを避けると、ざるそばざるうどんだとか、海鮮丼だとかになるよね。
魚丼屋、あまり店舗数が多くないから、多くの都道府県でお店自体を見かけないと思うけど……。
メニュー表で、ひときわ異彩を放っているのが、「ねぎとろ丼1kg」だよ。
他のメニューは、普通に海鮮を色々な組み合わせや量で盛り合わせたものなのに、
ねぎとろ丼1kgだけ、「ここだけCoCo壱番屋」みたいな面してるし、見た目のインパクトもおかしい。
日本昔話に出てくる、丼の上に逆さまにした丼もう1個分のご飯が乗ったような盛り方のねぎとろ丼だ。
誰かが食べているのは見たことがない。
弟はねぎとろが大好きなので、案の定メニューのその部分に反応していた。
(でも弟はそのときは、魚丼屋ではなくて他のお店の麺類を食べたけど)
個人的には、魚丼屋のお茶漬けが気になる。
海鮮丼より熱いはずだから、次の機会には食べたい。
術後最低3日間は「完全沈黙療法」をとるので、会話も一切してはいけないし、咳やくしゃみも我慢しないといけない。
とはいえ、気道の入口の大きな痰が、帰り道の途中でゴフッと出てきたから
これは咳カウントに入るのだろうか……と思ったw
ゲホゲホ! というのではないんだけど、普通に呼吸してて息を吐いたときに
出てくる息に痰が押し出される形でゴトンと。
まぁ奥に吸い込むよりはいい。
そんなことが、その日のうちに3回くらいあった。
ゲホゲホではなく、まさにゴフッという感じw
何が困るかと言うと、このゴフッはいつ出るか予想がつかない。
なんせ、どこかしらの、痰が一定量以上溜まった段階で、普通に無意識にしている呼吸の「吐くタイミング」に合わせて
ほとんどランダムに前触れなく出る。
だから「あ、咳が出そう、我慢しなきゃ」などと思う隙は存在しない。
くしゃみのような前兆を一切感じさせない不意打ちだ。
もう気付いたときには出終わっていると言って良い。
できれば、咳をせずに、それでいて確実に痰は気道から出したい。
痰が出てきた後も、しばらく時間をかけてまた痰が溜まってゴフッとランダムに出てくるという感じだったので
私はその経験の中で、咳っぽい挙動を避けつつ吐き出す息の圧だけで痰を静かに食道の方へそれとなく押し出し
飲み込む術を会得した。
私はこれを
息の呼吸 痰の型 吐き
と名付けることにした。
元々喘息持ちの人間は、「無意識の呼吸を行えない、吸うのも吐くのも苦しい」または
「呼吸や会話がこみあげるような咳を催す(咳喘息)」という発作を経験し、その結果
全集中の呼吸 常中を身につけている気がしてきた……。
元々息にはうるさい。
だから、咳を伴わずに気道から痰を吐き出すなんていう奇術もすぐに身につけてしまったのかも。
というわけで、ご飯を食べたので弟の車で家に帰ってきた。
一息つくなり、アマプラで『RRR』を見始めた。
弟と見るので、一応日本語音声にした。
あとで、ジェニーは英語で喋っていてビームはテルグ語で喋っているから、言葉そのものは通じていない
ラーマは通訳が可能というような補足説明を入れた。
(それに、INTERRRVALのところでインド本国では15分程度の休憩があったのだが、
日本の劇場公開では休憩がなくてぶっ通しだったという話も)
これは日本語音声になってしまうと、二人が別々の言葉で喋っているシーンが全部日本語で聞こえてしまうので
却ってわかりにくくなってしまう部分だ。
なぜかこの日、『RRR』のレンタルが通常¥500のところ、¥100で見られたのでラッキーだった。
私は、弟と「コードギアス履修者が『RRR』を見たときにいだく感想」について話したかったので
一緒に見てもらいたかったのだ。(私自身は人生4回目の視聴だ)
これで弟もナートゥをご存知になったわけだな。
コードギアス履修済みなので私の言いたいことが伝わってよかった。
そのあと、カイジのアニメ第1シーズンを垂れ流しながら、私は2人分晩ごはんを用意した。
サラダうどん作って、弟のために買っておいたハッシュドポテトをこんがり焼いた。
弟は芋好きなので、ハッシュドポテトは好評だった。よかった。
朝早かったのもあって、順番に風呂食ったら良い感じに眠くなったので寝た。
翌朝、弟は実家へ帰っていった。
付き添い、本当に助かった……。
■手術翌日以降
翌日は日曜で、だらだらする日ということにした。
というのも、月曜はまた診察で東京へ行かなければいけないから……。
金・土・月と東京往復なので、日曜はだらだらすべきだと思った。
薬が4種出ていて、用量・用法が異なるものが混在しているので注意して飲む。
昼ごはんの後は眠くなったので、安静にしておくのにちょうどいいと思い、濡れマスクをして眠れるだけ寝た。
雷雨で瞬停があり、パソコンが落ちてしまったが起動しない方がよさそうだったので
そのまま雷のゴロゴロ言う中寝てた。
手術が終わってから24時間経過する中でわかってきたのは、
8〜10時間おきくらいの頻度(つまり1日に2〜3回ペース)で、突発的・発作的に喉の右側の声帯の近くなのか、気道の入口なのか
