全く映像は動かないので、「動画」じゃないけどなw
完全に音声のみのコンテンツ。








(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)



『銀河鉄道の夜』は、朗読リクエストが2回くらいはあったので、結構前に本を買ってあった。
ちなみに、その本は新潮版の文庫である。

※銀河鉄道の夜以外にも、よだかの星とかセロ弾きのゴーシュなどが載っているよ
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それを寝る前に何度かに分けて黙読したりして予習した。
でも、この作品に関しては、収録用台本として青空文庫」を使ったほうが便利だ。
手で本を持ってめくりながら読むのは、手が疲れるし、顔の向きを固定してるつもりでも徐々に俯いていくし
(マイクに対する口の角度は変えないまま読み続けないといけない)
ページめくり時に途切れないように読むのに神経使うし、ページめくりの音等のノイズが入らないようにするのにも神経使う。
だから収録は、PCモニタに「青空文庫」の画面を表示して文字サイズをかなり上げた状態のものを見ながら進めた。

だが、録り始める前に、色々と「方針」を固めなければならないことがあった。

まず、『銀河鉄道の夜』は作者宮沢賢治の「遺稿」で、作品として未完成であるため、
文中に不自然な「○字分空白」のような部分が何箇所かあり、その内容は解釈が分かれる。
でもそこを空白としてスルーして朗読するわけにはいかない。
そうすると意味が通じなくなるからだ。

そこで、「青空文庫」の角川版と新潮版の比較を見て、
更に、両方で「空白」扱いになっている部分は、ググったりして一番それらしいものを読んだ。
例えば、賛美歌が聞こえてくるシーンで「○(一字分空白)番の賛美歌が〜」という風に、番号が指定されていないところがあるのだ。
こういうのを、「……番の賛美歌が」と飛ばすよりは、何かひとつの解釈で文字を当てはめて読む方が聴いていて自然だ。
作者自身「何番ってことにしようかな」と考えている段階だったのだろう。
研究している人たちの間でも意見がひとつにまとまっているわけではなく、
「当時の249番であり現在の320番を指している」としている人もいれば「306」だと言う人もいた。
もちろんそれぞれに論拠が存在する。
正解は作者にしかわからない。
とりあえずそれについては私は「306」として読んだ。

更に、こういった空白埋めだけでなく、角川版にはあって新潮版には跡形もない段落などもある。
これも一応理由があるにはあって、その理由についてはここでは省くが、ともかく私としては今回の朗読では、
”新潮版と角川版を足して2で割らない”
という方針で作業を進めた。
どちらかにだけある文章なら、「より情報量が多い方を読む」。

読み仮名も、角川版と新潮版では、ついていたりいなかったりしたので、両方を見比べながら
なるべく「現代の人が耳で聴いただけでわかるような読み」の方を優先したり、決めたりした。
文字の上で「クリスマストリイ」と書いてあっても「クリスマスツリー」と読んだり、
「お母さん」に「おっかさん」と読み仮名があれば、そこは「おっかさん」と読んだが、
ルビがない場合は「おかあさん・おとうさん」で統一したり……。
あと、かなりの単語のアクセントを辞典で確認した。

メモ書きした分だけでも、以下の通り。

汽車 キ゜\シャ
こしらえて ̄
いちい ̄の葉
ひのき ̄
ケ\ール
アスパラ\ガス
日覆 ヒオ\ーイ
信号標 シンゴーヒョー ̄
箒 ホーキ ̄
戸口 ト\グチ
ケンタウル祭 ケンタウル\サイ
小路 コ\ージ
ひ\ば
人馬 ジ\ンバ
女の人 オンナノヒト ̄
思\わず
な\んとも言えず
言いながら ̄
そよ\ぐ
露 ツ\ユ
きれぎれ ̄
こみち ̄
三角標 サンカクヒョ\ー
軽便鉄道 ケーベンテ\ツドー
腰掛\け
ワ\ニス
停車場 テーシャバ ̄
盤 バ\ン
橙 ダイダ\イ
小さく チーサ\ク
大きく オ\ーキク
鋳た イ\タ
数珠 ジュズ ̄
熟した苹果りんごの あかし ̄ (おそらく漢字をあてると「灯」であるため)
黒いか\つぎ
てんでに ̄
転轍機 テンテツ゜\キ
欄干らんかん ̄
近眼鏡 キンガンキョー ̄
長靴 ナガグツ ̄
鑿 ノ\ミ
改札口 カイサツ\グ゜チ
鷺 サギ゜ ̄
押し葉 オシバ ̄
鳥捕り トリ\トリ
手数 テス\ー
奇態 キ゜タ\イ
大きくて オ\ーキ゜クテ
橄欖かんらん ̄
さめざ\め
碍子 ガ\イシ
工兵 コ\ーヘー
唐檜 ト\ーヒ
地歴 チレキ ̄
牛舎 ギュ\ーシャ
向こう ムコ\ー


