私がこの本を知ったのは、カメントツさんのツイートからだったと思うけど、
その紹介文でも、本の巻末にある「解説」でも
「事前情報を一切入れずに読んで欲しい」
とあった。
だから、この本をまだ読んでいない人は、おそらくこの記事を読まないで先に本を読んだ方が良いと思うw
私は、Reader Storeで買って読んだのだけど、購入時、商品ページのあらすじにすら目を通さなかった。
それで「事前情報入れないで読んで楽しかったなー!」と思ったので、みなさんも何も知らずに読むのはいかがか!
一言いうとすれば、
『Dr.STONE』連載終わってロス……
っていう人に薦めたいかなw
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上プロジェクト・ヘイル・メアリー 下
その紹介文でも、本の巻末にある「解説」でも
「事前情報を一切入れずに読んで欲しい」
とあった。
だから、この本をまだ読んでいない人は、おそらくこの記事を読まないで先に本を読んだ方が良いと思うw
私は、Reader Storeで買って読んだのだけど、購入時、商品ページのあらすじにすら目を通さなかった。
それで「事前情報入れないで読んで楽しかったなー!」と思ったので、みなさんも何も知らずに読むのはいかがか!
一言いうとすれば、
『Dr.STONE』連載終わってロス……
っていう人に薦めたいかなw
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上プロジェクト・ヘイル・メアリー 下
(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)
「プロジェクト」と書いてあるし、表紙デザインから察するに、何か宇宙開発的なプロジェクトに関わる、
SF小説なのかな?と思って読み始めた。
結論から言うと、まぁそれに関しては正解だったと言える。
けれど、私が想像していたよりもスケールが大きかったし、壮大だったし、ドラマチックだった。
沢山の危機を、科学の試行錯誤(仮説・実験・実証)で乗り越えた。
だから、『Dr.STONE』の「科学漫画である」というところが気に入っている人は、
この作品の「問題解決に至る筋道」も気に入るんじゃないかと思った。私は気に入ったw
私が、読んでいく時にちょっと頭の片隅で考えていたのは、この小説にミステリー要素があって
そしてそれが「文章だから出来る叙述トリック」であった場合は、映像化が困難になるだろうということだった。
(『殺戮にいたる病』みたいな)
読めば読むほど、「映像化されたものを見てみたい」という気持ちが強くなっていったので、
そういう叙述トリックが「なかったらいいな」と思う気持ちと、でもそういうトリックがあったらあったで
「一本取られましたわー」
って気持ちになれるかもしれないから「絶対にあってはならない」ってほどではないというレベルでの
期待感の両方がせめぎあって来たw
最終的にすべて読み終わった時には
「叙述トリックが映像化を困難にさせる部分はなかったな、よし! 映画・ドラマ化かアニメ化待ってます!」
という気持ちだった。(ネトフリ独占みたいなのだけやめて)
あってもなくても、それなりに楽しんだだろうけど、結局のところ叙述トリックがなかったことにより
今後この作品が映像化される可能性は高いということになるし、それはかなり楽しみに思える。
この作品の構成は、少しばかり仮面ライダーキバ的なところがある。
どちらかがもう一方を意識して作ったとかそういう話がしたいのではなく、
「今」と「一定の時間遡った過去の出来事」を交互に見せるスタイルというところが共通しているというだけだが。
ただ、この作品の場合は、『ドグラ・マグラ』級に、主人公が
「自分が何者で、今どこにいて、それがなんのためなのかわかっていない」
というのが上巻の主な”語られるべき謎”になっている。
読者はまず主人公と同じ気持ちで
「この人(主人公にとっては「自分」)は誰? ここはどこ?」
に惹きつけられて読み進めていき、主人公の「過去」に何があって、今ここがどこなのか
ということは、主人公が思い出す時一緒に「そうなんだー」と知っていくことになる。
だから、「事前情報を一切入れずに読んで欲しい」という解説者の意見としては、
「主人公がどこどこで何する話」みたいな、普通それだけならネタバレにならないようなことでも
予め知ってしまっていると、上巻で読むべき”謎”が謎でなくなってしまうということだったし
それもそうだよな、と思ったw
そうだとしても結局のところ全体が面白く、楽しめるとは思うけれどねw
この作品の最大の魅力には、やはり「ロッキー」の存在があると思う。
私にとって、今までに見た「根源的恐怖を憶える、攻撃的地球外生命体」が出てくる作品で、一番恐ろしかったのは
トム・クルーズの『宇宙戦争』で、その根源的恐怖は『スペースインベーダー』で形作られている。
しかし、「友好的な地球外生命体」の根源は、『ニューヨーク東8番街の奇跡』に形作られていて、
それが『スペースインベーダー』で形成された「宇宙人怖い」を中和してくれた経験を持つ。
(もし、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』をスピルバーグが映像化したらどうなるのだろう。
『ニューヨーク東8番街の奇跡』のこともあるから、素晴らしいものになりそうだ)
その後に『E.T』もそっちの部類だと知ったり、見たりした。
だから地球外生命体の中でも、知性を持っていて友好的なケースと、侵略のみが目的で知性はあるが交渉の余地もないケースまで
色々な可能性が考えられるという頭でいる。
この作品では、何がどのように出てくるのかはもちろん知らないで読んでいったから、
そこもどちらへ振ってくるか楽しみだったし、人間にとって脅威となる地球外生命体が
意思の疎通などできない「微生物」で、その問題に立ち向かうに当たって最大の協力者となるのが
また別の地球外生命体であるというところがすごく面白かった。
つまり、この作品では、地球人、そしてロッキーという知性ある宇宙生命体の共通の脅威として、
知性のない宇宙生命体「アストロファージ」がある。
時を同じく惑星が同じ脅威に晒されたことで、恒星間移動をしてきた知性ある宇宙生命体同士が、そこでタッグを組むのだ!
