映画館で3を見るためにも、先日2を見ておいたので目標達成!!

過去記事
アイアンマン
アイアンマン2

前作で「質量のある闘い」を見たのだけど、今回は熱量(物理)だった。
それこそ、物理学的に熱かったですな!w
アイアンマンの鋼鉄を溶かすほどの瞬間的な高熱が敵となった。


さて、以下あらすじ+ネタバレアリのレビューです。

アヴェンジャーズのニューヨークでの戦いから1年後、トニーは不安障害や不眠などの
精神疾患を抱えながら、アイアンスーツを改良・量産する日々を送っていた。
そして、新たなテロとの闘いが始まるという形。
今回のテロの首謀者は「マンダリン」と名乗り、アメリカ全土のテレビ電波を乗っ取って、テロの予告や犯行声明を発信する
劇場型のテロリストだった。
最終的な標的は大統領だと宣言しているため、大統領のガードには「アイアンパトリオット」がついていた。



このテロによると思われる爆発事件と前後して、トニーとペッパーは十数年前に知り合った植物学者マヤ・科学者キリアンと邂逅する。
しかしそれはただの偶然ではなかった。
科学者キリアンはかつてトニーの大ファンだったものの、約束をすっぽかされ(おそらくトニーは最初から嘘で約束を交わした)、
熱心な信奉者から、裏切りへの報復を誓う敵となった人物だった。
そして植物学者であるマヤ・ハンセンは、今やその才能をキリアンに利用されていた。
キリアンは、生物の自己修復能力を最大限引き出す「エクストリミス」というマヤの研究を
人間の未使用の脳の領域に適用させ、ほぼ不死身に近い兵士たちを多数作り出していた。
エクストリミスの能力を受け入れた兵士たちは、身体修復能力が高いということに留まらず、
意識的に身体から3000℃近い熱を発し、鋼鉄でも短時間で溶かすことが可能だ。

しかし、この「エクストリミス」の能力を受け入れられなかった人物は、その場で大爆発を起こしてしまう。
その実験のミスを隠すための蓑が「テロリストによる犯行」という設定であり、「マンダリン」はキリアンの
操り人形にすぎないただの俳優。
そして、買収された副大統領とキリアンによる、真の「テロ」とトニーへの復讐が始まろうとしていた。



かつての大ファンが敵対勢力になるという構図は、「Mr.インクレディブル」を思わせた。
好奇心で作品の発表時期を調べたら、インクレディブルの映画公開が2004年で、
「エクストリミス」編の連載は2005-2006年だった。
別段珍しい設定でもないけれど、私のようにインクレディブルを先に見てあると、思い出す人は多いかもしれない。
インクレディボーイ、のちの「シンドローム」を。
「好き」が「嫌い」になる想いや反動で発生するエネルギーはすさまじい。あらゆる負の感情を抱くことになる。
これは人間独特の感情なのかもしれない。他の動物になって生きてみたことはないからしらないけれど。
だから、こういう設定を描くと良くも悪くもキャラクターの人間臭さが伝わるものになる。


ピンチや障害を乗り越えることそれ自体が使命であるヒーローというのは、常に冷静でいて、
機転を利かせなければならないものだが、大抵のヒーローはそれ以外に何か特殊な身体能力や超能力を有し、
その力の制御すらもテーマになるほどだ。
力を持つものは、力に依存してしまいがちだからである。
そして、力そのものが自分自身のアイデンティティとなってしまい、自分を見失うこともありうる。
それはどのヒーローものを見ても、どこかしらに描かれていることであるように思う。
力に溺れた者と闘うことになったり、自分の持つ力に頼り過ぎて暗黒面に堕ちてから戻ってきたり、そういった描写がある。

トニーの場合は、特殊能力が突出した「思考力」や「知識」、つまり、脳味噌だ。
生身のままで体が磁気を帯びたり、蜘蛛の糸を操ったり、空を飛べたりはしない。
思考力と道具という「力」を使うことによってのみ、相対(あいたい)する様々な力に立ち向かっていく。
ヒーローは誰でも、そこまで多くの特殊能力を同時に発揮はしない、せいぜい1〜2種類だし、
機転が利かなければいけないことは全員に共通しているのだが、トニーの場合は、
すべてが「機転の力」といってもいいほどだ。

