仕事用の機材としてのイヤホンをSONYのMDR-EX800STに買い替えました。
とても良いイヤホンだったので、どこが良いか語ってみます!!

MDR-EX800ST -SONY
MDR-EX800ST -サウンドハウス
(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)


まず、ざっくりと良いところと悪いところを両方箇条書きにしてみます。

良いところ
定位がはっきりしている(音がどの方角のどの距離から鳴っているかの情報が濃密)
中低音が特に良いので人の声のモニタリングとメタル鑑賞にいい
ハイレゾ対応
・上記を総合するとバイノーラル収録の声優さんのCD鑑賞にも良いパフォーマンスを発揮するはず
・ミックスされた音楽鑑賞の場合は、楽器の音がバラバラに独立して聴ける「分離力」がすごい

悪いところ
装着に多少難がある(固定の難しさ、所要時間)
密閉感はそこまで高くない(これは目的次第ではメリットです。
ある程度は外音も聴けるように設計されているため。チップ変えると密閉感を上げることが出来る)


先に悪いところの説明をしてしまいます。
これは「誰にでも言えること」でもないのと、解決策もあるのでそれも併せて書きます。

まず、固定の難しさについてですが、私の場合は耳にどうしてもケーブルがちゃんと掛かってくれなくて、
ケーブルの自重がイヤホンにかかってポロっと取れてしまう感じでした。
耳が小さい+メガネという条件が重なってこうなってしまいます。
つまり、耳が大きい+メガネ掛けていない人ならそこに不便を感じないかもしれません。
固定力を上げるには、本来より大きめのシリコンイヤーチップをつけるしかない感じでした。
それでもまだ不足していてLサイズのイヤーチップにしてもポロポロ落ちてしまう状態でした。

また、密閉感高めのインナーヘッドホンで音に没入したい人には、商品付属のシリコンイヤーチップだと不足に感じると思います。

この「耳のサイズ次第では固定する力が弱いこと」と「密閉感の低さ」を同時に解決出来るのが、
イヤーチップを小さめのスポンジタイプイヤーチップに交換することです。
私の場合は、シリコンイヤーチップならMを使うところですが、Sサイズのスポンジタイプイヤーチップを別途購入して
それに付け替えることで音の聴こえ方の密閉感をかなり上げた上で、
固定力も上昇させることができ、耳からポロっとイヤホンが落ちることもなくなりました。
買って初めてつけた日は、「こんなにポロポロ抜けてしまうイヤモニ使用に耐えない……失敗したかも」
と思ったのですが、音は決して悪くないのでスポンジで解決できて本当に良かったです……。
ただし、スポンジイヤーチップにすることで、装着の所要時間が明らかにシリコン型より長くなるので、
そこだけは避けられないという感じです。


では、良いところを書いていきますが徹底して音質の話になりますw
まぁイヤホンだから当然だよねw
ちなみに、接続先は2017/12購入のRubix24/ROLANDです。
更にサウンドプロパティから「24bit 192000Hz」に設定して聴いたりしています。

まず、「定位」のすごさなんですけど、ドラムを聴くのが一番わかりやすいです。
特にメタルを聴いた時に(私の場合はGALNERYUSを聴いた時に気付きました)
まるで自分がドラムセットの椅子に腰掛けているような聴こえ方で大層驚きました。
ドラムの聴こえ方は、今までの2500円くらいのイヤホンだと、ドラムセットは自分の正面角90度くらいのところに
直線的に置いてあるような聴こえ方でした。
(といってもその2500円くらいのイヤホンも音域は6〜24,000Hzをカバーしており、
この値段にしてはいい音な方だった)
でも、実際ドラムセットって扇状にセットしますよね。自分を囲うように半円状というか。
このイヤモニだと、その「半円」に置いてあるドラムセットがまぶたの裏に浮かぶようなのです。
これが、「角度と距離」の情報が濃密であることの証左かと思います。
私は今までの人生でドラムセットを2回くらいしか叩いたことがないのに、
このイヤモニでGALNERYUSを聴いてみた時は、まるで今自分の目の前にドラムセットがあって、
手を伸ばせば叩けるような気持ちになったので、「ドラム叩きてえ!」と思ったほどですw
それに思わず、この聴こえ方にはニヤっとしてしまったほどですw
「こんなに音の臨場感ってイヤホン次第で変わるの?」とw


