声優能力検定試験

一定の実力を客観的に保証してくれるもの。
それが資格や検定試験だと思うので、受験してみました。


(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)


まず、7月に2・3級の併願受験をしました。
受験料は両方で15,800円くらいです。
初めて受けるし、私は完全独学なので3級は滑り止めというような気分で併願にしておきました。
それでもしも、2級で余裕が感じられたら1級に挑戦するつもりで。
結果、1級にも合格したので記事にしておきます。

実は7月時点と今(10月)では、受験〜発表のスケジュールが違います。
その頃の流れだと、6/29に申し込んで、7/3くらいに問題が到着、
7/13までに受験完了の必要があるというスケジュールでした。
そして結果発表は翌月10日だったので、8/10に2・3級の結果が出ました。



仕事で使っているアクセント辞典


■2・3級受験の話

3級の問題は、

1,滑舌 1分
2,声の使い分け 2分
3,ナレーション 1分
4,朗読 2分


の全4課題でした。

全体的には、サラっと目を通して「すごく難しいな!」と感じるようなところはありませんでしたが、
一箇所だけ私を深く悩ませた部分がありました。
この部分だけで5日間くらい唸っていました。

それは「課題2 声の使い分け」の

問2 「これってなんなの」を 銑の感情を込めて読んで下さい
.劵好謄螢奪に ∧垢返すように 5震笋忙廚辰


という問題の「∧垢返すように」です。
「聞き返す」というのは「感情」ではないですよ。
でも指示文に「感情を込めて」と書いてあるんですよ。「聞き返すという感情 is 何……」ってなって5日間唸ってましたw
,鉢は感情を表現しやすい方なので良いんですけど、「聞き返す」はシチュエーションであって感情ではない、
何を「感じて」聞き返すのかがこれではわからない、
「聞き返すというシチュエーションそのもの」も前後の流れに具体性がなくてよくわからない
,鉢との差異をつけつつ「聞き返していること」を表現するには、どう読むべきなんだ!?
って思ってすごく悩みました。

他の問題が
問3 「えー、そうなんだ」を 銑の感情を込めて読んで下さい
〇椎阿修Δ法´驚いて B梢融のように

だったりで、そちらでは明確に「3種類の感情」が指定されている分、「聞き返すように」が浮いていて大層混乱しました。


最終的には、
A:これがお前の彼氏か?
B:「これ」ってなんなのw

A:これについて教えてほしいんだけど
B:これってなんなの

というようなやり取りで発生する
「これ呼ばわりとは何事か」に近い「聞き返す」だと解釈することで、 Νとも違う読み方にしつつ「聞き返し」ましたが……。
(それが「正解」だったかはいまだにわからない)

ちなみに、辞書における「聞き返す」の意味まで調べまして、
前に聞いたものを再度聞く。また、相手に再度問う。
が第一にあったので、「これだと『聞き直す』っぽい」と思いつつも、
「もう一回訊く」という方向を表現しようとイメージを膨らませてみましたが、
「過去に最低1回以上訊いていることをまた訊く」というコンテキストを
「これってなんなの」というセリフのみで表現するのは不可能に近いと思ったのでやめました。
やろうとしても多分伝わらないというか。

結局、「どう解釈するか」よりも「どう表現するか」「その表現で伝えたいことがどれだけ伝わるか」が大事だと私は思ったので、
「やろうとしても伝わらないであろうこと」を伝えようとするより、解釈を変えてでも「より伝わること」をしようかなと。
「聞き返す」の第2、第3の意味は
・相手から聞かれたのに対して、かえってこちらから聞く。問い返す。反問する。
・相手の言ったことに対して、その疑問点や知りたいことなどを聞く。
だったので、まぁこっちだろうな、表現もしやすいし伝わると思って、イメージ。
ここで新たに課題となるのは、
5震笋忙廚辰
の感情表現との間に明確な差異をつけることだろうと思いました。
(.劵好謄螢奪に は、◆Νと似通ったものになるわけがないので無視)