しかも、主人公とロッキーの、得意分野が異なることと、お互いに「自分ひとり」であったことから
両者は相補的なバディとなる。
はじめはまず、共通言語がないから意思の疎通が難しいというところからだから、
ロッキーが何を考えているかさっぱりわからないし、ちょっと怖い。
次に、だんだん「訓練された犬」くらいに「お、こいつ俺の言ってることわかってるな」になってきて、
そこから先では「実は、こいつ俺より賢いところあるな……」に到達し、
お互いを「自分と異なる分野のエキスパートとして認め合う」関係にまでなる。地球外生命体と!
だから、「関係性のオタク」としても、こういうバディものはアツい! ってなってどんどん読んでしまう。
特に(薄々勘づいてはいたけど、予想の通りに)ロッキーが船内に自分一人だと判明するシーンは辛かった。
その頃にはもう読者も結構ロッキーに愛着が湧いてきている頃だったし、
その前にグレースが寝ようとすると「必ずロッキーがそれを観察しようとする」くだりがあったから
「やっぱりか」と色々腑に落ちて、「うぅ、ロッキー……(´;ω;`)」となる。
(なぜ「寝る者を観察しようとするか」についても、想像した通りだったから余計に心に来るものがあった。
「観測者がいなければ生きてるか死んでるかわからない」なんて、ずいぶん量子力学的な睡眠だ)
ロッキーの寿命を考えれば、そう長い年月ではないかもしれないけれど、
人間の尺度からすれば結構な長時間、たった独りで自分の乗ってきた宇宙船に取り残されて
託されたミッションをこなそうとしていたことも踏まえると
「ロッキーにはきっと感情があるし、そう口に出したことはないけど、ヘイル・メアリー号来るまで
宇宙にたった一人ぼっちになって”寂しかった”だろうな……(´;ω;`)」
と思った。
グレースだって、長時間昏睡状態でやってきて目が覚めたばかりで記憶は混濁していて
はじめこそ寂しいと思う前に考えることが色々あったけど、真空の宇宙の中に、今自分の宇宙船と自分しか
周りに何もないってなったら、最初に来る感情は”寂しい”のような気がする。
ロッキーとグレースの間で、共通のボキャブラリーが増えて交流が盛んになると、
ロッキーは冗談や皮肉を言うようになったりもし、心配性な面や好奇心がかなり旺盛であるというような
個性も見えてくるので、文字通り「住む世界」が異なり、文化にも完全に逆と言えるようなところがあったりはすれ
「この広い宇宙の中で今を生きているもの同士、こうして通じ合ったりわかり合えたりするなんて
本当にロマン溢れるなぁ〜」
と思った。
疑問文のときに、ロッキーたちエリディアンの言葉は、文章の最後に「質問?」と必ず付け加えるのが
少し可笑しくて可愛くて、日本語の疑問文が「ですか?」で締めくくられるように、
文章の最後に来るまでそれが疑問文かどうかわからないような文法なんだろうなーと思うなどした。
ほっこりしたかと思えば、新たな問題が発生して、物語の起伏の付け方もすごかった。
問題が起きる、科学の力と協力プレイでそれを解決する、過去が描かれてグレースが
いかにしてここへ送り込まれてきたかの全貌が明らかになっていく。
これらが順番に繰り返されるのだけど、なるほどと思ったり、ふぅ一段落して落ち着いたと思ったかと思えば
「それはすごく大変なことじゃないか! 続きが気になる!」
となって、結局やめ時を失って、ずっと読み進めてしまう本だったので、
それだけ話の運び方とかテンポとか起伏が良くできていたということだと思う。
そして、今描かれていることと、過去で取り沙汰されている”テーマ”には、
その都度通底する部分がある。
例えば、ロッキーの文化圏では「食べる」という行為を見たり見られたりすることは、
地球上の「性的でプライベートなこと」のような「社会的不快を伴う恥ずかしい行為」扱いだということが判明する前後
