2020年東京五輪の公式エンブレムが、ベルギーの劇場ロゴに似ているとの指摘を受けるなど批判が高まっている問題で、
大会組織委員会が使用を中止する方針を固めたことが分かった。関係者が1日、明らかにした。
➖➖共同通信社


ニコニコニュース


色々な問題がありすぎてカオスなので、原因と代案を整理したい。

1,大会組織委員会の抱える問題

・公募ではなく、特定のデザイナーを指定してのコンペ?だった

→閉鎖性があり、情報も表に出て来にくく、各種問題が尾を引く原因にもなっている。
 おそらくだが、公募にしなかったのは、
 「すでにこれだけの実績を持つ敏腕デザイナーが、今回のエンブレムをデザインしたのです」
 ということをPRの一部に盛り込みたい意図があったからだと推察するが、現状を見るに一般公募と国民投票のほうが、
 今回のような問題は避けられたのではないか、と思ってしまう。
 一般公募で投稿された作品に問題があれば自然と淘汰もされるであろうし。
 これからデザインを見直すのであれば、今からでも公募と国民投票で決め直すのが良いのでは、と個人的には思う。


・デザイン取り下げの理由を「誹謗中傷が酷いから」と説明した

→デザイン自体については結論が出ていないので、言及しないとしても、
 少なくとも、「デザイナー」に問題があることは、ほぼ疑う余地がないレベルに達している(後述)ので、
 誹謗中傷があることだけを理由に取り下げるのは悪手。
 誹謗中傷したり、苦言を呈したりしている人の中には、デザインのみではなくデザイナーその人についての
 ”不備”と指摘している者も少なくない。むしろそちらがメインなのでは。
 この説明だと、「誹謗中傷すれば、思い通りになる」と勘違いする人も出てくる。
 そもそも近年、こういう案件での炎上は、死者を出す事例が後を絶たない。
 少なくともこの説明では、「誹謗中傷すれば(自分の思う)解決に至る」と(無自覚にせよ)思う人は出てくるのでは。
 組織委員会のみならず、あらゆる組織から死人を出さないためにも説明のしかたには工夫が要る。
 そのことが念頭に置かれていない印象はある。


2,デザイナーの抱える問題

・エンブレムデザイン以外にも問題あるデザインを多数発表していた

→「すでにこれだけのパクり実績を持つ敏腕デザイナーが、今回のエンブレムをデザインしたのです」状態。
 単にエンブレムのデザインが好きか嫌いかという問題すらも離れ、この人の「仕事のやり方」が「良くない」という議論に発展した。
 仮に、今回のエンブレムデザインが個人的に好きだと思う人がいても、この人の仕事のやり方が良くないせいで、
 エンブレムに対するイメージも悪化するだろう。
 なので、この瞬間、デザインがどうかより、人選がどうだったかの話にシフトした人は多いはず。
 「仕事のやり方」が批判されはじめれば、その時点で
 「すでにこれだけの実績を持つ敏腕デザイナーが、今回のエンブレムをデザインしたのです」
 ということをPRの一部に盛り込みたい意図はアテが外れるので、まず組織委員会はもっと決断を急ぐべきだったと思う。
 そして問題のあるデザインについて、佐野氏の言い分が真実だとすれば、
 デザインしたのは佐野氏ではなく事務所の所属デザイナーであり、佐野氏は監督するのみの立場だったことになり、
 「監督不行き届き」という性質の問題ということになる。
 この点ではデザイナーとしてではなく、組織監督者、事務所長としての資質が問われる話かもしれない。言い分が本当ならば。


・記者会見で発表した「展開例」で他人の著作物を無断で利用していた

→自己弁護の場でも尚、自分がなぜ責められているのか理解できていなかったのか、
 さらなる悪い実績を増やしたので、実質弁護にならなかった。
 「展開例」は、それ自体が商品ではないのも確かだろうし、「サンプル画像」にすぎないかもしれないが、
 公の場に出したのは悪手。
 既存のものを指して、
 「こういうイメージで作っていきます」
 という風に例をあげるのは、何かを作る場ではありえないことではないと思うが、
 (例えば既存のウェブサイトなどを例に“こういう風に作ります /作って欲しい”など)
 そういうことは担当者が閉鎖された打ち合わせの場のみでやるのであって、
 著作物に対する意識が問われる記者会見で、無許諾でそれをやったら火に油を注ぐだけである。
 そもそも、今回の記者会見で「展開例」を提示する必要はあったのだろうか? というのも疑問だが。
 デザインの製作過程のことは皆聞きたがっているが、展開例のシミュレーションなど聞いていない。