ツ゜とか、キ゜とかは無声子音である。
ギ゜は鼻濁音。

ちなみに私が使ってるアクセント辞典はこれ。


本が書かれた当時のアクセントはさすがにわからないし、それに合わせる意味もあまり感じられないので、
「現代標準語アクセント準拠」を目指した。

収録、チェック、修正、ノイズ除去、音量調整、動画エンコード……
完成までに、しめて24時間を要したw 足掛け3日である。
今回のは、『星の王子さま』のように睡眠導入用として録ることに決めていたので、
全体のトーンを落ち着いた感じにして、セリフは声を張った場合音量を調整して、
キャラクターが喋りだした途端急に「耳がああああ」となるようなことがないように配慮したw



『星の王子さま』のv1.1についてだが、実は『銀河鉄道の夜』より先にこっちの作業をした。
『星の王子さま』が2/19公開、『銀河鉄道の夜』は2/21公開だ。

『星の王子さま』、実はコメント欄で何度か「あくび」や「すると(接続詞)」のアクセント違いを指摘されていたが、
もうその頃には何十万再生とかになっていたので、
「とりあえずこの動画自体はこの状態で置いておくしかない……毎日聴いてる人が多すぎる……」
と思ったし、マイクが変わったので部分修正が上手く嵌め込み出来るかわからないというのもあり、
当面修正版は作ることはないだろう、と思っていた。
ごく最近まで。

しかし、海外の「日本語学習者」から日本語のコメントで
「日本語の勉強として聴いている。発音の速度やアクセントが完璧なので良い教材」
というような好意的なものがあって、
「教材として使ってもらえるのはすごく嬉しいけど、アクセントはいくつか標準ではないところがあるのだがなあ」
とたいそう気になってきたw
次に朗読を録るのは『銀河鉄道の夜』だ、バレンタイン動画うpと確定申告が落ち着いたらやるぞ!
と決めていたが、いざ取り掛かろうとすると、
いや、待てよ……先に『星の王子さま』の修正箇所を全部きっちり直してからでないと気が気でないな
という気持ちになってしまったのだ。

そこで、まず
ア\クビ
と読んでいたのをすべて
アクビ ̄
に――
接続詞の「すると」も全て
スルト ̄
に直す作業と並行して、指摘されていない部分でも辞典と異なるアクセントがないかチェックして行った。
(ちなみに最初の収録のときも辞典を全然引かなかったわけではないが、欠伸や「すると」に関しては、
標準だと思いこんでいたアクセントが実は違っていたというものだった。
標準だと思いこんでいるアクセントは、思い込みにより辞典を引かないケースがあるから良くないw)
その結果として、「汽車」がキ゜\シャではなくキシャ ̄と読まれていることが判明したり(これをコメントで指摘した人はいなかった)
要修正箇所は結構沢山あった。
というか、「すると」という接続詞はしょっちゅう出てくるので、それだけでも20箇所はあったのではないだろうかw

尚、私が接続詞の「すると」を「スル\ト」というアクセントで読んでいたのは明確な理由があることが自己分析では判明している。
それは動詞としての「〇〇する」に助詞の「と」がつく場合のアクセントでは、「スル\ト」は第一アクセントなのである。
上記アクセント辞典では付録の「助詞・助動詞等の付属語が付いたときの発音とアクセント」233ページがそのソースであるし、
普段話す時も、そのようなアクセントで発音している。

そのため、私は「接続詞の”すると”」も、「動詞”する”に、助詞の”と”が付いた時と同じアクセント」で読む
というクセがついてしまっていたのだろう。どこの段階でそうなっていたのか知らないが。
考えてみりゃ義務教育や高校で、教科書の読み上げをさせる際、アクセントの矯正をする教師はいない。
そもそもそのような教育機関に属する教師がみんなアクセントに詳しいわけではない。
だからアクセントの矯正は、「自分でやろう」と思って独学でやるか、話し方教室だの
声の仕事に関する養成所・専門学校に通わない限り行われないだろう。

