あまり意味を変えずに、「歌詞でおおよそ使われないような言葉」でリライトして歌う企画です。
なんでしょうね、「歌のクソコラ」とでも呼ぶべきか……



(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)・∀・(V)



とりあえず歌詞を貼っておくので、元歌詞と見比べるのに使ったりしてください。

【バラ科サクラ属】 歌詞

手帖開けば
早2年経過せしと
畢竟、認めざるを得まい
如何で恥じらいもしよう
嘗て惨(むご)いこともされたし
寧ろ罵倒したし
然るに密度は高まり
事程左様に甘い

よよと泣く一昼夜
自転車の漫遊
著述出来ようか、否
甚だ多すぎる!!

破顔一笑 其方(そち)と舫(もや)われてたい
若し大局的に
やぶさかでないのなら 
慕い合う番
幸甚の空
一衣帯水、即ち
バラ科サクラ属


賜れば然る後 愛を感じ
進呈せしは渾身の
愛なのは論を俟たない
案にたがわず良き哉
相互協力 罰杯(ばっぱい)
豈図らんや歴史が
斯くの如く深いとは

一つでも事欠けば
著しく不足して不備で不揃い!
吾人(ごじん)の縁(えにし)

外ならぬ 其方(そち)と抱合(ほうごう)したい
若し敢えて老い先見当つけるなら
慕い合う番
のべつ幕無し
隣接する我々
所謂さくらんぼ



破顔一笑 其方(そち)と舫(もや)われてたい
若し大局的に
やぶさかでないのなら
慕い合う番
幸甚の空
一衣帯水、即ち
バラ科サクラ属

「蒸し返せ!」

外ならぬ 其方(そち)と抱合(ほうごう)したい
若し敢えて老い先見当つけるなら
慕い合う番 のべつ幕無し
隣接する我々
所謂さくらんぼ

慕い合う番 取りも直さず…

慕い合う番 恣(ほしいまま)に
隣接する我々
所謂さくらんぼ


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この企画の発案は、実は「プカイス」にまで遡ります。


そう……レスアンカーを使って、皆であの曲に歌詞を付けた生放送で、
「蓋し -けだし-」という接続詞が歌詞に含まれたときです。
あの時私は、
「歌詞に使われない語彙というものがある」
というのを強く認識しました。

いや、勿論元々わかってはいたんです。
歌詞を書くことはよくあったわけだし、これまでに沢山の曲を聴いたり歌ったりしてきて、
「歌詞においてしょっちゅう使われる単語」
というのがあり、しかもそれに限って、日常会話では取り沙汰されない単語だったりするということは
ままあるのだということに気づいてはいました。
でもこれは歌詞に「使われている言葉」を基準に語彙を見渡した場合です。
歌詞で「愛」「希望」「夢」「勇気」「羽ばたく」「滾る」「ほとばしる」とか色々出てきますが、
日常会話でこれらの単語が使われることはあまりないですよね。
「歌詞的な語彙」というのがあるということですね。

逆に、「蓋し」のような単語(接続詞)は歌詞に「使われていない言葉」のグループに属しているわけで、
使われていないからあまり意識されることもないのだと思います。
でも、確かに考えてみれば、論文や新聞のような語彙で歌詞を書いたら、歌詞っぽくないと思うし、
逆に抒情詩的な語彙で論文を書いたら説得力に欠ける気もしますね。
だから、目的によって語彙を使い分けるというところまでは、筋が通っています。
――が、ここまで言葉が割とはっきり「分断」されているのは日本独特なのかもしれない、と思いました。
勿論諸外国にも同じようなことはあると思います。
つまり、似たような意味の複数の単語(類語)がある時に、言葉選びを変えるということが。
けれど、日本の「国語辞書」の収録単語数が、外国語のそれと比べて桁違いに多いのも事実で、
(例えばフランス語の「国語辞書」には11〜12万語記載のところ、日本では24万語)
ここに「古語」や「方言」も足すと、日本の古今東西における「言葉の数」と、
その使いみちというのは、本当に篦棒なのだな、と。

