地下から少女が悲しくすすり泣く声が聞こえる。
大小さまざまなモンスターたちがウロつく、ひんやりとした城内。


魔王「…暇だなぁ…」

玉座にて。

魔王は暇を持て余して退屈そうだ。

魔王「そうだ!! 勇者が来たときに備えて練習しなきゃ!!」

魔王はすっくと立ち上がると、真剣な顔つきで3歩歩み出ると演技の練習を始めた。


魔王「ふははははははは!!!!! よく来たな、小賢しい勇者どもよ!!
   このワタシに、勝てるなどと思い上がりも甚だしいわ!!!
   見せてくれよう…ワタシの…本当の
……ゲホゲホ!!!」

魔王は言い終わる前にむせ返った。

魔王「だめだ…こんなにドスを利かせていたらすぐにNP(のどぱゎゎ:発声力)が尽きてしまう…。
   もっと手加減しながら…、そうだなぁ、強く喋ることより低い声を出すことを
   優先しようかな。
   そんなこんなで、今日の練習終わりっ☆」

一人、自分に言い聞かせるかのごとく呟くと、彼は再び玉座へ戻る。
そして懐から小型の通信機のようなものを取り出し、カチカチとボタンを押した。


魔王「ノ、ン、ケな う ☆ で、ポチっと。リプあるかなー。」


マリオ王の発言  @魔王:ツイートしてんじゃねえよ
魔王いさじの発言 @マリ王:あ、マリオさん。最近どうですか。
マリオ王の発言  @魔王:暇ー
魔王いさじの発言 @マリ王:ワタシもです。
マリオ王の発言  @魔王:で、今どこ?
魔王いさじの発言 @マリ王:城です。食事でも行きますか?
マリオ王の発言  @魔王:えー、さっきご飯食っちゃったから、また今度で


魔王いさじは、ここまでのやり取りを終えるとふぅ、とため息をついて、背もたれにゆったりともたれかかった。

いさじ「早く勇者来ないかなー… 待ちくたびれちゃったな…
    そうだ、くろみつ姫に三味線を弾いてもらおうっと。」

いさじは、地下へ降りる階段をやや急ぎ足で駆け下りた。
すすり泣く少女の声はやみ、三味線の音が響いていた。

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今日の登場人物

いさじ 冥府の王。冥属性。
くろみつ姫 誘拐されたらしく魔王の城の地下に幽閉されている。不思議な三味線を弾く。



文:(V)・∀・(V)
原案:蟹Projects