5震笋忙廚辰董,蓮△燭醒噂磴法嵒垰弋弔忙廚辰討い襦壁娉辰垢襪砲靴討癲◆崗し怪訝そう」程度)感じが出れば良いから
比較的サラっと訊くことにして、∧垢返すように の方では
「いや、これってなんやねんww」のニュアンスを含ませて読みましたね……。
少なくとも、 銑が全部違う表現にはなっているはず。
にしてもここは本当に悩んだので、2級よりイメトレや練習に妙に時間がかかった気がしますな。
この問題に対して「これってなんなの」と言いたいのよ私は。

ナレーションは、情報バラエティ番組などでの「紹介VTR」に乗ってそうなナレーション文でしたね。
朗読は「博士が愛した数式」の一節を2分程度で、登場人物2名の声色を使い分けながら読み上げる課題でした。

このへんは普段やっているように、台本に直接赤ペンやマーカーで印をつけたりメモを入れたりして
絶対何回読んでも、まず間違いなく読めるという状態にした上で尺を調整するだけで済みました。
日常の延長というか……。
そういえば「滑舌」問題は「早口言葉10連発」だったけれど、そもそも滑舌問題って、演技をしたり、
意味が通じるように抑揚をつける必要もないので、他より頭を使わなくていいんですよね。
平常心を保つだけのメンタルさえあれば、あとは喉・表情筋・唇・舌の動きというフィジカル、マッスルの方が重要というか。
一番「練習回数」という物量だけで押せるからシンプルですよね。あれはスポーツの一種ですよ。
「間違えないでハキハキ時間ピッタリで読み上げる」ことにだけ集中すれば終わる問題ですので。


「試験の受け方」についてなんですが、受験システムがウェブにあって、
「自宅からPCやスマホを使って、ウェブブラウザで受験ページにアクセス、ログインして
ブラウザでマイクを”許可”して録音を進めていく」
というものなので、ボイコネで劇をやる時みたいに、ブラウザがマイクの音を認識するよう設定して
PCから受験したんですね。
いつものマイクに向かって、いつものPCデスクで喋るだけなので、
「会場に出掛けて行って受験する時間や料金や緊張」みたいなコストがなくて良かったです。
ただ、第1問の録音を開始したら、そこからは半自動的に、強制的に、問題が先へ進んでいくので、
課題と課題の間にはゆっくりする時間はありません。
読み上げ時間の目安から、ドラマは30秒、ほかは20秒以上経過すると「録音停止」を押さずとも、
自動的に録音が終了し、20秒のカウントダウンのあとに次の問題の録音が自動で始まるのです。

だから例えば、「第1課題 滑舌 1分」は、自動で録音が停止するまでの時間が「1分20秒」ということです。
自分で「録音停止」ボタンを押して、任意に終了しようが、1分20秒経過するまで待とうが、
その後は20秒カウントダウンしたら、「第2課題 声の使い分け 1分」の録音と録音制限時間カウントダウンが始まります。
最後の課題まで録音が終わったら、自分の今読んだテイクをブラウザ上で聞くための再生ボタンが表示され、
聞き直してみて「やり直す(直前のテイクは消去して新たに1から収録)」か、
「終了(直前テイクを送信)」かを選べます。
よって、どんなに最大限の時間を使おうと、全課題を1周録音し終えるのに20分はかからないけど、
その代わり途中で間違えようが最後まで読み終えないとやり直せないのです。
3回までしか録音は出来ないし、2回目の録音をし始める時に、最初のテイクは消えるので、
「3回録ってみてから、ベストを選ぶ」ということは出来ません。
「次が絶対に直前テイクより良く出来る確信」がないなら、1回目や2回目で送信してしまう判断も必要ですよね。
3回まで録ってみたけど、2回目のほうが良かった……と思った場合に、2回目のテイクを採用はできないのですから。

そう考えると、各課題それぞれを、決められた目安の尺に合うような速度で読み上げることだけでなく、
「間に20秒のブランクを挟みながら、課題1〜4を通しで、ノーミスで読み、表現できること」
が重要になってきますよね。
なので、ストップウォッチで尺を測るか、実際に録音ソフトで「通し録音」とかをしながら
1〜4の課題全体を流れで練習する必要もありました。
でも、そのことに気付いたのは、実際に3級を受けた後だったので、3級は通し練はそこまでしないで臨んだことになるかな……。



