今回レンタルした8枚のDVDで、最後に見たのがこれでした。
塔の上のラプンツェル
ディズニー3Dで、ディズニー長編アニメーション50作品記念の新作「ディズニープリンセス」映画ということです。

さて、表題の件ですが。

SoundHorizonのアルバム通称エリ組に収録されている「魔女とラフレンツェ」は、この映画の題材となっているグリム童話の「ラプンツェル」に
ギリシャ神話のオルフェウスとハーデスの話を混ぜたハイブリッドだと私は考えているのですが。

というのは、グリム童話の「ラプンツェル」はこんな話で、しかも、この翻訳だとしっかり削られていますが
育ての親の魔女ゴーテルに黙ってしょっちゅうコソコソと性交渉を続けて妊娠したことがキッカケで放逐されるというお話ですから、
グリム童話が翻訳されたりなんだり子供向けにされるに当たって、その「性交渉」に関する部分はごっそり削られると共に、
展開さえ改変されて伝わっているのです。
この省略部分を「改変前」に戻してさらにラフレンツェの純潔が死後の世界と生者の世界との間にはだかる「砦」であるという設定を加え、
「ラプンツェル」における王子ポジションをギリシア神話のオルフェウスにしたのが「魔女とラフレンツェ」なのだろうと。そう考えられるわけです。
しかも、そのオルフェウスは、「ラプンツェル」とは異なり、元々自分の妃がいて、彼女を死後の世界から連れ出すことを目的に
ラフレンツェをたぶらかして、恨まれるエンドです。
これが、Revo式「童話」です。


で、これを頭に置きつつ、ディズニーは「ラプンツェル」をどう描くのかな?と。
天下のディズニープリンセス映画なのに、真昼間の親が出かけている時間を狙っては知らない男を部屋に連れ込んでエッチしてるプリンセスはありえんだろ。
かといって、死者の世界の門番っていう設定は、あくまでギリシア神話から着想を得たと思われるRevoオリジナルと言ってもいいくらいの設定なので、
どうやってラプンツェルが魔女の元で育てられることになったのか、また、原作で「王子」である人物がどのように描かれるのか気になった。


その質問の答えは、不老不死の力さえ持つ魔法植物を独占していたゴーテルが、不老不死の生活を続けるために
その力を受け継いで生まれた皇女ラプンツェルを攫ったというものだった。
これは原作をうまいこと改変したと思った。
元々は、ラプンツェルは植物で、ゴーテルの庭になってる野菜のようなものとされている。
それを食べて元気になりたいという妻のために、夫は危険を承知で野菜を盗みに入って、娘が生まれたら引き渡すという交換条件で
ラプンツェルを分けてもらうのだ。
その夫妻は、ごく普通の夫婦にすぎない。
しかし映画では、これが一国の王と妃なのである。
だからこそ、お妃が妊娠に際して体を弱めてしまい、国中のものが魔法の花を探しに行き、ゴーテルが独占していた花を見つけ、持ち帰ってしまう。
この設定はうまい!
そして、その花びらを煎じた湯で健康を取り戻したお妃であったが、生まれてきた皇女の髪に不老不死の力が宿ったため、ゴーテルに攫われる。
この、「髪に力が宿る」という設定もうまい!
童話「ラプンツェル」は髪長姫とも訳されるくらい、髪が長いことがアイデンティティでもあるし、ディズニーバージョンでは、
髪に力が宿っている上に、それを切り落とすと、切った部分の毛からはその力が失われるということになっている。
あらゆる辻褄が合う形だ!!


ところで。

王子の方なのだが、原作童話では「森の中を歩いていた王子が歌声に惹かれて塔を発見し、ラプンツェルと出会う」ことになっている。
ディズニー版では、そもそも王子ですらない!
身寄りのない、ならずもの!盗賊だ!!

