この講座ではこれまでに、録音が出来るソフトとして、Windows標準の「サウンドレコーダー」しか紹介しなかったのだが、
前回ステレオミキサーでの音量調節方法を解説した上で
「録音して自分で確認しながらベストな音量バランスを探そう」
てな結論にしたので、サウンドレコーダーより機能が多く、かつフリーのソフトを紹介しよう。

まず、こういったソフトをこれから選ぼう、使って行こうとする人に、ここでまた一つ、助言を。

どれでもいいから1つに絞って、「使いこなせるようになった」と思うまでは粘る
というのを、自分と約束してみて欲しいのだ。

というのは・・・
今回テーマにしている音声関連ソフトなどを総称してDAW(ディーエーダブリューもしくはダウ)というように呼ぶけれども、
「どのDAWが一番良くて、他のはダメ」だとかそういうことはなく、どれも大体似た様な機能を備えているし、
どれを使っても便利な部分と不便な部分はある。

Aというソフトをちょっと使って、不便なところがあったりわからないところが出てきたからと言って
別のBというソフトに早々に乗り換えても、そっちではそっちの不可解なところに出くわすだけなのだ。

逆にAというソフトを8〜9割方使いこなせるところまでやりこんだら、BだろうとCだろうと、
他のソフトを新たに導入しても、それはそれですんなり馴染める。
すぐに似たような機能を探し当てることが出来るようになるからだ。

つまり、あるソフトを10%程度しか使えないのに他のソフトに乗り換えたところで、乗り換え先は10%未満しか使いこなせないが、
あるソフトを90%使いこなせるようになれば、他のソフトに乗り換えたとき65%くらいからスタートできるのだ。

ソフトを乗り換えるというのはそれだけでハンデになるのだから、
すぐに「ソフトと自分の相性が悪い」と決め付けて、ちょくちょくソフトを乗り換えていても、
一向に自分のスキルが上がらないのは当然のこと。

それよりは、ある程度覚悟を決めて、
ちょっとくらいわからないことが出てきても、わかるようになってこいつと付き合っていこう
というソフトを1個だけ選ぶ。
基準は「直感でなんとなく出来そうな気がした」とかでいい。
それで、とにかくそいつに絞って使い込んでいくのが大事だ。
そのうち愛着が湧いて来る。

もっと言えば、これはDAWに限った話ではなく、お絵かきソフトでも同様。
あれこれちょっと触るより、どれか一つを理解できるようになるのが先決だ。

道具を使いこなせない人の傾向として、使い方がわからないと全部道具のせいにしたり、
その上で他のもっといい道具を探そうとしすぎるというのがある。
ユーザーインターフェースが優れていない道具は確かに使いづらいけれど、
ないものねだりしていても始まらないのも事実だ。



というわけで、ソフトの紹介。
私は録音と波形編集に「SoundEngine Free」というソフトを使っている。

サウンドエンジンフリーをインストールしよう

SoundEngine Free
ダウンロードページはこちら
インストール手順の解説

インストーラー形式なので、DLしてきたexeファイルを起動すれば後は「次へ」をクリックするだけ。


現在バージョン5がリリースされているが、私は録音と波形編集にずーーーーっとこのソフトを使ってきたので、
一番最初にDLした時点ではまだバージョン2だった気がする。
今のPCに残っているバージョンでも2.945(2003年)というのがあるし、多分このあたりから使い始めたと思う。
つまり10年使ってるんだなあw


・音や声を録音して保存する
・音声データの波形編集をする
というような用途に最適だ。
ミックス機能もなくはないが、決して便利ではないので、録音と波形編集専用ソフトと考えて使うのが良いと思う。

ちなみに、ただDLしてインストールしただけではwavかogg形式しか開けないので、
mp3の読み書きにはひと手間加えないといけない。
こちらに、動画つき解説がある。
01. wav以外のファイルをSoundEngineでシームレスに開く方
PCの知識がそれなりに要るし、wav⇔mp3の変換ができるソフトは他にもあるので、必ずやる必要はないけれど…。
でも、mp3をD&Dしてすぐに波形編集できるようになると便利なのでやっておいて損はないとは思う。
(うちはv4を使い攣る毛手いるので、別記事で、v4を使ってmp3を扱えるようにする方法をまとめようか迷う)

サウンドエンジンはバージョンアップの度にすごくなっていくのだが、
今回のバージョン5からは「ピッチチェッカー」という機能がついていて、
録音中、入力している単音(つまり自分の歌声など)のピッチを表示したり、録った後にそのデータをピアノロール表示したりという
全く新しい使い方が可能になった。

鼻歌を録音して、ピアノロールにして打ち込みデータいじったら作曲完了! みたいなことにもなるわけだ。
歌の録音中にも、自分のピッチの揺らぎを目で見て確認することが可能。
これはバージョン4までにはついていなかったので、今後ちょっといじってみようと思う。


それはそうと、録音・波形編集ができるフリーソフトを他にも紹介しよう。
私の講座では、次回からサウンドエンジンフリーの使い方、そしてミックスソフトとしては
KRISTALを用いて録音は録音、ミックスはミックスと分けて解説していく予定なのだが、
他にもソフト自体は存在するので、皆さん自身で自分に合ったものを見つけるのもよいとおもう。

例えばこれ。
・Audacity
Audacity
ダウンロードページはこちら

マルチトラック編集、つまりミックスも出来る録音・波形編集ソフト。
録音からミックス、各種形式への出力まで出来るのだから、これ1個使いこなせるようになればそれが一番便利かもしれない。
私は、録音を録音専用ソフトで行い、ミックスはミックス専用ソフトで行うというのに慣れてしまったが、
Audacityに慣れれば1つのソフトの中で全部出来るのだから、手間もPCへの負荷も軽くなるかも。

SoundEngineの場合、マルチトラックではないので、録った音声をミックスするには、
同じ系列が配布しているRadioLine FreeやKRISTALのようなものが必要になってしまうわけ。

最初にも書いたけれど、大事なのは、「これ!」と一つに絞ってそれと徹底的に向き合うことなのだから、
向き合う先がAudacityひとつというのも理に適っていていいと思う。
私もAudacityを一度インストールしたけれど、結局SoundEngine+KRISTALに絞っただけなので、
今からAudacityを使おうと思えば、これまでの経験で、すぐそれなりに使いこなせると思う。
こういう風に、どれか一つに絞ることで、結果的には複数のソフトの間を行き来するのも億劫じゃなくなるのだから、
最初は絞った方がいい。
あれこれ手を出すというのは、先々のことを考えているようで実は、却って逆効果だと思うのだ。


波形編集が出来るフリーソフトという意味では、そもそもそんなに選択肢はなく、
SoundEngineかAudacityかの2択のようにも思える。

ともかく、「録音・波形編集」と「ミックス」は別のものとして解説していくためにも、
この講座ではSoundEngine Free+KRISTALを使って進めていくので、
ソフト選びもこれからだったり、色々手を出してみたけどわからないという方は
ひとまずこの講座に倣ってもらって、ある程度わかってきたら、改めてもっと自分に合いそうなソフト探しをする旅に出る
というのもひとつの手ではないかと思う。
フリーに限定しないのであれば、それこそDAWは迷うほど多く存在するのだ。


次回【講座】ニコニコで活動する方法 第15回 「SoundEngineで録音 その1」は
8月6日22時、公開予定!