2級は、

1,滑舌 1分
2,朗読1 小説 2分
3,朗読2 詩 1分30秒
4,ナレーション 1分30秒
5,ドラマ 2分


でした。

3級と異なるのは「ドラマ」が追加になっていることで、内容は「セリフの掛け合いのみで場面と人物を表現する課題」なので
「一人二役ラジオドラマ(一発撮り)」ですな。

「滑舌」はついに、外郎売りの序文が出てきましたよ……。
「拙者親方と申すは、〜系図正しき薬でござる。」の範囲を1分で読むという課題です。
でも外郎売りのこの部分は、「早口言葉ゾーン突入前」なので、「噛みそう度合い」なら、
3級の滑舌問題(早口言葉10連発)の方が高いんじゃないかとまで思いましたね。
でも1分でこの部分を噛まずに滑らかに読むとなると、そこそこのスピードは要求されるので、
早口言葉ではないにせよ、ちょっと子音とかが甘くなる部分、アクセントをミスる部分とかは出てくることはあります。
そこで赤ペン作戦。
IMG_9562

赤ペンでメモをすればあらゆる問題は解決する!!!!!!(暴論)


朗読は、小説と詩がそれぞれ登場し、小説は「源氏物語」、詩は高村光太郎作品でした。
3級より確実に難易度は上がっている、と感じました。
でも、それはやはり尺(つまり読み上げスピード)とかではなくて、「表現技巧」についてで、
特に詩の方などは、尺は1分半も与えられているものの、詩そのものは作品タイトル・作者名の部分を含んでも
14行しかない上、短い散文詩なのでサラっと読んだら1分半も尺使わないんですよ。
余りまくり。

でも、指示文に「間をとりながら、段落や全体の流れや、意味を良く考えながら朗読してください。」とあるので、
全体を一定のスピード、一定の間で読むよりは、ここの間は1秒だけどこっちの間は2秒使うとか、
ここでは静かに、しかしこの部分は強めになど抑揚も生かして、1分半という時間をたっぷり使いながら
詩の世界とか雰囲気を表現しろっていうことなんじゃないかなと思いました。

2級のナレーションは、短いものを2種読みましたが、いずれも番組のコーナーで使われるナレーションのような感じ。

そして3級にはなかった要素「ドラマ」ですが、これは検定のサイトにも問題例として掲載されていた
「小学3年生の男の子とお母さん」の掛け合いでした。
男性が受験するとき、どっちも演じにくそう……と思いましたがw
「元気な男の子」と「優しいお母さん」なら、声色と口調で結構差異つけられるので
比較的やりやすかったですね。(1級よりは)



■1級受験の話

10日の間に、これまで受けたことのない検定のふたつの級を一気に受けるのは、
そこそこに大変ではあったのと、これに合格したからといって
収入が急に増えたりして元が取れるというわけでもないので、1級受験までに少し間を空けることにしました。
ほとんど経済的な理由でしか無いw
というのも、1級は単願で16,800円、つまり2・3級併願より高いからです。
1回で確実に受かりたいじゃないですか。何度も16,800円なんか払いたくないですw

今の検定スケジュールは、検定協会のサイトの「申込みから実施の流れ」のページにあるように
例えば、11月に受験したい場合は
申し込み:10月1日〜10月31日
問題発送:10月31日〜11月5日
受験期間:11月10日〜11月20日
合否発表:11月30日 正午
証書発送:12月25日〜12月31日