過去編の方でデュボアとシャピロの「性的な関係」の話が出てくる。
同様のことは常に行われていて、今起こっている問題や、ロッキーとの会話の流れから
過去の色々が想起されるような形で(実際グレースには薬の効果が付与されていて
読者が読んで知るのよりも、記憶の輪郭がぼやけている可能性があるが)
今と過去が並行して説明されていく。
すべてが説明し終わるとき、グレースとロッキーの旅も終わって、とても清々しかった。
結局のところ、かなり冒頭の方で説明される、主人公が書いた論文にあるような
「地球と似た環境(重力、大気を構成する元素、温度・気圧など)だけを
”ハビタブルゾーン”と定義することに対しての疑問・反論」は
ロッキーのような生き物が存在できていることによって主人公の意見が正しかったと証明されたことになるし
少なくとも、宇宙で孤独に餓死していくような片道特攻の旅で終わることにならずに済んだし、
生涯の友と言える相手と知り合って、自分に合っていると思える職に戻って終わるので、とてもハッピーだった。
地球の方も、主人公がその目で直接確認できたわけじゃないけど、最も悪いシナリオ
つまり「大量絶滅」を免れたっぽいし、考えうる中では全てが
「少なくとも最悪ではないか、かなり良い」というところに着地できたと思う。
もちろん犠牲はあったけれども。
私はこの本を、
「寝る前に1〜2章ずつ読んでいこう」
と思って買ったのに、結果的にはほとんど2日のうちに読み終わるようなペースだった。
この間は『東京卍リベンジャーズ』を一気に読んでしまったし、面白いものに出会えて嬉しいけど
没頭しすぎるのでちょっとまずいんでないかと思うくらいだw
アニメとかも、完結していて面白いものは2クール作品までなら一気に見ちゃうしな……。
「2クールか、半日だな。すぐじゃん」という感覚。
そうだ、逆に私のように没頭してしまうことがわかっている人は、この本を
「まとまった時間が取れるとき」にしか読み始めてはいけないってことにならないだろうかw
だって続きが気になって、他のことなんかちょっと手につかなくなるレベルだしねw
それから、たまたまTLで見かけたものだけど、カメントツさんのツイートをきっかけに
読んでみてすごくよかったと思ったので、カメントツさんにもお礼を言っておかねばと思った。(言った)
早速、「2024年に読んだ、心に残る1冊」のうちのひとつになったな!
「プロジェクト」と書いてあるし、表紙デザインから察するに、何か宇宙開発的なプロジェクトに関わる、
SF小説なのかな?と思って読み始めた。
結論から言うと、まぁそれに関しては正解だったと言える。
けれど、私が想像していたよりもスケールが大きかったし、壮大だったし、ドラマチックだった。
沢山の危機を、科学の試行錯誤(仮説・実験・実証)で乗り越えた。
だから、『Dr.STONE』の「科学漫画である」というところが気に入っている人は、
この作品の「問題解決に至る筋道」も気に入るんじゃないかと思った。私は気に入ったw
私が、読んでいく時にちょっと頭の片隅で考えていたのは、この小説にミステリー要素があって
そしてそれが「文章だから出来る叙述トリック」であった場合は、映像化が困難になるだろうということだった。
(『殺戮にいたる病』みたいな)
読めば読むほど、「映像化されたものを見てみたい」という気持ちが強くなっていったので、
そういう叙述トリックが「なかったらいいな」と思う気持ちと、でもそういうトリックがあったらあったで
「一本取られましたわー」
って気持ちになれるかもしれないから「絶対にあってはならない」ってほどではないというレベルでの
期待感の両方がせめぎあって来たw
最終的にすべて読み終わった時には
「叙述トリックが映像化を困難にさせる部分はなかったな、よし! 映画・ドラマ化かアニメ化待ってます!」