次に、「中低音」についてですが、私が仕事で使っているマイクC214/AKGがかなりクセのないフラットな、
それでいて高音がキンキンしないという、人の声を素直に録ってくれる性格のマイクなので、
それをモニタするのに結構相性がいい感じです。
自分の喋ってるのとか歌っているのとかをこのMDR-EX800STでモニタリングしながらC214で録って、
その後波形の編集にも使っているわけですけど、収録そのものの時の聴こえも良いし、
波形編集時にもノイズカットなどの作業がしやすくなりました。
収録時に素直な返しをくれるというのは、自分のやりたい表現が出来ているかどうかを瞬時に判断出来るので、
歌ではリテイクが減るというメリットがありますw
音楽鑑賞をするときも、オーケストラやメタルなどは特に深みがあってすごく気持ちいいです。


ハイレゾ対応について。moraなどでハイレゾ音源(FLAC形式)をDL購入することができます。
「作り手が楽曲を制作した現場での聴こえ方」に近い音で聴ける感じなわけですから、
とにかく「劣化のない音」に没入できて最高です。
正直、もう192kbps以下のmp3とかは耳がイラついて聴けない身体になったんじゃないかと戦々恐々とするレベルですw
やはり圧縮された音源というのは、上も下も音が「すり潰されて」いるので、
シンバルの音とかが本来の音に比較すると実はただのジャリジャリ言ってるノイズでしかない……。
それを「シンバルの音だと認識して聴いているからシンバルだと思ってる」だけで、
聴いてるのはシンバルじゃない、みたいな状態だよな……と思います。
ハイレゾ音源を「まっさらな水」だとすると、圧縮されたmp3というのは泥水みたいなものですな……。

「バイノーラル収録の声優さんのCD鑑賞」についてですが、こんにち、多くの声優さんが
ノイマンのダミーヘッドマイク(100万円する)で収録したバイノーラルのシチュエーショボイスCDを出したりしています。
そういう音声を「臨場感を感じながら」聴くには、雑味が少なく、定位のはっきりしたイヤホンを使うのがベストだと思います。
上記のような強みのあるこのイヤモニだと、こういったコンテンツの鑑賞にも向いていると思います。
私自身はまだ声優さんのバイノーラル収録CDを持っていないのでわかりませんけど、
近いうちにそういうのを買って試してみる予定です。
逆に、自分がバイノーラル録音をする方にも興味があるため、そのモニタとしてこのイヤホンを買ったというのもあるので
自分がバイノーラル収録する際に、その音声をこのイヤホンで確認・編集するというのも考えています。

そして「バラバラに独立して聴ける「分離力」」についてです。
これもメタルや、上松範康さんの作・編曲された曲のように沢山のパートが混ざり合う、音圧高めの曲を聴くと驚きました。
今まで私が食べていたのは、「具がすべて煮崩れるまで煮込まれてペーストになったカレー」だったんですよ。
そのカレー、元々入っていた具(楽器)が溶け合っているので確かに旨味はあって美味しいんですよ。
でも、今のイヤホンで聴いた後だと、前のイヤホンではどの具がどんな味かがわからない状態だったと気付いたんです。
MDR-EX800STだと、ちゃんと具が大きいから、「それぞれの具の味」を噛みしめることが出来る。
だから、今までに何度も何度も聴いた曲ですら、
「このパートこういうメロ弾いていたんだ! このボーカルはこういうエフェクトだったんだ!
この楽器はあっちの方角から聴こえるんだ!」
などの発見が目白押しで、あたかも新たにアレンジされたニューバージョンでも聴かされているかのような気分になりました……。
楽器もボーカルも、互いに埋もれることなく、自分の音を主張してきて、
「こんなにプロの音源というのはすごいバランスで成立していたんだ!
今までぐちゃぐちゃのを聴いてて満足しててすみませんでしたあああああああOTL(土下座」
ってなりました……。
音の解像度が高いというのはこういうことだったのかーと。
それぞれが主張してくるといっても、音同士が喧嘩はしていないですからね。
絵とかも、サイズ縮めて解像度落としたもの見て「良い絵だな」って思っても、
原画見たら「迫力と情報量が違う」ってなるので、まさに解像度という表現がしっくり来ますね。
これまでの人生で出会った「好きなアーティストの好きな曲」、全部このイヤモニで
未圧縮音源を聴かないと申し訳が立たないような気分になっています。
SEやセリフがバックに沢山、それもこっそり入っているサンホラ楽曲なども、
今聴いたらおそらくものすごく印象や得られる情報が変わると思います。