だから、これだけ重量感のあるアクションでありながら、常にすごいスピードで頭が回転しているということが見ていて面白い。

今回は、サポートコンピューターのジェイビス(Just a Rather Very Intelligent Systemの略J.A.R.V.I.S.)も大活躍だったが
不器用アームの出番は少なくてちょっとだけ残念!! 不器用アーム大好きなのに!
けれど、コメディ要素はちゃんとあったので笑えたのは良かった!ww

そして、少なくともマーク42までは作ってある遠隔操作スーツたちの活躍もすごかった。
イゴールとかいうかなり大きなスーツは、スペチャンのロボの大きなやつを思い出したw
何より、あーやっていくつも隠し玉を出して、ピンチを切り抜けていくのがすごい。
つまりそれだけ「いざというとき」を先読みして、考えて行動した結果だからだ。

少し前の話と、他の記事にも書いたことに戻るけれど、人間の意思で制御できなくなった自立思考型のAI等と闘う映画は沢山ある。
中でも、マトリックスでモーフィアスも言っていた、「良い機械は電源をOFFできるもの」みたいな発言を思い出す。
だいぶ表現は違ったかもしれないけれどw
とにかく、人間がOFFしようと思ったときにOFF出来ないものは、すなわち制御できていない機械ということになる。

今回トニーは不安障害(パニック症候群)に悩まされて、それが彼の機械を制御する力を鈍らせてしまう。
機械やコンピュータが反乱を起こすという展開ではないものの、力に依存し、あやうく暴走しかけてしまった。
ヒーローだって人間だから、時々自分の制御が狂ってしまったり、道を踏み外しそうになる葛藤と戦うことだってある。
トニーの場合は、思考力=戦闘能力=制御力だからバランスが難しい。すべてが密接すぎるのだ。


金属製兵器としてのスーツの敵は熱ということになったが、生身のトニーの敵は彼自身の内面の問題だったと言っても良い。
絶対に失いたくないものがあるからこそ怖くなる。
なぜなら、彼には考える力があるから、怖いことだっていくらでも考えることができるのだ。
だからこそ、予め隠し玉をいくつも仕込んでおくことが出来たとも言えるのだが。

一時的に協力者となってくれたハーレーという少年は、ただ爆発事件についての情報をトニーに教えてくれただけでなく
冷静さを保つための支えにもなってくれた。(最初こそ相性は良くないように思えたが)
スーツが見つからないように保管もしてくれた。
ヒーローにとっては、「子供」というのはそれだけで守りたい存在である。未来そのものだから。
ハーレーももしかしたら、いつか何かのキッカケで「インクレディボーイ」やキリアンのようになってしまってもおかしくはない。
トニーの立場からしてみれば、キリアンのような存在を生むキッカケを作ってしまったことは悔いるべきことでもあるのかもしれないが、
ハーレーのような存在には同時に感謝もするだろうし、自分を保つ支えになってくれる。
ただキリアンのことを悔やんだり、どこか良心の呵責を感じつつも、平和と愛する人のために戦って、
これで良かったのだろうか? と思い続けるよりも、ハーレーのような「未来」を思うことで救われる。
それも身勝手な人間臭さのひとつかもしれないけれど、世の中はこうやってバランスを保っているものなのかもしれない。


参照元とされる「エクストリミス」編コミックス






映画の前後の予告で、今後のマーベル・シネマティック・ユニバース作品の計画としては
「マイティ・ソー」「キャプテン・アメリカ」「ガーディアンズオブザギャラクシー」そして「アヴェンジャーズ」それぞれの
続編、新作等が予定されていると告知があった。

今回アイアンマンは、アイアンスーツを捨てたがトニーは「アイアンマン」であることは変わらないし、今後も天才発明家だろう。
「再び帰ってくる」という字幕も表示されたので、なんらかの形でまたアイアンマンはスクリーンに現れると思う。
アヴェンジャーズ2には少なくとも出そうだ。
映画は3部作モノが多いので、アイアンマンも今回で完全に終わりなのか? と疑問に思いつつ見に行ったけれど
アヴェンジャーズへの登場だけでなく、「アイアンマン4」として新作を見たい気持ちもあるなあ。