3,デザインの抱える問題

・盗作かどうかを別にしても、発表された時点で「葬式かよ」というツッコミが多く、早い話が世間に不評だった

→盗作疑惑が浮上する前の段階で既に国民から不評だったというその事実も、
 もう少し正面から受け止めてみても良かったのかもしれない。
 既に「完成したもの」に文句をつけられても、そうそう変えるわけにいかないのもわかるが。
 また、実際、不満を言う人に限って声が大きいのも事実だから、数にしてみれば、
 不満を持つ人<特に気に留めていない人
 なのかもしれないとも思う。
 しかし、盗作疑惑が浮上して、「元から気に入らなかった」という人に、格好の餌を与えた形ではあった気がする。
 オリンピックには5つのカラフルな輪のデザインが古来からあるのに、そういった要素を完全に排除した意図が
 「日本らしい色(白黒金赤)で配色するため」
 だったというのも、その案に賛同できなかった人は少なくないのでは。
 並べたら葬式の垂れ幕になるのも目に見えているわけで。(海苔弁という意見もあった)


・幾何図形のみで作成されており、仮にパクっていなくても「ネタかぶり」はしやすい

→世界にはあらゆるものが現存するので、単純な図形のみを用いたら、何かしらに似るのは確実で、
 今回と違った図形配置にしたところで、それはまた別の何かに似ていると指摘されるだけだと思う。
 世界に向けて発信するのだから尚更リスクは増すし、「痛くない腹を探られる」リスクを排除したいなら、
 そもそも単純な図形のみを用いて、それをどう配置するかだけでデザインすることに無理があったと思う。
 東京オリンピックだから「T」と「O」をモチーフに、らしいが、東京以前にここは「日本」だし、
 アルファベットの「T」と「O」でなく、「日本」とか「にほん」「東京」とか漢字・ひらがなをモチーフにしても
 独自性が出て面白いくらいだと思う。
 他国とネタかぶりしにくくもなる。
 とにかく、痛くない腹を探られよう探られようというデザインに見えるのが残念。


4,第三者の抱える問題

・誰かが死ぬまで炎上させたり、直接嫌がらせをする人たちの存在

→組織委員会の委員でもなく、デザイナーでもない私達に何ができるのか。
 仮に今回の件で、日本人として、
 「日本の品格を貶められた!」
 という義憤に駆られたとしても、関係者に”切腹を迫る”ような行いは慎むべきだと思う。
 でなければ、品格の話など出来ないのだから。
 現代においては、この“切腹を迫る”というのは、無関係の第三者が
 「責任を取って○○せよ!」
 と強要することであり、
 「オリンピックエンブレムの件で、我が国のデザイナーがご迷惑をお掛けしました。
 当人には責任を取って切腹させましたのでお許し下さい」
 と海外に向かって遠回しに説明する結果になるのは、“おもてなし”とは遠いように思うのだが、どうか。
 誰も何も言うなというのではなく、もっと「粛々と」冷静に問題解決に当たれないだろうか。
 渦中の人物が死ねば解決だ、くらいのことを考えていそうな人をネットではよく見かけるので、
 今回は特に、オリンピックという世界的なイベントと、そこで起きた問題・不祥事の解決について
 外からの視点も忘れない姿勢が大事なように思う。
 「日本が恥かいたから、下手人を追い詰めて殺せ!」
 というのはあまりにも乱暴すぎる意見だ。世界はその意見に拍手するだろうか…。
 だからといって、私は佐野氏を擁護できないし、擁護して問題が解決するとも思わないが。
 今、擁護も誹謗中傷も、「解決のための手段」ではないということが言いたい。