2005年にも、「本」カテゴリで簡単に記事にしているのですが、これはね、本当はもっと長文書ける作品なんですよ。
読んだことある人と語りだしたら、結構長時間語れるものなんですよ。
ただ、そうすると自然と若干のネタバレを含むから・・・以下はこれから漫画で読みたい人は注意!


ってわけで、一度読み出すと止まらなくて、最終巻の15巻で完結するまで一気に読んでしまう。
もう何度目かわからないけど、今日またやってしまった。
今日の場合は、最初熱帯魚の話をしてたんだよね、ツイッターで。ゆぅさんと。
なんか白い孔雀の写真がRTで流れてきて、アルビノ種ではないって書いてあったんだけど
それがすごく綺麗で私も思わずRTしたんだけどね。
「アルビノ」って、結構動物的には体が弱いのが多いと思うんだけど、そういえばコリドラスっていう魚のアルビノはすごく強かったな〜って。
一緒に「コリドラスパンダ」っていう白黒縞模様のやつと飼ったら、アルビノがパンダを駆逐しちゃうw
なんてことを思い出してさ。
Bバージンの主人公「住田秋」は「アルビノオータン」っていうあだ名(というか部活内コードネーム)を過去に持っていてそれも思い出して
通じないだろうなって思ったら通じるフォロワーさんがいた!ww

このコードネームは、住田秋の所属する生物部の生物オタ3人が結成している(?)「ミトコンドリアンズ」というチーム内のコードネームなのだが
秋が2号で、あとの二人のコードネームはなんだったかなって話になって思わず単行本引っ張り出した。
その情報は4巻にあった。

でも、その情報自体はこの漫画の中でさしたる重要性は持っておらず、4巻なんか引っ張り出した日には・・・もう・・・
読まずにはいられんですよ!!


秋はヒロインのユイに本気で恋していてさ、でもその時点では女の子から相手にされない風貌の生物オタクだから、このままじゃいけないってんで
自分の姉に女子向けの改造(外見や立ち居振る舞い、ファッション・音楽の趣味や、口調まで)を施される、1年半の特訓を受けて、
いよいよ告白をするも!カッコ良くてモテそうな男は逆に警戒されてフラれる、みたいな結果に・・・
でも、それで諦めるようなやつじゃないんだよ。ユイも軽そうな男にはトラウマがあるけど。

多分秋は生物が好きで、それゆえか本人にも野生の勘みたいなものがあるんだろうな。不器用ではあるけどさ。
4巻で、シベリアのキツネの話をするんだよ。
ユイに、「本当は他の女の子が好きなんでしょ、なんで私なんかにこだわるの」と、疑われて、つっかかられて
姉仕込の口説き文句じゃユイは納得しない。
だから自分の言葉で説明しなきゃいけなくなって、そうするといつも秋は生物の話にたとえるんだ。
そこではそれがシベリアのキツネの話で。

秋はいまや大学で人気トップ3には入るモテ男だから、確かに寄って来る女の子なんていっぱいいて
付き合おうと思えばいくらでも相手は選べるんだけど、秋は自分はシベリアのキツネと一緒だと思っているんだ。

「シベリアのキツネは ふ…ふだん…単独行動してるんだ…
 とてつもなく広い大地でさ… 出会うメスなんかめったになくて…
 出会えたメスは彼にとってただ一人のメスなんだ…

 つまり… もう…彼女をはなしたら終わりなわけで…
 彼女のためなら… 命がけで他のオスとも戦うし なんだってする…

 こ… この国は… 人が多すぎるから…
 本当はたった一度の出会いなのに… みんな…それに気付かないんじゃないかって…

 ぼ… 僕は… 女の子を選べる様な立場の人間じゃないから…
 ほっ…… 本当の僕は…
 女の子を選べる様な人間じゃないから…
 …………… ……それが… わかるんだ…」



このあとも、ユイと秋はすれ違い、勘違い、失敗を繰り返して、お互いに何度も傷ついて、辛くて、
読んでいて「こんな恋がしたいわ〜ぽわぁん」なんてなるようなお花畑展開では決してないけど、
ある種の先天的優位に立てる強さを持たない秋が、それを自覚していながら前向きに立ち向かい続けて、
「元々強かったやつより、弱かったやつがそれを上回る強さを得ることができる」
っていうことを体現してくれて、それは、確かに都合のいい精神論に見えるかもしれないけど
私だって、元々は人より優れたセンスも技術も持ってなくて、人より努力することでやっとそれをカバーして
人並みになれるような人だから、読んでいてこんなに勇気付けられることはなかなかないってくらい
自信をくれる作品だって思ってる!!
(多分アルビノの部分に、繋がるんだよこれ)
それに、秋の一途さには本当に心を打たれるよ!!
恋愛において「オンリーワン」っていうことがどれだけ大切か・・っていう言い方だとなんかうまく説明できてないけど・・・
秋のような一途さがあって、初めて恋愛で人は幸せになれるんじゃないかなって思うんだ。
それに、この作品のすごいところは、それが決して「共依存」の関係になっていないという点。
お互いがお互いにとってオンリーワンで、一途で、ってそれはすばらしいかもしれないけれど、
「自分」がない者同士だと共依存に陥る。相手という支えを失ったとき何も残らない状態になってとても危険だ。
でも、秋は、自分をちゃんと持つことを学び、成長しながら、ひたすらユイに対して一途で。
多分、あのコテージから帰る際、ユイが「帰ってきたって他人だからね」って、ちゃんと秋を突き放すのと
そのあとユイの方から秋を追ってくるのは、やっぱりユイも秋には秋のやりたいことを貫いて欲しかったからで
そんな秋と一緒にいたいっていうことだと思うから、共依存だったらあの展開にならないと思うんだGJ。
そういうところもいい作品だと思う。

次から次にアクシデント勃発して胃が痛くなるような展開の連続だけど、案外人生ってこれに近いし(小説より奇なり、みたいな)
なんかその展開にそれぞれ妙に納得する部分もある。作者が「人間」をよく知っているせいだと思われる。
確かにテーマというか、題材は大学生の恋愛だけど、それだけには留まらない人間のことが沢山詰まっているし
恋愛についてもね、やっぱりちょっと他の恋愛漫画とは一線を画すものがあるから、
なるべく若いうちにこの漫画を読んで欲しい。男女問わず。
とても大事なことを学べると思う。
なかなか私もうまく書けなくて歯がゆいけれど、逆にそんなに簡単に言葉で説明できてしまったら、
却って薄っぺらく感じられてしまうとも思うし、原作漫画を読んで言葉じゃない何かで感じ取って欲しいとしか言えないけれど。
心に残る作品だし、多くの人の心に残しておいて欲しい。幸せになれるように。



Bバージン 1巻