砂漠のオアシスでの夜が明けた。
水と食料、アイテムを補給、そして元気も回復してせらたち一行は南風に礼を言って、
太陽が南中に達するより早くオアシスを出発した。
オアシスの池には変わらず雨が降り注ぎ虹がかかっていた。
南風は「使えない勇者さん、またきてね!」と手を振って見送った。

日暮どき、城門に着いた。
中も外も、一面が見るからに寂れている。
城門の格子も錆びきって一部崩れ落ちているし、レンガ造りの家々も
すべての窓と扉がなくなり、ただの穴となったそこから風と砂が吹き抜ける。

せらたちは城のほうへ向かった。
何もかもが砂まみれだった。

しかし、城の前の広場につくと少し人の気配がして、せらは立ち止まった。

せら「あれ…? 遠くから音楽がきこえる」
かに「ああ、踊り子の館だな。旅芸人たちがテントを張って廃墟の一部を旅の中継地点にしているんだよ。
   寄ってみるか?」
せら「こわいひとたちですか」
かに「別に怖くねえよ!」

かにぱん。は笑い飛ばすと踊り子の館の方へ向かった。
それは城前広場から少し東へ逸れたところにあった。
そこも広くひらけた地形で元々建物がなかったらしく、テントがいくつも張られている。
奥に公会堂のようなものが見える。
まるでそこだけが、別の町のカット&ペーストのように明るく賑やかだった。
かにぱん。は公会堂の事務所窓口へ声をかけた。

かに「モスコーいるかー?」

すると、事務所の扉が開いて中から男性が出てきた。

モスコ「かにさん、久しぶり!」
かに「やあ! マリオ王国の勇者様ご一行がまぐなかるたへ寄るというから一緒に来たとこさ」
モスコ「へぇ!! あ、皆にも会ってってよ!」

公会堂の中もテント周辺でも、旅芸人たちが芸の稽古に勤しんでいる。
モスコと呼ばれた男性は踊り子たちから「モスコミュール師匠」と呼ばれる、旅芸人の一座をまとめる者だ。
公会堂のリハーサル室周辺を歩いていると、マスクを被ったメイド服の男が
カクカクとした動きで飛び出してきて、突如脱ぎ始めたりしたのでせらは面食らった。

モスコ「イマオカさん、小さい子を驚かせちゃだめでしょ」
イマオカ「あ、どうもすいません」
せら(小さい子…)

モスコ「そうだ、13と凶ちゃんが婚約したよ!」
かに「前から夫婦とからかわれていたもんなぁ。でも13って永遠に13歳の秘術をかけられてるだろ。
   13歳のまま結婚すんのか。」
モスコ「んまぁ、そうじゃない? あ、マユリさーん、かに姐きたよー」

モスコが呼びかけると、アフロヘアーで青いつなぎの大柄な男がにっこりと近寄ってきた。
そしてその奥から更にちょびヒゲの男がマユリを追って出てきた。

かに「おお、監督ー! 新しいクソミソダンスは開発できたのか?」
監督「いやはやもうちょっとなんですけどねえ、これが完成すれば次の巡業で大ウケの予定ではあるんですが!」
かに「楽しみにしてるよ!!」

モスコ「ところでなんで勇者せらはまぐなかるたに?」
せら「あ、えーと…丸い人さんから”まぐなかるたにいけば封印された力を解放できるかも”と
   言われて来ました。」
モスコ「あぁ…四天王か……けれど、1500年も前に封印されたきり、その封印を解いたやつなんて
    今までにひとりもいないとも聞く。封印に必要な”9つの鍵”を集めた者はいまだかつて…」
前菜「9つの鍵… さすがに厳重な封印ね…」
かに「そんなものが必要なのか! めんどくせえなぁ、もしかしてそれ集めてから出直しか?」
梨姫「(。i _ i。)」
イマオカ「その9つの鍵っていうのは、当時まぐなかるたに攻めてきた帝国の黒の騎士が使った封印魔法のかけらで
     封印が完了した際に世界中に飛び散ったと聞くが」
かに「その黒の騎士ってやつに聞けばいいのか?」
イマオカ「1500年も前の人物だから、もしかしたらもう死んでいるかもしれん。」
かに「そうか… そいつを探し出すのと鍵を9つ探し出すのとじゃ、どちらもめんどくさそうだ」

マユリ「ところで気になってたんだけど、ニコパイが左肩にしているタトゥーはわざわざおそろいにしたの?」
こたね「ああ、これね、偶然なの。それにタトゥーではないみたい。どちらかというとアザ…?」
だっしゅ「物心ついたころにはあったぜ。っつっても800年くらい前だけどな!! ハハッ」
マユリ「汽車だけは水色、黄色、白の3色…あとは、かにぱん。が赤、だっしゅは緑、こたねがオレンジで、
    オメがんが青、梨姫しゃんはピンク、前菜さんが紫か…」
かに「俺たち生まれも育ちもバラバラだけどこのアザみたいなやつだけはおそろいなんだよな!」

モスコ「それってつまり、さぁ…」
せら「今まで何も疑問に思わなかったの!?」
ニコパイ「何が?」

                           ――つづく

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今日の登場人物

モスコミュール 「踊り子の館M」の館長。グラサンを標準装備している。
13 永遠の13歳という秘術をかけられた少年ダンサー。
マユリ 暴君と称されるダンサー。大きい。
 女性ダンサー。13の許婚らしい。
監督 踊り子の館勤務の振り付け師。
イマオカマヤ 仮面のメイドガイ。突如脱ぐ。ここはストリップ劇場ではない。



文:(V)・∀・(V)
原案:蟹Projects