という流れになりますから、私は10月に1級を受験することを決め9月中に申し込みをしました。

そして、問題冊子が10/5に届いたので、そこから毎日問題用紙とにらめっこして10/14に意を決して受験に臨みました。
受験期間は10/20まであったわけですけど、こう毎日毎日、10日ほども同じ問題を読み続けていると、
もう台本も暗記してきてしまうし、毎日夢で外郎売るし、これ以上練習したところで、
あとの数日で劇的に表現が変わることもないだろう、もう詰められるところは詰めた、と思うところまで来たので
「試験が待っている」という状態からなるべく早く解放されたくて、20日を待たずに受けました。
何も最終日じゃなきゃいけないこともないし、何より、人間の体は生体なんですから、
毎日ベストコンディションとは限らないわけですよ。
なんだか喉がいがらっぽいなとか、なんだか鼻が詰まるなとか、くしゃみが止まらないとか、ちょっと頭が痛いなとか、
そういう日だってあるわけですから、それが練習の日ならまだ構わないけれど、
「この日に本番ってことにしよう」
って決めて、それがその「具合悪い日」になったら困ります。
練習そのものよりも、この「ベストコンディションを本番に当てるという自己管理」の方が難しいまでありますよ。
「最終日に受けよう」
って決めて、その日が体調悪かったら後がないんですよ。
そっちの方が怖いんですよねえ。
だって練習はもう十分しているのに、コンディションのせいで最大限のパフォーマンスを発揮できなかったら後悔してしまうので。(後悔大嫌い)
だからこそ、ギリギリまで後回しにしたりせず、練習に満足した時点で
「今日は体に不調を感じない」
という日にすぐ受けました。

1級は

1,滑舌 1分
2,朗読1 小説 3分
3,朗読2 詩 1分30秒
4,ナレーション・口上 1分
5,ドラマ 2分


でした。
これだけ見ると、2級と大差ないようにも感じますが、すべての課題で難易度がきっちり上がっていました。

「滑舌」は外郎売りの「早口言葉ゾーン」がやってきましたし、「朗読」の小説は吉川英治の「宮本武蔵」ですから時代小説ですし、
それも結構重要な会話のシーンです。
詩の朗読のほうも文字の量と尺は2級と変わりませんが、北原白秋の「からたちの花」で
これは2級の高村光太郎の詩のときよりも繰り返しの表現がある分「単調にならないように」という指示を守ろうとすると
色々工夫が必要でした。
多分、1級の問題で一番悩んだのは、この「からたちの花」です。
「ナレーション・口上」は、なんと「バナナの叩き売り」の売り口上で、
「売り口上のはずなのに売り口上になってるのかわからない外郎売り」よりも断然売り口上でしたし
2・3級ではやらなかった表現の引き出しを開けることになりました。
そして「ドラマ」は高校1年生の男子二人を演じ分けながら「一人二役 生ラジオドラマ」でした。
女性なので「男性キャラの演じ分け」も限界がある……。


私は、自分で考え、感じ、解釈したことを、自分なりに表現したかったので、
他の人がどうしてるかは知りたくなく、ウェブにある、この検定関連の動画とかは一切見ませんでした。
見たら、変に影響を受けてしまったり、解釈が自分だけのものではなくなってしまう気がしたので。
(ボカロ曲をカバーするときも、録音前に他の人のカバーを聴くことはない)

専門学校とか養成所とかに通って先生の元で教わるということを一切したことがないのですが、
ここまでそうして来たのだから、敢えてそのままの力試しというのもしてみたかったし。
「マジで完全独学だけど受かるのかな?」っていう、自分の身をもった検証というかw


専門学校とかに行ったことがないことで、何か不利に感じるところがあったかどうかというと、
「今までの人生で一度も外郎を売ってこなかったから、ここで初めて売ることになった」
点は、まぁ若干厄介ではあったかもですね。
ボイコネでも『外郎売り』枠はいまだにやったことがないし。
(でもボイコネで、最も読まれている台本は『外郎売り』である)

専門学校出てる人は、そのほとんどが外郎売りやったことあるんじゃないかな、と思うんですよね。
通ったことないんだから実態知りませんけどもw
「必ずと言って良いほどやらされる」という話だけは聞きますからね。
でも私は人生において、ここへ来て初めて(2級のときに)外郎を売り始めたので、
台本として初見だし、音読するのも問題用紙来てから初めて練習し始めました。
尺が指定されているので、特に1級の「ドラマ」課題以外は、指定の尺の「誤差1秒」の範囲で読んでやろうと決めたので
どのスピードで読めばぴったりになるかまで測りながら毎日読んでいました。
(ドラマについては後述)
そんなことをしていたから、寝ている時も無意識に外郎を売ってしまう始末。
外郎ノイローゼ、つまり「ウイローゼ」になるかと思ったぜ……!