どちらとも明確には突き止められないが、とにかくそのへんで、針で数度チクチク刺すような感覚が発生する。
完全に「発作」というに相応しい。
これが起こると、咳でそのチクチクを誤魔化したい衝動に駆られるが、咳・くしゃみは一番してはいけないことなので
必死にそれを堪えて、飲み物を少量ずつ流し込むとか、ミントタブレットを舐めるとか、
噛むブレスケアで息をスースーさせるとか、マヌカハニーを舐めるとか、色々な対処法を試してみた。
水を飲むのは、チクチクを抑え込む力は少量。飲まないよりはマシ。
冷たい麦茶の方が水より少し効果的に感じた回もあった。
ミントタブレットは、チクチクが発生してから飲むと、違和感を強くする回があった。
発作が起こるのを未然に防ぐ効果はありそう。
程々に舐め続けておくといいかも? 人工甘味料でお腹が緩くなったりはあるかも。
ブレスケアも、うまくするとすぐにチクチクを弱めてくれる回があったが、ダメな回もあった。
マヌカハニーも、発作が起こるのを防ぐために定期的にちょびちょび舐めるのがいいのであって
チクチクが始まってから口に入れると、却って危険そうなときがあった。
この発作が起こると、呼吸も不安定になるので意図せず「スッ」と強めに息を吸い込んでしまうことがあり
蜂蜜混じりの唾が気管の方へ行ったらすごく咳き込んでしまうだろう。絶対に避けたい。
今のところ一番安全なのは、麦茶を落ち着いてゆっくり、少しずつ飲む、かなあ?
喉を乾燥させないように、常にちびちび水を飲み続けたり、飴やガムなんかを口に含んでおくのが良さそう。
幸い、今までのところ「寝ている時に突然発作が!」ということは起こっていない。
多分濡れマスクをしているのが効いているのだと思うから、起きているときもマスクをしておくと
喉の乾燥を防げて良さそうではある。
でも、そろそろ気温も湿度も上がってきているので、日中はマスクをして外出なんかすると
もう帰りには頭が痛くなってくる。
うまいこと、つけたり外したりで調整しないと……。
この発作が起きると、チクチク感が収まった後に、気道入口に明らかに大量の痰が溜まっているのがわかるので
その痰を慎重に「息の呼吸 痰の型」を使って吐き出す必要がある。
焦って出そうとするとむせるリスクがあるが、自然と出てくるのを待っていると、
結局「咳が出そうと思う間もなく出てくる咳」を伴うので難しいところだ。
一番は、この謎の発作的なチクチクが起こらないようにすることだと思う。
そこで、ヴェポラッブも活用することにした。
ヴェポラッブは、主にワセリンで出来ているのでかなり質感がベタベタするところが難点ではあるが、
喉元、胸元、背中の手が届くところに少量ずつ塗る。
あと、部屋にいるのであれば、アロマポットに水を入れて、ティースプーン1杯分のヴェポラッブを
アロマオイルとして焚くという使い方もある。
特に寝室でやると、寝るときに鼻が詰まりにくいから良い。
それから、お風呂ではクナイプ入浴剤のユーカリを使っている。
これもスースーする蒸気を吸えるので良い。
ちなみに、飲み薬4種以外に、朝・夕に1回ずつスチーム吸入器で吸入するステロイドの薬液も処方されているので
それを日に2度吸っているわけだが、これをやってもやはり8時間に1回くらい喉がチクッ! となる。
気道に切り傷でもあって、それが塞がったり開いたりしているんだろうか……。
今、一番の悩みはこのチクチク発作である。
これさえなければ、沈黙療法自体はコンプリートすることにそこまで困難を感じないのに。
月曜日、手術後最初の診察でいつものクリニックに行った。
実は、手術の日程が確定した段階でここらへんまでの先々の診察予約を入れてあったのだけど、
手術後には、翌日か翌々日に経過を見せてもらう必要がある、と言われていて
日・月どちらがいいですかと訊かれた。
金・土・日、3日連続東京はきついな、と思ってせめて月曜にしようと思ってここにした。
でも、考えてみると、第1・3土曜に手術を行っているから、そのうちの何人かの患者さんは
日曜(午前)に手術後外来に来ているのか。
それって、先生が大変だなぁと思った。
全然休めないじゃん。
定期休診日が水曜と日曜午後のみ。
土曜は、第1・3の午前は手術出張ってことだもんなぁ。ハードだなぁ。
それなのに、ひとりひとり全部丁寧に診察してくれてるので、頭が下がる思いだ。
この日は、朝の6時半に緊急地震速報で一度起きた。
スマホはブーブー言っているが、一向に揺れが来ないなと思って画面をよくよく読んでみると
「富山沖」の文字が見えたので、
「だとしたら仮に揺れたとしても、そこまでの大きさにはならないんじゃないかな」
と思って二度寝した。
まぁ元旦のは、それでも結構長く揺れたから、よほどすごい規模だったという話だけど。
今日もまた、1時間早く最寄り駅に着いてしまったので、ちょっとウロウロしてから行った。
まず最初に、手術の劇的ビフォーアフターのブロマイドを渡された!!!!!