ここで私は、FF9を重ね合わせてしまった。
服装も似てるんだよ。この盗賊のユージーンが、ジタンにさ。
ゴーテルは間違いなくブラネ女王ポジションだし、ずっとユージーンを追ってくる宮廷の馬は、まさしくスタイナーだった。
髪の毛が持つ不死身の力は、召喚魔法アレキサンダーのごとく。
ユージーンが連れて行く森の中のレストランには、タンタラスのメンバーみたいなやつがいっぱいいた!w
髪をばっさり切るシーンも共通した。
こんな見方も面白いかも。


それにしても、映像が3DCGになっただけで、ディズニーは変わらないね。良い意味でね。
ミュージカルアニメ映画っていうか。
あれが受け付けない人もいるんだろうな。みんな突如歌いだすからさw
現実だったらありえないでしょ、突然、自分語りの歌を歌い始めるとか!ww
でも、演出としては音楽の要素が加わるだけで明るい暗い、楽しい辛いなどの表現が簡単でわかりやすくなる。
ミュージカルではない演劇だとしたら、それをセリフや動きや、とにかく会話をベースにしたやり取りでしか表現できない。
もしくはBGMを流すか。
でも、ミュージカルにすると、セリフを「歌」にしてBGMとミックスしちゃうから、すごく伝わりやすくなる。
ただ、子供の頃から触れて来ないと、ミュージカルって「いきなり歌いだすことの違和感に耐えられない」という人もいるのは事実。
ミュージカルに慣れてない大人は、「喋ればわかることなのに何故歌う!?」って思って冷めちゃう。
私は、演出としてディズニーがこれを変わらず取り入れていることは結構評価できるんじゃないかと思ってるんだけどね。
子供のために作品を作っていると思うし、そう考えると、子供は直感的なものを素直に受け取るから、ミュージカル形式ってきっと子供にわかりやすくて
理に適っていると思うんだ。
語彙の少ない子供でも、音楽の雰囲気から汲み取ることができるんだよね、不思議だけど。
それに汲み取れる人に育って欲しいよね。


映像も綺麗でびっくりした。
私は、ピノキオ、アリス、ダンボあたりは、弟に付き合ってテープが伸びるまで見たんだけど、
最近のディズニーは、ディズニー×ピクサーばかり見てた。
で、ディズニーとディズニーピクサーはまた別だと思うのよ。
ピクサーがディズニーの子会社だとしても、ピクサーがディズニー映画のすべてに絡む訳じゃないから
ピクサー作品を見るときは、どのあたりがディズニーっぽくてどのあたりがピクサーっぽいかとか
考えながら見てる。
ラプンツェルはディズニーで、ピクサーじゃないディズニーは久々に見たことになる。
それこそピノキオ、アリス、ダンボ以来だといえばその隔たりが伝わるだろう。
間に挟まる作品をだいぶすっ飛ばしたと思う。
だから、「今のディズニーアニメってこんなに綺麗なんだなあ〜」って感心したよ。
なにしろ、ピノキオとかと比べてるんだから、大違いだw 2Dと3Dの違いがあるw
それは、ピクサーがディズニーの子会社になったことで、お互いに作品に影響しあっている部分が、良い意味で、
作品に滲み出てきているというような感じにも見える。
ピクサーが子会社にならなかったら、ディズニーアニメ映画は未だに2Dだけだったかもしれない、とかね。
(子会社になったのは2006年)
90年代まではやっぱり2Dだったもの。ポカホンタス、アラジン、ムーラン、ターザン、リロ&スティッチ・・・
で、ディズニー配給ピクサー製作という形でトイストーリーとかが公開されてて、2005年に「チキン・リトル(3D)」から
ピクサー製作ではないディズニーの3D映画が始まった、という感じ。
そこからの2010年ラプンツェル。
ピクサー製作ではないディズニー映画に、ピクサーの技術がうまく影響して、この3D作品が出来たという感じがする。
そうじゃなかったらラプンツェルも2Dになっていたんじゃないかって気がするんだ…。
髪の毛の一本一本というような質感とか、水の表現とかもすごかったなあ。
もちろんあのハイテンポな小ネタ挟みもあってw
これこそが今、世界トップクラスの3DCGアニメなんだなあ〜!!って感じ。
こういうのは大画面で見たかったなあ。
当時映画館で見たかったよ。行こう行こうと思っているうちに終わってしまったから今回DVDを借りて見るしかなかったけどね(´・ω・`)
ディスプレイ大きくしたから、それでも結構楽しめたんだけどさ。

なんか、正統派って感じですごく良かった。
ディズニーランドにいるみたいな気持ちになったし、行きたくなったし、この夜は実際ディズニーランドに行く夢を見たよw
あーディズニーランド行こうっとwww