まぁ尺合わせに関しては、普段仕事でゼロカンマ何秒の世界の尺調整しながらのナレーションをしているので、
「滑舌」含め、ドラマ以外の各課題でそれぞれ指定された尺の誤差1秒内みたいなデータを送信できました。
ルール上、読み間違い(いわゆる「噛む」)をしたら、一度だけ読み直し、
読み直しても間違えた場合はそのまま先へ進まないといけないのですが、
そんなことをしていると元々計算しておいた尺に合わなくなるので、尺合わせのためにもノーミスが前提でした。
例えば指定の尺が1分の問題に対して、
「一切のミスなく、この速度で読むと59秒〜1分1秒の間で読み終わる」
という訓練をしたわけですから。
あとは「訓練の成果をちゃんと本番で発揮できるか」ということだけになります。


そんな「滑舌」課題は、外郎売りの「扨て此の薬第一の 〜 青竹茶筌でお茶ちゃと立ちゃ。」の部分を
目安1分で読み上げるというもの。
これは2級もそうですけど、「スポーツ」ですから、訓練回数で精度上げまくって押し通しましたが、
本番ではどの練習のテイクよりも淀みない、聞き取りやすい、明朗な読み上げが出来たので、
録音音声を自分で確認した時に
「会心……!」
と声が出ました。私が審査員だったら満点くれてやる、みたいな。

練習時のテイクのひとつ。本番はこれより上手く行った。


私は、唾液が多い体質のようで、「口が渇く」ということがほとんどないんですよね。
むしろ、いつも口の中に唾液が溜まりまくって、こういう「決まった尺の中で噛まずに読む」みたいな課題では
「どこで唾を飲むべきか」を先に決める必要があるんですよ。
一切飲まないわけにもいかないんですよね。
飲まないで無理やり読み進めると、唾が舌の邪魔をして噛む原因になるか、
ブレスで唾を気管に吸い込んでむせるかするので……。
だから、どこで唾を飲むかを2箇所だけ決めて、そこ以外では飲まずに一気に読むというふうに訓練しました。
その「唾を飲む間」を含めて1分0秒で読み上げることに成功しました。
これは本当に「試行回数だけが物を言う」世界なので、寝ても覚めても、この台本のことばかりを考え
風呂でもトイレでもぶつぶつ念仏のように唱えた甲斐があったとしか……。
「書写山の社僧正(しょしゃざんのしゃそうじょう)」が一番の難関に感じました。
これは人によって、他のところのほうが難しいとかあるかもですが。


「朗読1 小説」は、武蔵とお通の演じ分けをしながら、地の文も地の文として朗読し、
場面や人物の心情が伝わるようにするという課題でした。
この小説全体を読んだことがないとしても、見開き2ページ分の抜粋から、どういったシーンなのか解釈し、
人物の心情を読み取った上でそれを声で表現し、「自分はこう解釈した」と聞き手に伝えなければなりません。
尺は3分なので、1〜3級のどの課題よりも長い尺を使います。
その分文章量も多かったのですが、セリフに感情を込めるために、速度を落として溜めたり、
間を取ったりということがしたい場合には、地の文の読み上げはそこそこにスピードアップして
サクサクめに読まないと3分には収まらない感じでした。
なんとか2分59秒で読みましたが、本当はもっと「溜め」たいセリフもありました。
「死亡フラグが立つ瞬間」みたいなシーンだと解釈したので。
でもここでは欲張って溜めることはせず、「尺と両立させることを重視」しました。
「ドラマ」の課題の方で、「尺を5秒程度はみ出してでも演りたいことがあった」ので、
その代わり他の課題では絶対に尺を出ないようにすると、自分ルールを決めたからです。
その中で、セリフにある「……」「――」などをブレスなどでなんとか表現するよう心がけました。