劇的!!!!!
劇的に、地味!!!!!
上が術前で、下が術後。
記事の上の方に貼った断面図の「上」から見た映像だから、結節は死角気味になっていてわかりにくいと思う。
黄色い丸で「このへんにあったはず」という部分を囲って示しておいた。
左側は、術前の画像を見ると膨らみがわかる。
実際、手術時に、声を出していなくても膨らみが目で見て確認できたので、それをきれいに削ぎ落として真っ平らにしたとのこと。
一方右は、声を出しながらスコープで撮影するとたまに膨らんで見えるという状態だったので、
黙っている時はほぼぺたんこで、何も無いに等しい見え方。
しかし、そこに薄皮一枚分の、浮腫の名残があるのは確かなので、この手術で削れる中の
最低限の薄さを削ったみたいで、確かに上下を比較すると、術後ではうっすらと削られている。
それに、術後は声帯が充血しているのもわかる。
だから、手術後は、声帯炎の状態なのだそうだ。
しかし、痛覚がないために、声帯炎が起こっているからといって、それを自覚症状で察知することができない。
だからこそ、声帯結節のように、ダメージが蓄積して痛みなどは感じないまま発症・悪化してしまう病気が存在するのだとも言えるな……。
人生において、声帯をこのように間近でカメラ撮影してもらうことなんて普通はないし、
ましてやそれを手術の前後で比較できるようにブロマイドに出力して渡してもらえるなんてことも思っていなかったので
「なんと貴重な体験ができたことか」
と思ったw
もちろん、病気になんてならないことが第一ではあるがw
こんなことでもないと、なかなかこういうものを見る機会は得られないのも事実だね。
今回の場合は、沈黙療法中なのもあって、口からスコープを入れて「えーー」ではなく
経鼻内視鏡で、少し浅いところから遠目に声帯の腫れのみを確認した。
結節を削り取った後の部分が、大きく腫れているというようなことはなかったので、
ひとまずそれでOKみたい。
また、仮に腫れてくるとしたらむしろ月・火からだとのことで、薬が1種追加で処方された。
飲むステロイドだ……! 初めて飲む。
ステロイドは、吸入はよくするし、前に花粉症アレルギー用の注射もしたことがあるけど、
飲むのだけはなかった。
飲むステロイドは、吸入と比べるとやはり副作用が色々あるし、強いので
アレルギー科の先生も、「最後の手段だからなるべく取りたくない」と仰っていたしな。
まぁでも、少量を5日間のみなので、過度の心配は要らないと思う。
強いて言えば、「最低3日間の沈黙療法」が、「次の診察日(木曜)まで延長」ということになったので
まだ次の「ハミング発声療法」の段階には進んでいない。
とはいえ、沈黙療法も大体5日間までを目処に終わりにして、少しずつ声を出し始める方が
治りが良いと考えられているみたいで、おそらく木曜の診察で問題がなければ
ハミング療法が始まるのではないかと思う。
そして、これから引き続き生活の中で気をつけなければいけないのは、咳やくしゃみなど
瞬間的に声帯に強い負担がかかる動作をしないよう我慢すること。
また、私は全然関係ないけど、お酒を飲む人は3週間禁酒みたい。
食事は、刺激物を避ける。まぁ元々私は辛いものを率先して食べることはないが。
それと、カフェインは最低でも術後1週間くらいは避けるのが無難のようだ。
麦茶やルイボスを買っておこう。
それと、ちょっと盲点だったが運動にも制限があり、呼吸数や心拍数が上昇するような激しめの運動も2週間控える。
つまり、私はBeatSaberやジョギングをしばらくやらんほうが良いw
そして、息を止めて「フッ」と力を込めたり、息を止め続けたりするようなパワー系の筋トレも
3週間はストップらしい。
息を止めるという動作は、声帯を強く閉じる形になるから。
私はパワーリフティングとかはしないけど、腹筋ローラーなんかは伸びて戻すときに
息を殺しがちに思うからしばらく休みかな。
というわけで、ゆっくり時間をかけて1万歩歩くようなウォーキングをすることにする。
元々、手術前も週に3万歩くらい歩いていたので、術後3日を過ぎたらまた歩き出すことにした。