「欠伸」についても同様のことが言える。
例えば「大あくび」のように複合語になったときのアクセントは「オーア\クビ」であり、
それの影響で、複合せずとも頭高アクセントの単語と思って扱ってきたということだ。

こういうふうにして、自分の誤ったアクセントのクセがどういう理由で定着してしまったか
考えてみれば特定できるというのも面白いがw

ともかく、日本語学習しているという海外の人のコメントに、修正版あるっていうお知らせの返信コメントをしたりした。
まえがきにある「献辞」も修正版では追加したので、
「献辞から読んで欲しかった」というコメントを書いていた人に返信でURL伝えたりした。
本当に献辞から読んでほしくて、その一点で満足してくれるならコメント辿って来てくれるだろう……。
アクセント指摘コメントにも返信で修正版URL送った。これで責務は果たした感。
ほかのあーしてほしいこーしてほしいコメントは大体「好みの問題」なので対応できないw
Aという好みに対応すればBという好みには反するんだからキリがない。

マイクと収録日が違うと、それだけで音声を繋いだ時に「別録りしたことがわかる」ような
ギクシャク感が出やすいので、トーンの調整が一番苦戦した。
マイクが違うんだから録った素の音から違うのに、それを似たような音にするために、
イコライザーを調整するのが骨折れた……。

あと、最後の第27章に関しては、章まるごと録り直した。
前の版だと、途中泣いてしまって、そこからあとちょっと鼻声気味なのだ。
だから、自分で「ここあまりにも鼻声すぎるな」というところを部分修正したのに加え、
27章は最後なので特に綺麗にしようと思って、全体録り直した。
まぁ……睡眠導入のためにこの動画を見ている人は、開始から長くて40分くらいで寝落ちて離脱していることが
アナリティクスの情報から判明しているんだけどねw
だからそういう人たちが、「前日寝落ちたところ」の続きから聴いて行ったとしても、27章に到達するには数日要るw
毎日「最初から」聴いていて、毎日40分までに寝落ちしてしまう人なら、永遠に27章に到達する日は来ないw
だから、27章をまるごと録り直したことに気付く人自体があまりいないだろう。
ここは、私の「自己満足」のための修正箇所なので、
私自身としては、この章のリテイクは必要だったと感じたからやったことだし今の出来に満足している!


(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)


アナリティクスの話が出たついでに、ツイッターでちょっと話した
「朗読動画が伸びていくまでの経過観察」についてここでも触れておく。


これだけでは「なぜそのような経過を辿るのか」がわかりにくいと思うが、
私がアナリティクスを分析した結果わかったことがあるのでそれをここに書く。

まず、こういった朗読動画を見ている人たちのうち、
「動画を検索して辿り着く人」は、検索キーワード「睡眠導入」などでやってくるということだ。

つまり、「睡眠導入」を謳っている動画(というか音声コンテンツ)には、一定の需要がある。
私自身、朗読ではないが、そういう音楽の動画を探して作業用BGMで流したことがあるのだが、
「リラックス用」とか「α波」とか「β波」「θ波」「バイノーラルビート」「ヘミシンク」などの、
脳波や副交感神経系に影響(集中力UPや精神安定効果)を及ぼすと考えられている音を欲して、
Youtube・Googleでそれらのワードを検索し、動画を見る人は多いということだ。
私は、『星の王子さま』の動画には公開直後から【睡眠導入用】を入れていたので、
検索結果から見に来る人が「初期から」一定数いた。

次に、そういった「検索でやってきた一見さん」の中から一定の「リピーター」が生まれることで
「一見さん+リピーター」分の再生数になっていく時期(第2期)が来るのだ。
リピーターはリピートを続け、一見さんの中から更に新たなリピーターが生まれるので、
しばらく再生数の平均値が右肩上がりに推移していく。