という気持ちだった。(ネトフリ独占みたいなのだけやめて)
あってもなくても、それなりに楽しんだだろうけど、結局のところ叙述トリックがなかったことにより
今後この作品が映像化される可能性は高いということになるし、それはかなり楽しみに思える。
この作品の構成は、少しばかり仮面ライダーキバ的なところがある。
どちらかがもう一方を意識して作ったとかそういう話がしたいのではなく、
「今」と「一定の時間遡った過去の出来事」を交互に見せるスタイルというところが共通しているというだけだが。
ただ、この作品の場合は、『ドグラ・マグラ』級に、主人公が
「自分が何者で、今どこにいて、それがなんのためなのかわかっていない」
というのが上巻の主な”語られるべき謎”になっている。
読者はまず主人公と同じ気持ちで
「この人(主人公にとっては「自分」)は誰? ここはどこ?」
に惹きつけられて読み進めていき、主人公の「過去」に何があって、今ここがどこなのか
ということは、主人公が思い出す時一緒に「そうなんだー」と知っていくことになる。
だから、「事前情報を一切入れずに読んで欲しい」という解説者の意見としては、
「主人公がどこどこで何する話」みたいな、普通それだけならネタバレにならないようなことでも
予め知ってしまっていると、上巻で読むべき”謎”が謎でなくなってしまうということだったし
それもそうだよな、と思ったw
そうだとしても結局のところ全体が面白く、楽しめるとは思うけれどねw
この作品の最大の魅力には、やはり「ロッキー」の存在があると思う。
私にとって、今までに見た「根源的恐怖を憶える、攻撃的地球外生命体」が出てくる作品で、一番恐ろしかったのは
トム・クルーズの『宇宙戦争』で、その根源的恐怖は『スペースインベーダー』で形作られている。
しかし、「友好的な地球外生命体」の根源は、『ニューヨーク東8番街の奇跡』に形作られていて、
それが『スペースインベーダー』で形成された「宇宙人怖い」を中和してくれた経験を持つ。
(もし、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』をスピルバーグが映像化したらどうなるのだろう。
『ニューヨーク東8番街の奇跡』のこともあるから、素晴らしいものになりそうだ)
その後に『E.T』もそっちの部類だと知ったり、見たりした。
だから地球外生命体の中でも、知性を持っていて友好的なケースと、侵略のみが目的で知性はあるが交渉の余地もないケースまで
色々な可能性が考えられるという頭でいる。
この作品では、何がどのように出てくるのかはもちろん知らないで読んでいったから、
そこもどちらへ振ってくるか楽しみだったし、人間にとって脅威となる地球外生命体が
意思の疎通などできない「微生物」で、その問題に立ち向かうに当たって最大の協力者となるのが
また別の地球外生命体であるというところがすごく面白かった。
つまり、この作品では、地球人、そしてロッキーという知性ある宇宙生命体の共通の脅威として、
知性のない宇宙生命体「アストロファージ」がある。
時を同じく惑星が同じ脅威に晒されたことで、恒星間移動をしてきた知性ある宇宙生命体同士が、そこでタッグを組むのだ!
しかも、主人公とロッキーの、得意分野が異なることと、お互いに「自分ひとり」であったことから
両者は相補的なバディとなる。
はじめはまず、共通言語がないから意思の疎通が難しいというところからだから、
ロッキーが何を考えているかさっぱりわからないし、ちょっと怖い。
次に、だんだん「訓練された犬」くらいに「お、こいつ俺の言ってることわかってるな」になってきて、
そこから先では「実は、こいつ俺より賢いところあるな……」に到達し、
お互いを「自分と異なる分野のエキスパートとして認め合う」関係にまでなる。地球外生命体と!