「朗読2 詩」なんですけど……これが本当に難しくて。
「からたちの花」って

からたちの花が咲いたよ。
白い白い花が咲いたよ。

からたちのとげはいたいよ。
青い青い針のとげだよ。

からたちは畑の垣根よ。
いつもいつもとほる道だよ。

からたちも秋はみのるよ。
まろいまろい金のたまだよ。

からたちのそばで泣いたよ。
みんなみんなやさしかつたよ。

からたちの花が咲いたよ。
白い白い花が咲いたよ。


これだけなんですよ。
あえて「反復表現」を使っている詩なわけで、でもそれを「単調にならないように」読めとの指示。
かといって「支離滅裂な表現だけど単調じゃないから良い」ともならないはずで、
「全体の流れ」とかコンセプトみたいな軸はないといけないと思ったんですよね。

それで、まず「歌だったらどうなるだろうか」と考えました。
朗読だって、間のあるなしでテンポは変わってくるわけなので、「歌」ではないにせよそれが「詩」である以上、
唄うような表現を考えてみるのは面白いなと思いました。
曲だったらBPMとかコード、メロディがあり、AメロやBメロ、サビ、間奏などもあるわけで、
それを詩の朗読に応用する感じ。
ここはAメロだから静かに導入部として入るけど、そのあと1小節空いてBメロ、
BメロはAメロより盛り上がってきて、勢いよくサビに突入、テンポアップ感やグルーブ感、明るいコードへ、
間奏があってから余韻を残しつつしっとりしめる、とか。
これは完全に、歌を録る時に考えてやっている”演出”だけど、詩の朗読でもそういう表現したら
少なくとも緩急はつけられるはずだと思いました。

これ、そもそも「唱歌」になってるんですけど、それをむしろ知らなかったので、
「自分がこの歌詞にメロディをつけて唄うとしたら、どういう曲の構成にして、
どういう歌唱法で表現するかな」ってイメージしてみたんですね。
それから、もっと詩としての「からたちの花」のバックグラウンドを知りたいと思い、検索をしたら
Youtubeに歌の動画があって
「ァ……そもそも歌だったわ……」
ってなりましたw

その上で、北原白秋と、作曲を手掛けた山田耕筰両者に、「からたちの花にまつわる幼少〜青年期の思い出がある」こと、
だからこそ「郷愁」の曲として作られたと解釈できることがわかりました。
また、楽譜の冒頭の指示に「ゆるくしずかに やや自由に」とあることもわかったので、
私はこの詩の朗読においても「郷愁」というコンセプトの元、「ゆるくしずかに やや自由に」唄うように読むことにしましたw

元々、歌としての「からたちの花」は変拍子かつ超高音を使う、超絶難しい歌に聞こえます。
いや、絶対に、実際歌おうとしたら難しいはずです。
朗読の場合でも「これを読み上げながら何かを表現しろ。全体の意味や流れを考えろ。単調にするな」
と言われるとだいぶ難しかったです。

私は声のトーンの軸「郷愁」は変えずに、まず段落を以下のようなコンセプトで切り分けてもみました。
それが私の「やや自由に」です。

<喜 報告>歌い出しサビ
からたちの花が咲いたよ。
白い白い花が咲いたよ。
---間奏の間---
<怒 警告>Aメロ
からたちのとげはいたいよ。
青い青い針のとげだよ。
<楽 奨励>
からたちは畑の垣根よ。
いつもいつもとほる道だよ。
<誇り 自慢>Bメロ
からたちも秋はみのるよ。
まろいまろい金のたまだよ。
<哀 回顧>
からたちのそばで泣いたよ。
みんなみんなやさしかつたよ。
---間奏の間---
<まとめ 余韻>しめやかなサビ
からたちの花が咲いたよ。
白い白い花が咲いたよ。

そして、「白い白い」や「青い青い」のような繰り返し部分は、強→弱とか、弱→強とか
溜めとかを使って、「反復することによる強調」を表現しました。
これで、1分30秒ジャストにしました。