そして、第3期は特殊だ。
ここからは、個人でどうこう動かせるものではない。
なぜなら、1〜2期の動画の伸びの結果として、「関連動画」としてピックアップされやすくなることで
再生数が伸びる時期だからだ。
関連動画としてのピックアップとは、動画を再生している時の右下(Web版)に出ている動画と、
動画を見終わった後にプレイヤー内に12分割で表示されるものの2種類ある。
あそこに出てくる頻度は、
「総再生数」「総再生時間」や「視聴者維持率(動画視聴開始から離脱までの時間の長さ)」で決まるようなのだ。
つまり、
1.よく見られている
2.長く見られている
3.一度見始めた視聴者を離脱させない
の3点が揃っていると、より多くの回数「関連動画にピックアップされる」ということ。
動画そのものの時間が短い動画だと、1が達成できても、2は難しい。
タイトルだけで釣って1を達成しても、人がすぐ離脱するので2と3の条件が揃わないからやはりオススメされにくい。
(そもそもそんな動画はBadされまくるだろう)

以上のようなことから、「睡眠導入」を謳った、一定の長さを持つ朗読動画は、
・睡眠導入のための音声コンテンツを探している人が見に来る
・動画の尺がそもそも3時間くらいあるので総再生時間が伸びる
・寝落ちして放置されると維持時間が伸びる
などの条件が揃って、関連動画にピックアップされるため第3期に突入するのだ。

この第3期の「関連動画からの訪問者」はかなり多く、「検索結果」の比ではない。
人は自発的に何かを探しているつもりでも、「オススメ」をされればやっぱりちょっとふらっと立ち寄ってしまうもののようだw
(これはドンキホーテの商品陳列の戦術が理にかなっているという話と根幹は同じだ)
第3期に突入した後は、
オススメから来る人が65%に対して、検索やブクマなどオススメ以外から来る人が35%
という割合になる。


第1期は、既にチャンネルに登録してくれている人と、検索結果から来る人のみが再生数を動かすので、
公開から最初の1年くらいは全然再生数が伸びないとしても、リピーターが一定数ついたら
2期、3期へ移行していくということがわかる。
リピーターがつかない動画は2期へも移行しない。(これは別に朗読じゃなくてもそうだ)

というわけで、継続的に再生数を伸ばし続ける動画に求められる要素とはなんなのか、少し勉強になったねw
特に「一定の長さを持つ」のに加えて「なるべく最後まで飽きさせない」のは重要だ。
あとはスパムにならない程度に、「検索にかかるキーワードをちゃんとタイトルか説明文に記載する」だな。
Youtubeの動画に投稿者が設定できる「タグ」はほとんど影響力を持たないらしい。
(つまり検索用キーワードを「タグ」の欄にいくつ突っ込んでも、検索で引っかかりやすくなるわけではないようだ)


と、ココまで書いたけど、私は再生数が伸ばしたくて動画作ってるわけじゃないから、
自分で書いといてなんだけど
「へえーそうなんだ……」
って感じw
たまたま『星の王子さま』は、これらを知らずに公開して、結果的に条件満たして伸びて、
「なんでこれこんな伸びるんじゃ」
って思ってアナリティクスを分析することになったわけだからねw

でも、『星の王子さま』は本当に多くの人が、繰り返し見てくれて、
「薬でも寝付けないのに寝付けました!」
みたいな、なんか雑誌の広告に載ってる「個人の感想です。」みたいなコメントも多くて、
でもそれがサクラなわけなくて、本当に「寝付けなかったのに寝付けた」ということから
感謝とかまでしてくれる人もそこそこいるから、単純にあぁ作ってみてよかったなとは思ってますねw
自分が「寝るために朗読を聴く」っていう習慣を持っていないから、実感としてそれがどの程度の需要あるものなのか
また、私の朗読がちゃんとそういう役目を果たせるものなのかわからなかったけど、
これだけ(現在80万再生)聴いてくれる人がいて喜んでもらえてるなら、本当に挑戦してみて良かったよ。
そもそもハバネロさんが「寝かしつけ動画ないの?」って言い出したから
「どんなんだろ、朗読とかか?」って思って試しに作ったものであって、
動画もハバネロさんだけが繰り返し聴くに留まるものだと思っていたから、正直この再生数は本当に予想外w

まぁ、需要とかリクエストがあるので、今後も何かしら気が向いたやつを、自分のやりたいと思った感じで
朗読してアップすることがあると思う。
中には睡眠導入に向かないようなのも出てくると思うw
けど、それはそれってことでw