まぁ嫌でも週3万歩歩くけどね、週2で東京行くわけだし……。
あとは、屈伸やストレッチなど、呼吸の乱れないような動作で体をほぐしておこうと思う。
安静にとは言っても、1日中PCデスクの前で椅子に座っていると、脚もむくむし良くない。
発声の方は、沈黙療法の後にまずハミングなどのリハビリ発声が始まってそれを3日間くらいかな。
すると手術から数えて都合7〜10日くらい経過する計算になり、そこから日常会話を軽く再開。
もちろん喋りすぎてはだめ。
術後3週目に入ったら、日常会話を通常通り開始で、経過が良ければ歌を無理ない範囲で再開。
で、仕事は早ければ手術から1ヶ月半で再開。遅ければ3ヶ月後から。
声の調子自体は、長いと半年くらいの時間をかけてゆっくり安定していくみたいだから、
それまでの間は、まだ万全と感じられないかもしれないけど、そういうものだと思って焦らず様子見していく予定。
今この部分を書いているのが6/5の深夜だから手術から5日が経過しようというところだけど、
ここまでの期間に声を出した時間は、合計してジャスト1秒たりうるかどうか、というくらいには声を発していない。
声が出てしまったのは、ほとんどすべて咳! 声が出た、と言えるのかも微妙なラインだ。
まずそもそも会話は一切していない。
月曜の診察から帰ってきて、またサイゼに寄ったけど、そのときにジェスチャー・筆談・セルフレジですべて乗り切った。
(ちなみにそのときはピザと小エビのサラダを食べた)
コンビニで袋が欲しかったので、店員さんが
「袋要りますか?」
と尋ねてきた時に、目を見ながら口だけ
「おねがいします」
と動かして声は出さずに袋に詰めてもらうことに成功した。
念の為、スマホのメモ帳に
「袋お願いします」
と書いた状態で画面を止めておき、伝わらなかった時に見せる保険も用意しておいたが使わなかったw
寝るときは、スリープマイスターという睡眠管理アプリで、寝言を録音することができるが
これによるセルフ調査の結果、寝言やいびきは元々ほぼ皆無と言っていい人間であることが判明していて、
何回録音を聞いても、「寝返りを打つときの布団の衣擦れの音」しか収録されていない。
一晩に3回ほど。
月曜の朝なんかは、衣擦れが2回と、最後のひとつは緊急地震速報の「地震ですブイーブイーブイー」だったw
だから寝言の心配はほとんどない。
今までにスリープマイスターで寝言っぽいものが収録出来たときは、歌を歌っていたのが恐怖だけど。
「こいつ、寝ながら歌ってやがる……!」
ってなった。
私はよく夢の中、もしくは夢を見ていないときでも、睡眠中ずっと脳内で何かしら音楽が流れている。
夢の中の場合は、即興で脳が作り出したオリジナル曲が流れている場合すらあり、そこでしかも明晰夢に切り替わるので
「あ、これ夢だ! 夢の中で知らない曲を歌っている! つまりこれは私のオリジナル曲!
起きてDAWで打ち込むために、サビだけでもメロディーを覚えて起きなければ……ムムム」
と思っている。
多分そういう時は、それが鼻歌になって漏れている。
そして、目が覚めるとメロディーは忘れていて、「知らん曲の夢を見た、忘れた、悔しい」という思いだけが残るw
なんにせよ、寝言が気になる人は、寝言やいびきが気になる人用の就寝用のテープみたいなものがあって
それを口に貼って、口が開かないようにして寝るなんて対策もあるらしいよ。
私は、鼻が詰まっていなくて、マスクをしていれば完全に無の状態で眠れるみたいだからよかった。
子供の頃なんかは
「この子死んでるんじゃないか?」
と親が脈を取ったりしたと聞いたしな。
以上で、ひとまず手術後5日までの日記とする。
また、経過観察の中で色々あると思うので、それは別の記事にまとめてリンクする予定。
果たして、私が『Supernova』を録音できるのはいつになるのか!!
(『Supernova』は、声帯結節になっていなかったら去年秋頃に収録したかった曲)
続く
続き
声帯結節手術後の経過メモ(術後2週間まで)
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