だから、「関係性のオタク」としても、こういうバディものはアツい! ってなってどんどん読んでしまう。
特に(薄々勘づいてはいたけど、予想の通りに)ロッキーが船内に自分一人だと判明するシーンは辛かった。
その頃にはもう読者も結構ロッキーに愛着が湧いてきている頃だったし、
その前にグレースが寝ようとすると「必ずロッキーがそれを観察しようとする」くだりがあったから
「やっぱりか」と色々腑に落ちて、「うぅ、ロッキー……(´;ω;`)」となる。
(なぜ「寝る者を観察しようとするか」についても、想像した通りだったから余計に心に来るものがあった。
「観測者がいなければ生きてるか死んでるかわからない」なんて、ずいぶん量子力学的な睡眠だ)
ロッキーの寿命を考えれば、そう長い年月ではないかもしれないけれど、
人間の尺度からすれば結構な長時間、たった独りで自分の乗ってきた宇宙船に取り残されて
託されたミッションをこなそうとしていたことも踏まえると
「ロッキーにはきっと感情があるし、そう口に出したことはないけど、ヘイル・メアリー号来るまで
宇宙にたった一人ぼっちになって”寂しかった”だろうな……(´;ω;`)」
と思った。
グレースだって、長時間昏睡状態でやってきて目が覚めたばかりで記憶は混濁していて
はじめこそ寂しいと思う前に考えることが色々あったけど、真空の宇宙の中に、今自分の宇宙船と自分しか
周りに何もないってなったら、最初に来る感情は”寂しい”のような気がする。
ロッキーとグレースの間で、共通のボキャブラリーが増えて交流が盛んになると、
ロッキーは冗談や皮肉を言うようになったりもし、心配性な面や好奇心がかなり旺盛であるというような
個性も見えてくるので、文字通り「住む世界」が異なり、文化にも完全に逆と言えるようなところがあったりはすれ
「この広い宇宙の中で今を生きているもの同士、こうして通じ合ったりわかり合えたりするなんて
本当にロマン溢れるなぁ〜」
と思った。
疑問文のときに、ロッキーたちエリディアンの言葉は、文章の最後に「質問?」と必ず付け加えるのが
少し可笑しくて可愛くて、日本語の疑問文が「ですか?」で締めくくられるように、
文章の最後に来るまでそれが疑問文かどうかわからないような文法なんだろうなーと思うなどした。
ほっこりしたかと思えば、新たな問題が発生して、物語の起伏の付け方もすごかった。
問題が起きる、科学の力と協力プレイでそれを解決する、過去が描かれてグレースが
いかにしてここへ送り込まれてきたかの全貌が明らかになっていく。
これらが順番に繰り返されるのだけど、なるほどと思ったり、ふぅ一段落して落ち着いたと思ったかと思えば
「それはすごく大変なことじゃないか! 続きが気になる!」
となって、結局やめ時を失って、ずっと読み進めてしまう本だったので、
それだけ話の運び方とかテンポとか起伏が良くできていたということだと思う。
そして、今描かれていることと、過去で取り沙汰されている”テーマ”には、
その都度通底する部分がある。
例えば、ロッキーの文化圏では「食べる」という行為を見たり見られたりすることは、
地球上の「性的でプライベートなこと」のような「社会的不快を伴う恥ずかしい行為」扱いだということが判明する前後
過去編の方でデュボアとシャピロの「性的な関係」の話が出てくる。
同様のことは常に行われていて、今起こっている問題や、ロッキーとの会話の流れから
過去の色々が想起されるような形で(実際グレースには薬の効果が付与されていて
読者が読んで知るのよりも、記憶の輪郭がぼやけている可能性があるが)
今と過去が並行して説明されていく。
すべてが説明し終わるとき、グレースとロッキーの旅も終わって、とても清々しかった。
結局のところ、かなり冒頭の方で説明される、主人公が書いた論文にあるような
「地球と似た環境(重力、大気を構成する元素、温度・気圧など)だけを
”ハビタブルゾーン”と定義することに対しての疑問・反論」は
ロッキーのような生き物が存在できていることによって主人公の意見が正しかったと証明されたことになるし
少なくとも、宇宙で孤独に餓死していくような片道特攻の旅で終わることにならずに済んだし、
生涯の友と言える相手と知り合って、自分に合っていると思える職に戻って終わるので、とてもハッピーだった。
地球の方も、主人公がその目で直接確認できたわけじゃないけど、最も悪いシナリオ
つまり「大量絶滅」を免れたっぽいし、考えうる中では全てが
「少なくとも最悪ではないか、かなり良い」というところに着地できたと思う。
もちろん犠牲はあったけれども。
私はこの本を、
「寝る前に1〜2章ずつ読んでいこう」
と思って買ったのに、結果的にはほとんど2日のうちに読み終わるようなペースだった。
この間は『東京卍リベンジャーズ』を一気に読んでしまったし、面白いものに出会えて嬉しいけど
没頭しすぎるのでちょっとまずいんでないかと思うくらいだw
アニメとかも、完結していて面白いものは2クール作品までなら一気に見ちゃうしな……。
「2クールか、半日だな。すぐじゃん」という感覚。
そうだ、逆に私のように没頭してしまうことがわかっている人は、この本を
「まとまった時間が取れるとき」にしか読み始めてはいけないってことにならないだろうかw
だって続きが気になって、他のことなんかちょっと手につかなくなるレベルだしねw
それから、たまたまTLで見かけたものだけど、カメントツさんのツイートをきっかけに
読んでみてすごくよかったと思ったので、カメントツさんにもお礼を言っておかねばと思った。(言った)
早速、「2024年に読んだ、心に残る1冊」のうちのひとつになったな!
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