じゃあ、「歌詞で使われないような語彙」で歌詞を書くというのをやってみよう、と思ったわけです。
で、構想を練っていたんですが、やはり現代語かつ限りなく口語(話し言葉)で書かれた
知名度のある甘いラブソングを堅苦しくするのがギャップの面で面白いだろうと思いました。
勿論、そういう歌詞の「オリジナルラブソング」を作ってしまうというのも考えはしましたが、
まずは替え歌から。
それで、選曲としては当初から、大塚愛の「さくらんぼ」こそ、この企画の第1弾に相応しいというイメージがありました。
でも、他にも「歌詞で使われないような語彙」でリライトしたら面白くなりそうな「ゲロ甘ラブソング」みたいなのないかな
と思ってツイッターで募ってみたんですが、どういう企画をやるかのネタバレなしに募ったので、
フォロワーさんも色々意見を出してくれたものの目的がわからないんじゃそこに合致させようもないですよね。
とりあえず「さくらんぼ」で第1弾を作ってしまって、第2弾以降は聴いた人からのリクエスト(?)とかあれば
やってみるか検討する、ということにしました。
そう、「対偶で歌ってみた」のように。


ですから、プカイス→対偶と来て、やはり次はラブソングをリライトして堅苦しくする…「クソ真面目ラブソング」の出番だ!と。
言葉を選ぶ時、極力「歌詞では使われそうにない言葉」をピックアップし、元歌詞のニュアンスを殺さないような
古めかしい接続詞(豈図らんや、みたいな)で繋いでいきました。
最近、夢野久作を読んでいるので、そういう明治・大正的な語彙が身近に感じられるし、
この企画にぴったりでした! ありがとう夢野久作!
「さくらんぼ」をリライトするかどうかを確定させるより先に、使いたい語彙をスマホで思いつく度にメモっておき、
実際にリライトを始めてからは、類語辞典も見つつ、
「意味が大きく飛躍しないが、歌詞として使われない単語」を探して当てはめていきました。
合いの手の「もう一回!」のところは、「今一度!」っていう武士語風(?)も面白いよなと思ったのですが、
「今一度」という単語そのものは、「歌詞で使われうる言葉」のグループに属すると思ったので、「蒸し返し」を選びました。
\蒸し返せ!/
動画を見た人が結構そこで笑ってくれてるので、蒸し返してよかったなと思いました。
「もう一回」と「蒸し返し」は勿論、ニュアンスは異なりますが、ここは面白さ重視で。

それで、こんなに日本語には、「似たようなことを言い表すことが出来るのに、選んでもらえない言葉」があると実感しました。
そして、選んでもらえないのは、実際「この言い方では心が篭っているように感じられない」からなのも事実なのでしょう。
動画のコメントで「こんな女の子好きになれないw」というのがありました。
あまり言ってることは変わってないのになぜでしょうか?w
言葉によっては、かつてその言い回しでも気持ちが通じたものもあったのかもしれませんが、
時代や流行の移り変わりなどによって、人々の感じ方も変わるので、適した言い回しも変化するし、
言葉はどんどん使い古されて死んでしまうんですね。
でもそういう言葉も完全には死んでいなくて、辞書には載っています。
一時的に流行してからの死語よりも、「蓋し」とか「なかんづく」とか「豈図らんや」みたいな、
辞書にずっと載っているのになんとなく使う人がいなくなって現代で使われていない言葉が、
愛しくて使いたい時があります。
歌詞は特に、一部の単語だけが繰り返し使われすぎな気もするので、私はこれからも
「独特な言葉選び」の歌詞を書くことに挑戦してみようと思います。
尚、私が作詞(替え歌)した歌の動画は「歌詞ぱん。」タグから見ることができます。
この機会にどうぞ。