2〜3級には、「番組ナレーション」のようなナレーション課題がありましたが1級には逆にありませんでした。
ですから、ナレーションを生業にする人はもしかしたら、2級まで取れていれば
一定のナレーション技術を保証してもらえる検定と考えられるかもしれません。
そして、普段からナレーションをしているため、2〜3級のナレーションはそこまで難しく感じなかった反面、
1級はやはり、それぞれの課題全てが2級までの難易度を凌駕しているように感じましたし、
ナレーションに代わって出てきた「バナナの叩き売り口上」の課題は新鮮でした。
「江戸っ子は気が短けえんだア。」のような文言が含まれる、「べらんめえ口調」みたいな口上です。
これの原文は室町京之助という人の「坂野のバナナの叩き売り」というもののようですが、
創作というより「見聞録」なのではないかと思います。
室町京之助が坂野という土地でバナナの叩き売りを見て、それを「文字起こし」したという感じかと。
ですから、意味がよく通らない部分があるように見受けられますが、聞き間違えなのかもしれませんし、
当時の日本語にはあった慣用表現なのかもしれませんし、方言のようなものなのかもしれませんね。

課題の指示としては
「通りがかりの人の足を止め、新鮮なバナナをひとつでも多く買って貰えるよう、威勢よく販売してください。」
となっているので、私は「気さくに冗談を言ってくる陽気なおじちゃん」みたいな役作りをしました。

「通りがかりの人の足を止める」ってよほどのことだと思うんですよね。
結構暇か、ものすごく気になるってんじゃなきゃ、普通通りがかりの人は、通りすがって行くだけだと思うんですよ。
それを、口上だけで引き寄せてみろっていうんだからこりゃ難しい。
「少なくとも悪い人じゃなさそうだ」という印象を与えたり、
「何やら面白いことをやっているようだな」と思わせたりしないといけない。
取り囲む客がゼロの状態ではまず「少なくとも悪い人じゃなさそうだ」「陽気だ」の第一印象を与え、
その人達を笑わせることで「何やらあの人だかりの中で面白いことをやっているようだな」と、
人だかりの外側の人を更に集めるという作戦が必要です。

そこで私は、「基本的には威勢がいいものの、急にヒソヒソ話す場面」とかも作りました。
ワァー!っと言ったと思ったら、急にコソコソと聞こえる人にだけ秘密っぽい感じで話し始めると、
聞こえるか聞こえないかの距離にいる人は「何を言ってるのかな」と気になるし、
すでに近くに寄っている人も引き込まれて、更に距離を詰めちゃったりするし。
そこで笑いを取ることで、人だかりの外の人は「面白いことやってるのかな?」と思う。
だから「多分ここは、”笑いを誘うくだり”だ」と思ったところは、少しわざとらしく
「わかってて軽口を言ってますよ」というニュアンスを前に出してみたりしました。
取り巻きのお客さんがドッと笑ったら、より一層「なんだろう?」と寄ってくる人が増えるので。

「こういうのって、どやが得意だと思うなあ……」とか思いながら演りました。
かつて、蟹風呂喫茶でどやが、「叩き売り」風の売り口上をやるパフォーマンスをよくしてたので
そういうのを参考にしましたねw
彼は口上で、笑いと注文をとっていたw
身近なところからでも、盗める技巧は盗むべきだと思います!w
あとは、実際に子供の頃、学校帰りに見た「怪しい玩具の叩き売りおじさん」とかは、
「通りすがりの子供の足を止めて、このおもちゃが欲しいと思わせる」術を持っていたんだなと思います。
「指から煙が出るやつ」とか売ってくるおっさん。
子供が学校帰りにお金持ってるわけないんだけど、欲しいと思った子供は急いで家に帰って
「今そこの通りでおもちゃ売ってるおじさんがいて、100円だから買ってもいい?」
と親にねだって、すぐにお小遣いを持っておじさんのところに戻って買う。
そういう商売の良し悪しはともかくとして、あれは「なんだか悪い人ではなさそう」で親しみが持てて、
「笑わせる話術」や勢いがある人じゃなきゃ出来ないことのような気がしますね。



それで最後の課題「ドラマ」ですが、目安の尺は2分でした。
自分としては5〜10秒はみ出したとしてもト書き部分を呼吸だけで演じたかったので、
これだけはあえて溜めでやりました。
シチュエーションが「マラソン大会」だったので、「走っているという息遣い」を用いて、
「急にピッチを上げる」だとか書いてあるト書き部分を表現したかったんですよね。
そこに「ハァハァ」とか書かれていなくても。
実際、括弧で括ってあるセリフだけを、普通の速度で読んでいったら1分半くらいで終わるので
長い台本ではありません。
でも、マラソン大会で、ビリを二人で走っていて、そこでちょっと駆け引きなんかのドラマがあって……
というのを掛け合いだけで表現するものなので、括弧で括られたセリフを読むだけじゃなくて
ト書きにあることも、ドラマ上、重要だと思ったのです。
でもそれを表現するとしたら「息遣い」のみでやるしかない。
アドリブのセリフを足すつもりはなかったので。

ただ、女性演者としては「男子高校生」っぽくやるだけでも「そう聞こえるか不安」なところがあるのに、
声色を分けて2名演じ分けるという点で、2級の「小学生男子とお母さん」より難しかったですね。
「ふたりの演じ分け」自体は出来るとして、「男子高校生2名」なところが曲者というか……。
わかりやすく2名演じるなら、やはり一人は高い声、もう片方は低い声にするのが手っ取り早いし
「男の子とお母さん」ならそれに適していますが、「女性なのに男子高校生2名を演じ分ける」ために
片方の声色を高くすると、もうそれは高校生ではなくなってしまうので……。
小学生か中学生みたいになってしまう。
両方を低くすると、今度はどちらのキャラが喋っているかが区別しにくくなるしで、
どっちの方向性で行くかは悩みました。
結局「明確に2名を分けることを優先する」方向にしたので、
片方は声色が「高校生にしちゃ高いだろ」という感じにはなってしまいましたが
キャラA・Bのどちらが喋っているかは、一聴しただけでわかるようには出来たと思います。
審査員がどっちを正解とするかなんか考えてもわからないので、
自分なりに「登場人物たちが男子高校生であること」より「ドラマを伝えること」を優先しました。
どういう人物がどういう状況下で、どういう心境で何を話していて、オチがどうなったか。
自分が演るべきこととしてはこれが重要度高で、
「男子高校生のような声を2種類出すこと」の優先度は、それらより低いと判断しました。
審査員が「男子高校生ならもっと声低くなきゃダメでしょ。不合格」というなら甘んじて受け入れる!!
私は、自分が表現したいことを表現したいように、した!! と思えるように演じきりました。
悔いはない!!!!!!!!!!


月末(10/31)、結果が出ました!
受験結果

ハッッッッピーハロウィ〜〜〜〜〜〜ン!!!!!!!!!

バナナ(口上)とマラソン(ドラマ)は、マジで色々工夫したし練習も頑張ったので、そこに目(耳)を留めてもらえて本当に嬉しいです!!
上述の通り、ドラマは「あえて尺をはみ出す覚悟で」表現の方を優先した甲斐がありました。

「アドバイス」どころか終始お褒めの言葉を頂き、
「これが非の打ち所がないってやつかー……(他人事)」
となっていますw


(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)


■最後に

この検定を知ったのも、受験しようと思ったのも、ボイコネで公式キャストをすることになったから
というのがすごく大きいです。
ボイコネとの出会いに感謝しています。
私のボイコネでの活動履歴に関しては、ボイコネのカテゴリ記事をご参照ください。
検定期間中は劇をお休みしていたので、また少しずつ劇配信を再開していこうと思います。


フリーランスで仕事をしていると、声や音の仕事でも、デザイン・イラストなどのお仕事でも共通するのは
「自己PRに実務経験・実績が重要」というところなんです。
「こういう仕事も手掛けたことがあります」ということが、すごく“名刺”の役割を果たしてくれて。
でも、中には
「このお仕事に携わったことを口外しないでください」
という案件もあるわけです。
そうすると、その案件自体が、もし実績として公表できた時には良い影響力を持ってくれるものであっても
経歴に書いて名刺代わりには出来ないということになります。

それでも、こうして検定で1級を持っていると「資格等」の欄にそれを書くことが出来るので、
資格も“名刺”の役割を果たしてくれるし、営業時などにも
「確かな実力がある裏付け」
として機能してくれる部分はやはりあると思います。
元来資格や検定の合格ってそのためにお金を払って、勉強もして、取得するものだと思いますしね。
なので、これでお仕事が増えたら尚嬉しいなぁw